攻撃


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ご存知の通り、日本各地でクマによる人への被害が発生している。
餌になるドングリが不作で、冬眠前に腹をすかせたクマが人里・・というより街にまで下りてくるのだ。
そして人間と鉢合わせしてしまい、多分お互いにパニックになり、クマは人間に攻撃をしかけてくる。

もともとクマは住みにくい山の中が好きなわけではなく、人間に山奥に追いやられていったというのが実情である。
そのため食物が無ければ、意外に抵抗なく街にまで下りてくる。
実際クマに発信機を付けて行動を調査したら、人間の生活圏のすぐ横に潜んで、人々の生活の様子を窺っていたという話もある。

僕は以前は自称クマ研究家でもあった。
大正時代に北海道の苫前で起きた日本上最悪といわれるヒグマ襲撃事件の現場にも、テレビ番組などで有名になる前に、わざわざ現地に見に行ってきたほどだった。
もう20年も前の話なので、このブログ開設以前で、残念ながらその時のことは記事にしていないが、ここにその時に撮った写真を数枚載せたことはある。
2005年4月19日の日記
2019年8月6日の記事

今年は事件があちこちで発生し、毎日のようにクマに襲われたという報道があるため、クマに関する知識が一気に一般化した。
クマとはこういうものだ・・・と語る人も多く、僕の知識程度では追いつかなくなっている。
以前、ヒグマと遭遇してしまい襲撃された場合にも、こうすれば助かるかもしれない・・と書いたことがある。
2019年8月8日の日記
ただしクマはそれぞれ個性があるので、上記の方法がまったく通用しない場合もあり得るので、その点はご了承いただきたい。

先日クマに襲われた人が、襲ってきたクマを追いやろうと足で蹴ったところ、まるで岩のように硬い物体であったという話をされていた。
クマの体は筋肉の塊と言ってよく、全力で走ると速度が時速50キロほど出るというのは有名な話である。
(クマに追われて車で逃げた人が、クマと並行に走りながら速度計を見て分かったという)
普段はのんびりしているように見えるが、興奮して走り回った時の映像を見ると、まるでヒョウのような躍動的な動きをしていた。
また爪はご存知のように鋼鉄のように硬い鋭利なものである。

あの筋肉であの爪で攻撃されたら、そのパワーたるや壮絶なものである。
それこそ建設機械のパワーショベルのアームの直撃を食らったようになる。
しかも相手は本能的に顔の周辺を攻撃してくるので、肉や骨が激しく損傷し、眼球などを失った被害者の方も多い。
報道ではクマに引っかかれた・・などと書かれるが、猫に引っかかれるのとは訳が違う。
直接の攻撃を受ける状況にまでなってしまったら、地面に伏せて丸くなり、急所である頭と首を腕で保護し、手がボロボロにされても耐えるしかないという。

以前よりそうであったが、クマの駆除に対し、役所に抗議の電話が殺到している。
中には感情が高ぶり泣き出す人や、何度もかけてきては一方的に怒りをぶつける人もいるという。
今回特徴的だなと思ったのは、それらの電話に対し、マスコミが批判的に報道しているところだ。
そういう方向性が世の中に出来つつあるのだ。

人間の生活圏にクマが浸入し、一般の人達に危害を加えるという事例が急増したら、役所としては駆除しか対処方法は無いのだろう。
何か対策を考えているうちに、次々に犠牲者が増えていく。
何しろ自宅のドアを開けたらそこにクマが立っていて、いきなり鉄の爪で攻撃を仕掛けてくるのだから、現地の人たちも堪ったものではない。
もちろん理想は、人間と野生動物の生活圏をはっきり分けて、互いに距離を置きながら共存していくことである。
そのためには、より長期的な視野で、そのための環境作りに取り込んでいく必要があるのだ。
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