今日思ひ立つ旅衣

2013-06-12 | 【断想】ETC
 知人に能楽の案内をもらった。
 「高砂」、「船弁慶」がプログラムにあった。
 それで、有朋堂文庫の謡曲集で「船弁慶」を読んだ。
 「今日思ひ立つ旅衣、今日思ひ立つ旅衣、・・・」とはじまる。
 源義経が、兄頼朝にうとまれる。「御中たがはれ候」とある。
 義経は、西国に逃れることとなり、大物の浦で、静と別れを惜しむ。
 「涙に咽ぶ御別れ、見る目もあはれなりけり」
 この都落ちには、弁慶が同行。
 前段は、「えいやえいやと夕汐に、つれて舟をぞ出だしける」と終わる。
 後段は、「あら笑止や風が変はつて候」とはじまる。
 天候が一変、荒れた海上には亡霊たちがあらわれる。
 「西国にて亡びし平家の一門、おのおの浮み出でたるぞや」と。
 そして、怨をはらさんと、平知盛の幽霊があらわれる。
 「抑抑是は、桓武天皇九代の後胤、平の知盛幽霊なり」
 長刀をもって、義経に迫る。
 「その時義経少しも騒がず・・・」
 霊力をもって鎮めるしかないと、弁慶が数珠をとる。
 祈りでもって、「悪霊次第に遠ざかれば、・・」となる。
 怨霊がつきまとうのを「追つ払ひ祈りのけ」、静けさがもどる。
 久しぶりに、謡曲を読んだ。
 謡曲の言葉づかいにはリズムがあっていい。
 読んでも楽しい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿