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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

第3手根骨の矢状断方向の盤状骨折

2017-11-29 | 関節鏡手術

「第3手根骨の剥離骨折だから」と言われて、来院した2歳競走馬。

跛行はかなりひどい。

直線常歩で、はっきりわかる。

Dyson Grade で4/8。

盤状骨折してるんじゃないか?と思ってX線撮影したら案の定。

ただし、よくある部位の盤状骨折ではなく、最内側の矢状断方向の盤状骨折だ。

小片骨折 chip fracture だと聞いていたし、

「X線画像は見舞金請求のために競馬場へ送って手元にない」と言われていたので、こちらでは術前評価はどうしようもなかった。

スクリュー固定の器具をそろえて滅菌を開始する。

関節鏡で関節腔内を見たら、あちこちかなり傷んでいた。

鏡視下で目印の針を刺し込んでおいて、

透視装置を遠位近位方向で見ながら、4.0mmキャンセラス(海綿骨)スクリューを入れた。

1本入れたが遠位すぎたので、もう1本その近位に入れた。

神経すり減らした。

                           -

午後は、競走馬の後肢の跛行診断、x線撮影で診断つかず。

続いて2歳馬の去勢。

歩様が悪く、しかし超音波で腱の異常はわからず、MRIで遠位部の浅屈腱炎と診断されているそうだ。

そういう時代なんだな。

                         /////////

今日は、夜6時から、馬の歯科のDr.Hydeの講演があるよ。

 

 

 

 

 

 



4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (はとぽっけ)
2017-11-30 07:11:05
 ここ?!どうするの?!って感じです。すぐに治療のイメージがわき、用意できちゃうんですね。
 こんなおんまさんもレースに出走しているのでしょか?まさかとは思いますが、痛々しい。でも、治してもらえるのは幸せなこと。
 ↓記事に書いたわんこ、その後話題に上る度、母は無言でうつむいて。晩年、「あのときはおなかをすかせ、足やあちこち傷だらけで帰ってきた。かわいそうだった。」と言っていました。今ならはとぽけも泣いてる場合じゃない!って思うものね。
 歯の健康は競走馬にも大事、なんでしょね。
 今日もいい日になりますように。
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>はとぽっけさん (hig)
2017-12-01 17:55:24
これもまたRichardson教授に教わっていたので対応できました。本当は割れ方を把握しておいて、ちゃんと準備して手術したいのですがね。

相棒の帰巣能力を試してみたい気がしますが、やめときます;笑
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Unknown (zebra)
2017-12-06 07:54:47
割れてしまうととってしまうことになると思うのですが、やはり予後はかなり違うのですか。

MRIでわかるようになるのは進歩だと思います。
MRIに入れれば全部わかるとそうしてしまうようになれば、時代の変化でしょうね。
そう言う短絡が診療技術を上げるとは到底思えませんが、機械は安くなるでしょうね笑
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>zebraさん (hig)
2017-12-07 05:29:44
この矢状方向への盤状骨折を摘出したことは私はありません。隣の第2手根骨で抑えられているし、第3中手骨まで割れていると思われるので、摘出は相当たいへんだし、回りにダメージを与えると思います。スクリューで留めないなら、そのまま温存でしょうね。

私の世代だと、なんだかわからないからCTやMRI撮ってみようという発想そのものがありませんでした。しかし、これからはそういうのもありなんじゃないかと思いますね。強力な”武器”であることには間違いないでしょう。
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