たぶん親馬に蹴られたのだろう、下顎骨が左右両側折れてしまった子馬。
まだ乳を飲まなければいけない日齢なのだが、口が閉じず、乳を吸えない。
もちろん痛いせいもあるだろう。
ひどく腫れているのは内出血だけではなく、口の中に傷が開いているので、感染も起こっている。
プレートで下顎骨を内固定することにした。
吸入麻酔は、鼻から気管へ挿管してもらう。そのことで、上顎と下顎がしっかり閉じれるように整復してから固定できる。
まだ小さい子馬なので、プレートはスモールと呼ばれるシリーズを使った。
3.5mmの皮質骨スクリューや、4.0mmの海綿骨スクリューがピッタリ会うようにできている。
スクリューは4.0mm海綿骨スクリューをつかった。
骨が柔らかいのでタップを切らないでも入っていく。
1ヶ月してプレートは除去した。
長く入れておくと下顎が成長できないのでカケスになってしまう。
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下顎骨骨折はいろいろな内固定方法が提案されているのだが、私はプレート固定が好きだ。
今日は1歳馬の飛節の離断性骨軟骨症の関節鏡手術。
当歳馬の耳の血腫切開。
当歳馬の肢軸異常のシングルスクリュー+骨膜剥離+蹄処置。
(右はx線透視装置で見ながら中足骨にドリルで穿孔しているところ)
ひだか東農協トレーニングセールはまずまずの売れ行きだったようだ。
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いつも勉強になる記事をありがとうございます。
両側性の下顎骨折の治療では、往診においてもTIVAだけで安価に実施できる、「U字金属棒+ワイヤー固定」の整復法をよく目にします。でも、クリーンルームが使えるならば、やはりプレート固定のほうが、骨折部位の安定性は良いのでしょうか?
あと、下顎の前半分では皮下組織が殆どないので、プレート+螺子固定のあと皮膚縫合がキツくなったり、術創感染が起こりやすそうな気がするのですが、先生の経験ではどうですか?
U字棒はTIVAでできますか。それには感心しますが、固定はプレートの方がしっかりできると思います。そして、臼歯が短い若い馬ではU字棒を臼歯に固定するのが難しいと思います。
口が開く方向に変位していることが多いですが、プレートを多少曲げておくことでその修正もできます。
ひどく折れている(変位している)ときは、口の中が裂けていますので、プレート周囲の感染は問題ですが癒合不全をおこしたことはありません。
皮膚が余裕がないので厚いプレートは入れられません。いずれLCPも使ってみたいところですが・・・値段が(笑)