境界線


FUJIFILM X100V

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こうクマがあちこちに出没すると、自分の行動にも具体的に影響が出てくる。
今までのように、境界線を越えて、山の中に気軽に入る訳にいかなくなる。
よく撮影に行く場所の中には、クマが出てもおかしくないところがけっこうある。

現在クマとの遭遇事件が多く発生しているのは、東北地方や日本海側に集中している。
今のところ関東地方は、そこまで件数が増えているわけではないのだが、油断はできない。
原因はドングリなどの不作と言われているが、地域によって多少差があるだけだろう。

Mrs.COLKIDの実家の裏山は、僕が好んで撮影に行く場所である。
その山にクマが出たことは無いそうだが、野犬はしばしば出るので、義父から武器を持っていくようにと言われていた。
実際歩いていて野犬に遭遇したことがあって、こちらの方が先に気付いたので、音を立てて追い払った。

誰もいない林の中などで、たったひとりで撮影していると、やはり不安に襲われることはある。
ここならクマがいてもおかしくないな・・と思う。
ファインダーを覗いていると、背後が完全に無防備になるので、本能的に危険を感じるのだ。
イノシシなど大型の生物が生息しているのは確かで、夜中になると下りてきて畑を荒らす。

地元の人は、この山にはクマは出ないと言い張るのだが、すぐ隣の福島にはよく出没する。
何故か、クマは4号国道を越えて来ない・・という根拠の無い言い伝えがあり、国道の東側にある実家の辺りは安全だと言うのだ。
しかしどこまで行こうがクマの勝手であるし、食べるものが無ければ、クマだって隣の山まで遠征することもあるだろう。

今年問題になっているのは、クマが境界線を越えて人間の住む街まで下りて来ることだ。
山と隣接した場所には、そこが住宅街であろうが関係なく、いつクマが現れてもおかしくない。
人の生活圏にどんどん踏み込んでくるし、下手をすると家の中にまで上がり込んでしまう。

ドアを開けたら目の前にクマがいたり、トイレに行こうと廊下に出たら鉢合わせ・・なんて、堪ったものではない。
那須の家の場合、同じ敷地内にある納屋などは、いかにもクマが餌を探して入ってきそうな場所である。
軒下に吊ってある野菜も、片付けておかないと、クマを呼び寄せかねない。

僕がよく撮影に行く日光にも、クマの出没する場所はたくさんある。
奥日光のハイキングコースは、完全にツキノワグマの生息地であり、もともとクマがうろついている。
今までは、まあ昼間なら大丈夫だろうと、カメラを持ってひとりで入っていった。
仮にクマが藪の中に潜んでいても、向こうから好き好んで出てくることはないだろう・・と考えていたのだ。

しかし腹を空かせたクマがうろついているとしたら、話は別である。
餌を奪いに来た侵入者と見て、攻撃をしかけてくることもあり得る。
少なくとも今年は、不用意に山の中に踏み込むのは控えた方がよさそうだ。

山の上の方の奥日光は当然として、下の日光にもクマの出没する地域は多い。
自然の多い場所なので、街から一歩出れば山林が続き、クマの生息域とは隣り合わせているのだ。
百地蔵のある憾満ヶ淵などは、日光のメインストリートから少し入ったところにあるが、以前から「熊出没注意」の立て札が立っていた。
うっそうと木々の生えた鳴虫山に隣接しているので、クマも時折山から下りて来るのだろう。

クマによる人間への獣害事件は、世界的な現象で、北米などでも急激に増加しているという。
今までは人間とある程度棲み分けが出来ていたが、そのバランスが崩れてきたようだ。
原因はやはり気候変動による食糧不足で、飢えたクマが人間を襲うようになったのだ。

地球温暖化の影響なので、一時的なものではない。
今後はこの気候が標準、あるいはより進んでいくので、クマとのトラブルはさらに増えていく可能性がある。
クマには行動力があるので、最初に人間とのぶつかり合いが顕著化したが、他の生物も程なく人間との境界線を越えてくるのではないか。
温暖化による気候変動に伴い、野生動物との付き合い方を、早急に変えていく必要がある・・ということだ。
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