宇宙飛行士の若田さんが、スペースシャトルで宇宙に飛び立った。
3ヶ月間もの本格的な宇宙ステーション滞在が目的だという。
そんな時代になったんですね。
昔は宇宙戦艦ヤマトやら、銀河鉄道999やらの影響で
(僕はなぜかまったくガンダムを通っていない…おそらく周囲でやたら流行っていたせいだと思う。ひょうきん族より全員集合、キャプテン翼より死神くん、携帯よりもPHS、ドコモよりau、WinじゃなくMac…等々、僕はどうも非主流派びいきなのだ)、
とにかく宇宙にあこがれたもんだった。
ブラックホール、スペースコロニー、ワープ航法、超新星、相対性理論…
宇宙はいぶたろう少年のロマンだった。
人知を越えた壮大な世界、解き明かされることのない謎。
大人になったら当然宇宙に行ける時代がやって来る、
そしたら必ず宇宙へ行く、と誓いを立てたものだった。
…もちろん、すべての前提は松本霊士の設定する宇宙にある。
すなわち、お手軽に行けて、お手軽に帰ってこられる。
厳重で窮屈な装備など必要ない。
薄くてスマートでスタイリッシュな宇宙用戦闘服1枚。
できればマントもお願いしたい。
デスラー総統もハーロックもマント完備だ。
これで空気がないのにはためけばカンペキだ。
さらに言えば空気がないのに、音が聞こえればさらによし。
(宇宙空間に浮かぶ戦艦と戦艦のデッキに立って会話しちゃうんである)
空気がないけど、やられると煙は出るべきだ。
空気がないけど、戦闘機で外へ出て自由に飛び回りたい。
あまつさえ、宇宙服も着ないで甲板に出て、
自分の戦闘機に布で磨きをかけながら美人女性乗組員と会話したい
(宇宙戦艦ヤマトで実際にあったワンシーンである)。
しかし、大人になってすべては儚い夢と知る。
人の夢と書いて「儚い=はかない」とは、出来すぎだ。
重力圏から脱出するのに想像を絶する推進力を必要とし、
そのために消費する燃料も莫大で、
ロケット発射後の姿勢制御の技術も非常に難しく、
さらには摩擦熱や放射線との闘いもある。
「厳重で窮屈な装備」は必需品なのだ。
なきゃ死ぬ。
しかし僕には閉所恐怖症の気があり、
少しでも五体の満足が利かないと、
気が狂いそうになるのだ(満員電車がとにかく苦手だ)。
しかも、あの厚着。
あんなんでへその周りとか痒くなったらどうすんだ。
かけないとなるとあっちこっち痒くなるのが僕の身体だ。
生き地獄だ。
そのまま数時間座席に縛り付けられるんでしょ?
いやー、無理だ。無理。
ましてあんな狭い宇宙ロケットやステーションの中、
想像だに身の毛がよだつ。
どっか開いたら即死ぬし、何かが起きたら帰れない。
こわいよー。
こあいよー。
…僕は自分の平和と安全を第一に考える人間だ。
自己犠牲など微塵も検討しない。
戦場とか、深海とか、高空とか、まっぴらごめんだ。
痛みと苦しみは出来る限り排除したい。
未体験だが、手術だって恐ろしくてたまらない。
希望死因は老衰だ。
こんな人間に宇宙はとても向くまい。
そんなちっちゃいちっちゃい僕に代わり、若田さんは宇宙へ旅立つ。
すごい勇気だと思う。
てか、このアホATOK、
いまの一発目の変換「スゴイ祐樹」だったぞ。
どんな目黒祐樹だ。
笑顔で「行ってきます!」と手を振る彼の姿に、
遠き日の夢を重ね、心の奥から喝采を送った、
昔の少年は僕だけではあるまい。
彼の成功と安全な帰還とを祈りたい。
で、僕が突っ込みたいのがテレビのリポーターである。
まるでハシャイじゃってんである。
オレンジ色の宇宙服に身を包んだ数人の宇宙飛行士たち。
これからシャトルに乗り込みます、というところで、
一列に並んで見送りの人々に手を振る感動的なシーン。
そこで日本のワイドショーのリポーターである。
もう割れんばかりの大声で、
「わかださぁぁん!!わ、わくぁだすわぁぁん!!」
・・・恥ずかしい・・・。
彼の絶叫はなお続く。
「ひ…ひとこと!いまの心境を、一言ぉおお!」
・・・いまの心境もなにも、なあ。
彼はこれから仕事場へ行くんだぜ。
お前は出張のたんびに今の心境を周囲に吹いてまわるのか?
なおも絶叫して同じ質問をくり返す彼に、若田さんは笑顔を崩さず、
「行ってきます、がんばってきますね!」
それに対しリポーターは聞いてんだか聞いてないんだか、
「わかださぁぁん!!わ、わくぁだすわぁぁん!!」
・・・落ち着け。お前が行くんじゃないぞ。
何度か同じ質問をくり返したあと、
このリポーターが次に思いついた質問が、スゴイ。
「わ、わかださぁぁん、
準備は、準備は万全ですかぁぁぁっ?!!」
・・・・・・・・・・・・・。
今から乗り込むところだぞおい。
僕が若田さんなら絶対言うなあ。
「わりゃ、これが準備できてないように見えるんかぁい!」 「全力でこれ宇宙服やぞ!!」 「忘れ物チェックせえ、ちゅうんかい?!!」 「あまつさえそれを取りに戻れっちゅうんかぁい!!」
まだまだ、宇宙は身近なようで遠いのだ。
3ヶ月間もの本格的な宇宙ステーション滞在が目的だという。
そんな時代になったんですね。
昔は宇宙戦艦ヤマトやら、銀河鉄道999やらの影響で
(僕はなぜかまったくガンダムを通っていない…おそらく周囲でやたら流行っていたせいだと思う。ひょうきん族より全員集合、キャプテン翼より死神くん、携帯よりもPHS、ドコモよりau、WinじゃなくMac…等々、僕はどうも非主流派びいきなのだ)、
とにかく宇宙にあこがれたもんだった。
ブラックホール、スペースコロニー、ワープ航法、超新星、相対性理論…
宇宙はいぶたろう少年のロマンだった。
人知を越えた壮大な世界、解き明かされることのない謎。
大人になったら当然宇宙に行ける時代がやって来る、
そしたら必ず宇宙へ行く、と誓いを立てたものだった。
…もちろん、すべての前提は松本霊士の設定する宇宙にある。
すなわち、お手軽に行けて、お手軽に帰ってこられる。
厳重で窮屈な装備など必要ない。
薄くてスマートでスタイリッシュな宇宙用戦闘服1枚。
できればマントもお願いしたい。
デスラー総統もハーロックもマント完備だ。
これで空気がないのにはためけばカンペキだ。
さらに言えば空気がないのに、音が聞こえればさらによし。
(宇宙空間に浮かぶ戦艦と戦艦のデッキに立って会話しちゃうんである)
空気がないけど、やられると煙は出るべきだ。
空気がないけど、戦闘機で外へ出て自由に飛び回りたい。
あまつさえ、宇宙服も着ないで甲板に出て、
自分の戦闘機に布で磨きをかけながら美人女性乗組員と会話したい
(宇宙戦艦ヤマトで実際にあったワンシーンである)。
しかし、大人になってすべては儚い夢と知る。
人の夢と書いて「儚い=はかない」とは、出来すぎだ。
重力圏から脱出するのに想像を絶する推進力を必要とし、
そのために消費する燃料も莫大で、
ロケット発射後の姿勢制御の技術も非常に難しく、
さらには摩擦熱や放射線との闘いもある。
「厳重で窮屈な装備」は必需品なのだ。
なきゃ死ぬ。
しかし僕には閉所恐怖症の気があり、
少しでも五体の満足が利かないと、
気が狂いそうになるのだ(満員電車がとにかく苦手だ)。
しかも、あの厚着。
あんなんでへその周りとか痒くなったらどうすんだ。
かけないとなるとあっちこっち痒くなるのが僕の身体だ。
生き地獄だ。
そのまま数時間座席に縛り付けられるんでしょ?
いやー、無理だ。無理。
ましてあんな狭い宇宙ロケットやステーションの中、
想像だに身の毛がよだつ。
どっか開いたら即死ぬし、何かが起きたら帰れない。
こわいよー。
こあいよー。
…僕は自分の平和と安全を第一に考える人間だ。
自己犠牲など微塵も検討しない。
戦場とか、深海とか、高空とか、まっぴらごめんだ。
痛みと苦しみは出来る限り排除したい。
未体験だが、手術だって恐ろしくてたまらない。
希望死因は老衰だ。
こんな人間に宇宙はとても向くまい。
そんなちっちゃいちっちゃい僕に代わり、若田さんは宇宙へ旅立つ。
すごい勇気だと思う。
てか、このアホATOK、
いまの一発目の変換「スゴイ祐樹」だったぞ。
どんな目黒祐樹だ。
笑顔で「行ってきます!」と手を振る彼の姿に、
遠き日の夢を重ね、心の奥から喝采を送った、
昔の少年は僕だけではあるまい。
彼の成功と安全な帰還とを祈りたい。
で、僕が突っ込みたいのがテレビのリポーターである。
まるでハシャイじゃってんである。
オレンジ色の宇宙服に身を包んだ数人の宇宙飛行士たち。
これからシャトルに乗り込みます、というところで、
一列に並んで見送りの人々に手を振る感動的なシーン。
そこで日本のワイドショーのリポーターである。
もう割れんばかりの大声で、
「わかださぁぁん!!わ、わくぁだすわぁぁん!!」
・・・恥ずかしい・・・。
彼の絶叫はなお続く。
「ひ…ひとこと!いまの心境を、一言ぉおお!」
・・・いまの心境もなにも、なあ。
彼はこれから仕事場へ行くんだぜ。
お前は出張のたんびに今の心境を周囲に吹いてまわるのか?
なおも絶叫して同じ質問をくり返す彼に、若田さんは笑顔を崩さず、
「行ってきます、がんばってきますね!」
それに対しリポーターは聞いてんだか聞いてないんだか、
「わかださぁぁん!!わ、わくぁだすわぁぁん!!」
・・・落ち着け。お前が行くんじゃないぞ。
何度か同じ質問をくり返したあと、
このリポーターが次に思いついた質問が、スゴイ。
「わ、わかださぁぁん、
準備は、準備は万全ですかぁぁぁっ?!!」
・・・・・・・・・・・・・。
今から乗り込むところだぞおい。
僕が若田さんなら絶対言うなあ。
「わりゃ、これが準備できてないように見えるんかぁい!」 「全力でこれ宇宙服やぞ!!」 「忘れ物チェックせえ、ちゅうんかい?!!」 「あまつさえそれを取りに戻れっちゅうんかぁい!!」
まだまだ、宇宙は身近なようで遠いのだ。