電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【ペッパー警部】
(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 10 月 23 日の日記再掲)
ブームに乗り遅れることは子どもの頃からしょっちゅうあった。
乗り遅れたことを笑われるのもまた誇らしかったりするねじれた性格だったので、遅れて乗ることもあれば乗り損ねたままになったこともあるが別段気にならない。
それに対してブーム自体が理解できなくて乗る気にならないし乗っている者の気が知れない思いをしたことは忘れられなかったりする。
昔 NTV に『スター誕生』という番組があり静岡の少女二人組が出てきたときは同郷なので「おっ!」と思ったけれど「(こりゃだめだ)」と思い、合格したので「(あらら…)」と思い、デビューが決まって「(えっ!)」と驚き、デビュー曲をひっさげて登場したときは「(やめてくれ~!)」と叫びたくなった。
3 学年下にあたる郷里の後輩が嫌いだったわけではなく、静岡出身の少女が B 級お色気タレントに変貌していく姿を見たくなかったのである。
清水江尻町『餃子倶楽部』にあったペッパー警部のミーちゃん。
清水江尻町『餃子倶楽部』にあったペッパー警部のケイちゃん。
DATA:Panasonic LUMIX DMC-FX8
それが次々に出す曲出す曲がヒット曲となり空前の大ブームを巻き起こす様子を見て唖然とし、一度も乗る気が起きないままブームは去って行き、今も持っている『スター誕生』出身歌手が世に放った夥しい数のレコードの中にピンク・レディのそれは 1 枚もない。
最近でも時折テレビなどで目にする根本美鶴代さんも増田啓子さんも昔から今日まで一貫して嫌いではないのだけれど(ケイちゃんはけっこう好き)、やっぱり今でもデビュー曲の『ペッパー警部』がかかって最後の「ペッパー警部だよ!」と言うセリフを聞くと両頬にサッと鳥肌が立つ。
しかも正しくは「ペッパー警部だよ!」ではなく「ペッパー警部よ!」だったのだと今調べてわかって、さらに鳥肌が立つ。
友人と飲んだ深夜にラーメンが食べたくなり『餃子倶楽部』に行って「昔ながらのラーメンを二つ」と注文したらおばちゃんは厨房に向かって「むかしふたつ!」と叫んでいた。
DATA:Panasonic LUMIX DMC-FX8
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