COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
戦時下
D810 + AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G
大きな画像
朝、母親と話していたら、いきなり米国と英国の関係についての話題をふってきた。
最初は意味がわからなかったが、すぐに理解した。
昨晩の「刑事フォイル」を見たのだろう。
あちこちで面白いと話題になっている刑事フォイルであるが、やはり一番のポイントは特殊な時代設定であろう。
第2次大戦中の英国南部の田舎町が舞台である。
昨晩の刑事フォイルのストーリーは、その田舎町にアメリカ軍が乗り込んできて農地を接収、飛行場を建築しようとする話であった。
土地の人たちの多くは保守的で、いきなり踏み込んできた米軍のことを、外部から来た侵入者という目で見る。
一方米国人たちは明るく単純で、合理的に物事を進めていく。
まるで正反対の人々である。
当然衝突が発生して、事件が起きるというわけだ。
食料も枯渇してジリ貧の生活をする英国の人々の間に、豊富に食料を持つアメリカ人たちが、ジープで乗り込んでくる。
現地の人たちは、彼らの少々デリカシーに欠ける態度を不快に思い、遠巻きにして様子を窺う。
暗く重々しい生活が身についている英国人と、明るく騒がしいアメリカ人たちは、簡単には打ち解けることが出来ない。
英国は実力面でドイツに対抗するのは厳しく、戦局は日々悪化しており、国中の人が危機感を抱いている。
米国の手を借りなければ勝つことは難しく、いつまでたっても助けてくれない米国に不満を持っていた。
ところが、やっと米国の参戦が決まっても、今度は異質なものたちの浸入に戸惑いの表情を見せる。
土地を取り上げられた者は、侵略されたのと同じだと怒りをあらわにする。
一方米兵たちも、一見明るく振舞っていても、自分たちと直接関係の無い戦争に巻き込まれたことに、心の奥底では強い不満を抱いている。
この当時の英国の内情は、僕の母親の世代にも新鮮に映ったようだ。
当時の日本には、同じ英語圏である米国と英国は、兄弟のような国という認識があったという。
連合軍の同志として、親戚のように親しい間柄だろうと思っていたのだ。
同じ英語でも当然発音や言い回しに違いがあり、かえってそれが気に障るのか、現地の人たちは眉をひそめる。
昨日は、主人公のフォイルが米軍に請われて、若者たちを前に英国と米国の違いについて説明するシーンがあった。
お互い上手くやっていくために、どのような事に気をつけるべきか、若い兵士たちに習慣の違いなどを話したのだ。
住人との衝突、特に現地の若い女性がからむトラブルは十分に予想される。
昔、父親が話していたことを思い出した。
戦後オーソン・ウェルズが出演した「第三の男」が公開された時、「ヨーロッパ映画の中に登場するアメリカ人」の描かれ方を見て驚いたというのだ。
あの強大な敵国であった米国が、ヨーロッパではピントの外れた田舎者として扱われている。
当時の日本人にとっては、それは新鮮な驚きであったのだ。
母親は、この時代特有の重苦しさを感じ、時にこのドラマを見るのが辛くなるという。
戦時中の日本と共通する空気を感じるらしい。
生活の根底に常に不安が付きまとい、人間の暗い面が表出する。
そこは、単にドラマを楽しみながら見る我々の世代と少し違うところだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
次ページ » |