アット・ザ・カフェ・ボヘミア

2021-06-09 | 【断想】音楽

 「アット・ザ・カフェ・ボヘミア vol.1」(1955 Blue Note)のCDに、「正式なジャズ・メッセンジャーズ出発点となる記念すべき名ライブ」との紹介文が付いている。
  アート・ブレイキーは、1947年から1950年にかけて、15人編成の楽団を率いていたと言う。
 1954年の有名なアルバム「バードランドの夜」は、アート・ブレイキー・クインテットとしてリリースされている。この演奏メンバーは、クリフォード・ブラウン、ルー・ドナルドソン、ホレス・シルヴァー、カリー・ラッセル、アート・ブレイキーであるが、これをしっかりした固定メンバーと見れるのだろうか。
 1955年に「アット・ザ・カフェ・ボヘミア」が、リーダーをアート・ブレイキーとして、ザ・ジャズ・メッセンジャーズと言う名前で出されている。
 前年には、ホレス・シルヴァーをリーダーとしてのザ・ジャズ・メッセンジャーズと言う名前でのアルバムがある。アルバム名は「ホレス・シルヴァー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」。
  「アット・ザ・カフェ・ボヘミア」のメンバーは、ケニー・ドーハム、ハンク・モブレー、ホレス・シルヴァー、ダグ・ワトキンス、アート・ブレイキーである。
 トランペットが、クリフォード・ブラウンから、ケニー・ドーハムにかわっている。
 ピアノのホレス・シルヴァーは、まだ一緒である。1956年に袂を分かつまで。
 1958年にヒットした「モーニン」は、アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズとして出ている。メンバーは、アート・ブレイキーとならびリーダー格だったホレス・シルヴァーが離れていて、名前が「アート・ブレイキー・アンド・・・・」となったわけである。
 つまり、リー・モーガン、ベニー・ゴルソン、ボビー・シモンズ、ジミー・メリット、アート・ブレイキーの5人となる。
 トランペットのケニー・ドーハムがいたのは、初期のしばらくだった。
 テナー・サックスもベニー・ゴルソンとなっている。
 以降、アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズと言う名前が定着する。
 「モーニン」と同年の「サンジェルマン」は、同じメンバーである。
 1960年の「チュニジアの夜」では、テナー・サックスが、ベニー・ゴルソンからウェイン・ショーターにかわっている。
  以上が、1960年までの経過である。
  「アット・ザ・カフェ・ボヘミア vol.1」の収録曲は、以下の通り。
 1.ソフト・ウィンズ
 2.ザ・テーマ
 3.マイナーズ・ホリデイ
 4.アローン・トゥゲザー
 5.プリンス・アルバート
 6.レディー・バード
 7.ホワッツ・ニュー
 8.デザイファリング・ザ・メッセージ
 ファンキー・ブームが起こる前のアルバムとなる。
 このアルバムを通して聞くと、今となっては、おとなしく、熱気に欠けて聞こえる。
 ケニー・ドーハムやハンク・モブレーの性格の反映でもあるのか。
 俺が、気分が乗っていないだけかな。


アローン・トゥゲザー

2021-06-09 | 【断想】音楽

 ジャズのスタンダード・ナンバー「アローン・トゥゲザー」、愛するひとを哀しく求める歌。
 ジョー・ウィリアムスのヴォーカルで聞く。
 ヴォーカルでは、トニー・ベネットのものが定評があるようだ。
 器楽では、エリック・ドルフィーの「メモリアル・アルバム」やチェット・ベイカーの「チェット」、ジャズ・メッセンジャーズの「アット・ザ・カフェ・ボヘミア vol.1」に収録されている。
 順番に聞いてみる。
 エリック・ドルフィーのは、曲云々でなく、圧倒的迫力。ドルフィーの存在感は凄い。
 チェット・ベイカーのも、ディープで、淋しく、思わずひきこまれる演奏である。
 この2曲を聞いて、ザ・ジャズ・メッセンジャーズのを聞くと、何だか凡庸で、大人しく感じられる。


“イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド”

2021-06-09 | 【断想】音楽

 マイルス・ディビスのアルバム「ワーキン」で「イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド」を聞いたので、同じトランペットのチェット・ベイカーで聞いてみようと思った。
 アルバム「チェット」のなかの同曲。
 こちらは、キリリとひきしまった感じでなく、哀愁にあふれ、ソフトである。
 メンバーは、チェット・ベイカー(tp)、ケニー・バレル(g)、ポール・チェンバース(b)、コニー・ケイ(ds)。
 あくまで、トランペット・オンリーと言う演奏である。
 「イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド」は、リチャード・ロジャース作曲、ロレンツ・ハート作詞のスタンダード・ナンバー。
 「わたしのこと、おかまいなしに、身勝手なことばかりしてると、そのうち、ひとりぼっちで淋しい思いをすることになるよ」と言うような歌。


ワーキン:WORKIN'

2021-06-09 | 【断想】音楽

 「ワーキン」は、マイルス・ディビスの1956年録音アルバム、マラソン・セッションn'4部作「リラクシン」「ワーキン」「スティーミン」「クッキン」のひとつである。
 また、レッド・ガーランドのピアノ演奏が素晴らしいと言うことでも知られた一枚である。
 評判のスタンダード・ナンバー「イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド」は、レッド・ガーランドのピアノではじまる。やさしく、美しい音色である。
 ガーランドは、バド・パウエルの教えを受けたそうだが、パウエルには鬼神が、ガーランドには天女が寄り添ったかのようである。
 ガーランドのピアノに続く、マイルスのミュートをきかしたトランペットは、なんともリリカルで、静寂を感じさせる。
 マイルスは、このあたりが一番いいように思う。
 さて、「ワーキン」(1956 Prestige)の演奏メンバー。
 マイルス・ディビス(tp)
 ジョン・コルトレーン(ts)
 レッド・ガーランド(p)
 ポール・チェンバース(b)
 フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
 収録曲
 1.イット・ネバー・エンタード・マイ・マインド
 2.フォア
 3.イン・ユア・オウン・スイート・ウェイ
 4.ザ・テーマ
 5.トレーンズ・ブルース
 6.アーマッド・ブルース
 7.ハーフ・ネルソン
 8.ザ・テーマ
 「ザ・テーマ」は、マイルス・ディビス・クインテットのクロージング・テーマ。
 アルバムを通して聞いて、僕には、ジャズらしいジャズを聞いた気分。