1歳馬が腕節を骨折し、肢が外反している、との緊急連絡。
ロバートジョーンズバンデージを巻いて、肢の外側に、き甲まで伸ばした添え木をつけて来院した。
応急処置としてはほぼ完璧。
放牧地で見つけたときは、体重がかかると肢はグニャと外反していたが、RJバンデージと添え木をつけたら、歩けるようになった、とのこと。
そのまま、馬運車の中でXray撮影。
第二中手骨、第4手根骨、第4中手骨が骨折している。
そのことで、腕節遠位部が安定を失い、第4手根骨が粉砕しているのと、手根骨と中手骨を固めている靭帯が損傷して肢は外反してしまう。
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競走馬にするのは厳しい。
しかし、雌で、名血なので繁殖供用したい、とのこと。
この部分の骨折は何度か手術したことがある。
それらの馬は、手根骨の遠位列で最も大きい第三手根骨が第三中手骨と剥がれていたので、背側からTプレートを当てて固定した。
しかし、この馬はその動かない関節は剥がれていない。
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とりあえず、立ったままフルリムキャストで固定することにした。
できるだけ肘近くまで巻く。(腕節を固定するのが目的だから)
腕節を少し屈曲させる。(完全に伸展させると肢が長くなりすぎるし、副手根骨のところでキャストずれする)
球節はやや伸展させる。(完全に直線にすると肢が長すぎるし、負重姿勢にすると種子骨のところでキャストずれする)
蹄は少しヒールアップし、ヒールブロックを入れる。(その方が馬が楽だから)
蹄尖部は磨耗に耐えられるように樹脂で補強する。(蹄が露出すると途端にキャストずれする)
キャストトップ、橈骨遠位の内側、副手根骨、種子骨は外科用フェルトで保護する。(キャストずれするポイントは決まっている)
なんとか上手く巻けた。
(つづく)
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今日は爽やかな良い天気だった。
4月も半ばを過ぎた。
4月に入って開腹手術は10頭以上やっただろう。
それでも忙しいとは感じなくなった。
10頭のぽんぽん痛いだけなら忙しくないんでしょうけど、ネ。
シミュラクラでどこか顔に見えっとこないかなぁとさわやかな春の雲に見入る。
そうなんです。開腹手術だけ、昼間に、予定をたててやっているなら毎日やれますが、突然、夜中も、おまけに重なったりもしながら来ますし、他の診療もあります。