【勉強させていただきます】

【勉強させていただきます】

映画を見ていたら「勉強させていただきます」というセリフが出てきて妻と笑った。「勉強させていただきます」はわが家において、ひどくくすぐったい言葉づかいの範疇に入っているらしい。

ネット検索してみるとビジネス用語として「勉強させていただきます」の使い方を真面目に解説しているページがたくさんヒットするので、現代のビジネスパーソンはちっともくすぐったくないらしい。

二十代までは電機メーカーで会社員をしていた。その時の直属上司は「勉強させていただきます」と言う部下に対して「君ねえ、会社という実践の場で勉強をされても困るんだよなあ!」と小言を言っていた。こちらの方がわかる。そして「勉強させていただきます」と部下に言われても「君、会社のために自分の給料減額を申し出ているのか?だったら大いに勉強してくれ」とは言わなかった。

大阪人が「勉強しまっせ」と言うと本当に値引きしてくれるんだろうなと思う。標準語でも量販店店頭で「勉強させていただきます」と言われれば大いに勉強してもらいたいと思う。商売人はイヤイヤ客の値引交渉に応じる。

「勉(つと)め」を「強(し)いる」というのが勉強という言葉本来の意味で、気が進まないことをイヤイヤすることをさしていた。勉強の意味は時代とともに変化し、いまは場において変化する。そして突然笑いを引き起こす。

2024 年 5 月 9 日 SONY Xperia Z Ultra(新書サイズ)で Kindle

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20 音オルガニート

20 音オルガニートで春への憧れ(五月の歌) Sehnsucht nach dem Frühling K.596
作曲/W.A.モーツァルト

20 音オルガニートでハイ・ホー Heigh-Ho
ディズニー・アニメ映画(1937)『白雪姫』挿入歌
作曲/F.チャーチル

20 音オルガニートでいつか王子様が Someday My Prince Will Come
ディズニー・アニメ映画(1937)『白雪姫』挿入歌
作曲/F.チャーチル 

を公開。

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2024年5月号(通巻18号)まで公開中

 

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【『季刊清水』2023 通巻56号発売】

【『季刊清水』2023 通巻56号発売中】

戸田書店発行、雑誌『季刊清水』56号が戸田書店江尻台店店頭に並びました。

◉目次

巻頭詩 井戸………佐藤光江

【特集1】

岡に佇(たたず)

はじめに………鍋倉伸子・石原雅彦
村松友視さんに聞く 「ゆれる階」とは………編集委員会
牛道について 徳川家康の駿府と清水湊を結ぶ交通政策………北村欽哉
久能街道………中田元比古
大沢川………小澤邦雄
「清水御殿」とは何か………北村欽哉
下清水八幡宮について………山本量正
堂林に暮らして………鈴木芳子 聞き手:石原雅彦
望月勝さんに、堂林自治会のお話をきく………五味響子
我が青春の清水・堂林………大垣久雄
清水市文化センター………金子洋巳
清水二中、昭和最後のころ………夕霧さとこ
共生(ともいき)………小長谷英春
田中ワイシャツ店……… 聞き手:豊田久留巳

【特集2】

太田正樹コレクション………鍋倉伸子

「天池眞佐雄と三つの歌」補遺………石原雅彦

【清水と私】

巡航船………山本智義
海の見えない清水………杉田直樹
海は、市民のものだった………太田ふじ子
巴川………寺田 学
ぶらぶら清水を歩くPartⅡ 興津清見寺………山田裕道
通学路………大庭まどか

バックナンバー紹介

【編集後記

表紙画「海」 山口育三
1937年旧清水市生まれ。伊東市在住。 少年時代、 市内の展覧会で入賞 「天才山口」と言われた。 長じて建設業などを経て、還暦後から絵の勉強を再開。 2008年から2022年まで10回日本画の個展開催。 フェルケール博物館に「東海道53次今昔図」寄贈。本年9月、山口様の訃報がご家族より伝えられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

静岡新聞紙上にたびたび本誌の誌評を寄せていただいた詩人・小説家の三木卓様が  11 月 18 日に亡くなられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

表紙デザイン……石原雅彦

店頭での購入は

戸田書店江尻台店

郵送でのお取り寄せは本ブログ左サイドバーのプロフィールにあるメールアドレスから
直接石原宛にメールでお問い合わせください。

バックナンバーもお求めいただけます。

55号 2022年 特集1/高部の山裾を歩く
54号 2021年 特集1/清水の食材を楽しむ
53号 2020年 特集1/清水の銅像・野外彫刻の前で立ち止まる
52号 2019年 特集1/蒲原を道なりに歩く
51号 2018年 特集1/中世鎌倉期有度を思い描く
50号 2017年 特集1/由比を体感する

バックナンバー一覧はこちら

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【絵文字入りチャットを読む】

【絵文字入りチャットを読む】

人間の話す言葉がたくさんの言語に分かれて互いに意思の疎通が困難になった理由は、旧約聖書創世記に書かれたバベルの塔、その根本に埋まっている。天に達するほどの高塔を立てようとした人間に怒った神が与えた罰、それが、ひとつであった人間の言葉を混乱させるため互いに通じないたくさんの言語に分けてしまう、ということだった。

   ***

言葉について書かれた本を読んでいたら、著者Aが「面白いですよ」と薦め、著者Bが「読んでみます」と応じ、共著である本の中で共著者同士が別の本の話をしている。

「面白いですよ」「読んでみます」

この対話の中には面・白・読と漢字が3つある。

その3つの漢字の中には=「首(あたま)+外側をかこむ線」、=「どんぐりの実の台座+台座の上にある実自体」、=言+売、言=「辛(きれめをつける刃物)+口」、売(賣)=「出+音符「買(賈)」=「网(あみ)+貝(財貨)」が含まれるている。

漢字は耳で聴く音ではなく、眼で視る絵記号(アイコン)のようなものであることがわかる。話し言葉による意思の疎通が困難になった多民族大陸での発明である。

書かれた日本語の文章は、絵記号(アイコン)である漢字が表す意味(表意)の裏に日本語としての読み(表音)を割り当て、さらに音そのものである「かな」を組み合わせた「漢字かな混じり文」という工夫になっている。

「漢字かな混じり文」によって書き表された日本語の対話は、音と絵を一緒に読む「絵文字入りチャット」になっていて、日本人はそれを器用に混ぜ合わせて読んでいる。速読もそういう伝達構造をうまく利用しているように思う。

2024 年 5 月 8 日 2022 年春にベランダで発芽したイロハモミジ

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ディズニー・アニメ映画(1937)『白雪姫』挿入歌
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【 He is not what he was 】

【 He is not what he was 】

2024 年 5 月 6 日。休日とはいえ月曜日だったので、
「やばい! もう 7 時 10 分過ぎだ、BS の朝ドラ観ながらの朝食には間に合わない!」
と飛び起き、慌てて朝食準備をしながら改めて時計を見たら、まだ午前 5 時台だった。

そういうパニックは思い込みから起こる。すっかり夜明けが早くなって、夜は昔の夜ならず(太宰治風)になっている。

朝食準備が整う頃合いを見計らって起きてきた妻に、「慌てて飛び起きたら 2 時間も早くて、目が冴えちゃったのでそのまま起きてる」と言ったら「ジジイだ」と笑われた。

若い頃は開高健の「悠々として急げ」を座右の銘としていたけれど、もう若くない。彼は昔の彼ならず。これからはドタバタせず、
「落ち着きはらって慌てろ」
という態度で行こうと思う。

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図書館に借り出し予約したアーヴィング・ラパー監督『アメリカ交響楽』(1945)が貸出中で戻らないので、ふと開架で目についたジーン・ネグレスコ監督『ジョニー・ベリンダ』(1948)を借りてきたら名画だった。妻は「泣いちゃった」という。

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【亀女房】

【亀女房】

異類婚姻譚(いるいこんいんたん)のひとつである『美女と野獣』(1946)を映画で観たついでに、ウィキペディアを読んでいたら、日本における例として浦島太郎のお話が上がっており、なんと

亀女房 - 例:浦島太郎(明治時代になるまで、乙姫は亀であった。)

と書かれている。乙姫が亀であったことを知らなかったのでびっくりした。

むかし【乙姫さまとブヨ女房】と題してこんな日記を書いた。

 助けたカメに連れられて竜宮城に行き、乙姫さまの接待を受けて楽しく過ごし、元いた海辺の村に戻ったら驚くほどの歳月が過ぎて見知らぬ人ばかりになっていた、というのが浦島太郎の悲しいお話なのだけれどその逆の話しもある。
 若者がたんぼ道を歩いていたらブヨがわいており、そのうちの一匹が美しい女性に姿を変えて女房にして欲しいという。手に手を取って所帯を持ち、子どもももうけ、長年連れ添って幸せに暮らすのだけれど、悲しいことにブヨ女房に先立たれてしまう。泣く泣く元いた村に戻ったら、ブヨの女房と過ごした幸せな歳月は、わずか半時の間の出来事に過ぎなかったという話しだ。
 長命なカメと短命なブヨが出てくる二つの話しを並べてみると味わい深く、そんなふうに時間という不思議なものは、一人ひとり気持ちの持ちようで長く感じたり短く感じたり、伸縮自在なのだと昔話は教えている。(2009 年 6 月 21 日)

儚いブヨ女房と長命な亀女房なら伸縮した時間の差は、一人ひとり気持ちの持ちようでは済まされないほど、あまりに大きすぎる!と夢から覚めたように思う。

2009 年 5 月 30 日 港橋から見る巴川下流。この港町には羽衣伝説も浦島伝説もある。

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【フェルメールと iPad 】

【フェルメールと iPad 】

異類婚姻譚(いるいこんいんたん)のひとつである『美女と野獣( La Belle et la Bête )』が 1946 年にジャン・コクトーの監督によりフランスで映画化され、それが DVD になって図書館にあったので借りてきて夕食時に観た。

手のこんだ撮影セットとモノクロームの映像美に感心し、農家のシーンでは「フェルメールの絵みたいだ!」と声が出て、美女のベルが、何でも見ることができる魔法の鏡を操作する場面では「こんな昔から iPad を使ってる!」と笑いが出た。

文京区立千石図書館

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【図書館の読書記録】

【図書館の読書記録】

文京区立図書館で、女性作家の自伝的著作を借り出して読んだら、近所にある商店街の豆腐屋や魚屋の話が出てきてびっくりしたことがある。そうかこの人は駒込界隈の住人だったことがあるのかと、急に親しみを覚えた。

親しみを覚えたくせに、その人が誰だったかがどうしても思い出せない。思い出せないのが場所や物ではなく人間だと余計に知りたい気持ちが高まるのだけれど手がかりがない。

文京区立図書館サイトのマイページにログインすると自分が借りた本の読書記録が残ている。そうだあれを遡ればいいんだと思い、アクセスしてみたら記録が残っているのは 101 件で 2023 年 4 月以前のデータがない。そこがサービスの利用開始地点だったのかもしれない。残念。

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【鉛筆が一本】

【鉛筆が一本】

昔むかし、カメラのレンズはそれぞれに個性的で、H の硬い芯の鉛筆ではなく、B の柔らかい鉛筆で描いたような骨太の写りをする物があった。

上空に電信柱のある風景写真を撮ると、電線が空に溶け込んで消えてしまわず太めに写るのが不思議で、雑誌のテスト記事にもそういう実写による評価があった。

本を読んでいて気になったところはスマートフォンで撮影しておいて読み返す。手元にある古い iPhone にそういうくっきりした写りをするレンズがついていて、撮影した本の文字が太めにくっきり写るような気がする。

というわけで携帯電話として使わなくなった今も写真メモ用の道具として愛用しており、小さい B の鉛筆が一本いつもポケットに入っている。

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20 音オルガニート

20 音オルガニートでブラームスの子もりうた Wiegenlied
作曲/J.ブラームス

20 音オルガニートで遥かな友に Harukana Tomoni
作詞・作曲/磯部淑

20 音オルガニートで僧院の庭 Souin no niwa
ボヘミア民謡のメロディを原曲とする日本の古い歌曲。原題・原曲不明。
チェコ民謡 Ej padá, padá rosička か?

を公開。

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2024年4月号(通巻17号)まで公開中

 

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【ろくでなし】

【ろくでなし】

「ロクなものが」と言ったら「できない」と否定するものだという思い込みがあった。ロクなものが「できる」という肯定的意味の言葉遣いが、いま読んでいる本にあってけつまずいた。

「ロクなものの生まれる可能性はごく小さいはずである」というのがその本からの正しい引用で、ここで言われる「ロクなもの」は悪いものではないらしい。「ろくでなし」や「ろくなもんじゃねえ」という歌の文句に引っ張られて「ロクなもの」のロクの正しい意味を知らなかった。

ロクは漢字で陸と書き、平坦で、ゆがみなく、正しく、まっすぐで、まじめで、きちんとして、十分に満足なことを言うと辞書にある。だから「どうか君はロクな人間であってくれ」という言い方も、するかどうかは別にして間違ってはいないわけだ。

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友人たちとの飲み会に新しいビールを買って行ったら「ああ、新しいビールはうまい!」と皆が言う。ブルーが爽やかで春にふさわしい。「お釣りに新紙幣をもらったよ」と言ったら「あら御自慢のホログラムが無いじゃない」と妻が言う。

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20 音オルガニートでブラームスの子もりうた Wiegenlied
作曲/J.ブラームス

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ボヘミア民謡のメロディを原曲とする日本の古い歌曲。原題・原曲不明。
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【飲み物と編み物】

【飲み物と編み物】

「あっという間に GW 前半が終わってしまいました…」
という、ちょっと切なさを感じる時候挨拶のある仕事メールが届いた。あっけなく前半が終了し、ゴールデンウィーク前後半の谷間に暦通り出社したのだろう。

メールの時候挨拶は書き手と読み手が立つ対話劇の舞台背景に、共有できそうな絵柄の軸を選んでひょいと掛けることに似ている。掛け軸が一本あるだけで互いの存在の座標が定まる。「そうか、あっという間だったのか」と書き手の気分になって用件を読む。

時候挨拶とはカタカナ言葉でいえば二人がコンテキストを共有することであり、背景を確認し合うことで続く本題に入りやすくしている。コンテキスト(文脈)の語源はラテン語の「一緒に(con-)編んだ(texus)」だという。

メールの送り主が毎朝通う職場近くに『カレーは飲み物。』という店名のカレー屋があるのを思い出した。カレーが飲み物であるように、会話は編み物なのである。

Google map

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作詞・作曲/磯部淑

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ボヘミア民謡のメロディを原曲とする日本の古い歌曲。原題・原曲不明。
チェコ民謡 Ej padá, padá rosička か?

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