酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

初秋のスポーツ雑感~正しい観戦法は俯瞰よりもズームアップ?

2018-09-19 22:39:12 | スポーツ
 政権には尻尾を振るメディアだが、スポーツ界には厳しい。アメフト、レスリング、ボクシング、体操、駅伝、ウエートリフティングと、今年に入って各競技の暴君が炙り出された。

 日本で1992年に発刊された「黒い輪」(ヴィヴ・シムソン&アンドリュー・ジェニングス著、広瀬隆訳)はスポーツ界の実態を抉っていた。FIFAやIOCを牛耳るのは、フランコの子分だったサマランチ元IOC会長を筆頭にファシストの系譜を継ぐ者で、大企業と手を組み〝腐敗の輪〟を形成する。この構図は四半世紀後も変わらない。森喜朗東京五輪組織委員長もファッショ的体質の持ち主で、数々の汚職疑惑をすり抜けてきた。

 スキゾの典型である俺は、何かに肩入れするのが嫌で、俯瞰の目で複数のスポーツを楽しんできた。例外はサッカーのオランダ代表である。反面教師にしたのは、中高時代の教師たちで、阪神が負けると機嫌が悪くなる。巨人が9対0でV9を決めた1973年10月22日の甲子園決戦で、彼らの落胆ぶりが記憶に鮮明に残っている。

 教師たちは〝反面〟ではなく、実はスポーツとの正しい接し方を示していたのではないか。そんな風に感じ始めている。〝贔屓する=愛〟抜きでスポーツを観戦するのは簡単ではない。ロシアW杯が面白かったのでここ数週、プレミアとリーガの試合を見てきたが、さっぱり身が入らない。開幕したばかりのNFLも同様である。

 面白いと感じるためには〝愛〟が必要だ。贔屓チームをつくることを決めた。NFLではピート・キャロルHC率いるシーホークスを応援してきたが、ジョン・グルーデンが17年ぶりにHCに復帰したことを知り、レイダースを贔屓に加えることにした。ともにスーパーボウルを制覇した名将で、キャロルはプレーヤーズコーチ、グルーデンはワーカホリックの熱血漢と対照的だ。ともに2連敗とつまずいた両チームは来月15日に対戦し、日テレジータスが生中継する。

 先週末から今週にかけスポーツを観戦したが、ハイライトはゲンナジー・ゴロフキンとサウル・アルバレスによるリマッチだった。ジャブで距離を取りながら鋭いパンチでKOの山を築くゴロフキン、スピードとヘッドスリップで懐に潜り込むアルバレス……。世界のトップ2が繰り広げる攻防の妙に見入ってしまった。

 ボクサーは齢を重ねるごとに体力と動体視力が衰える。年齢差(8歳)は如何ともし難く、序盤はアルバレスが攻勢に出たが、ゴロフキンが的確なパンチでペースを掴んでいく。ゴロフキンの勝ちを確信したが、判定に愕然とする。ゲストとしてWOWOWで解説していた村田諒太、試合を世界に配信したHBO局も数ポイント差でゴロフキン勝利とみていた。

 ボクシングでは曖昧な結果に終わることがままある。その点、俺がスポーツ感覚で観戦している将棋は、どれほど優位に対局を進めていても、王が詰まされたら負けになる。例外なくKO決着だから、後味の悪さとは無縁だ。将棋とは格闘性の強いゲームといえる。

 〝愛〟といえばここ数年、横浜ベイスターズを応援している。今夜はジャイアンツに快勝したが、勢いのあるドラゴンズに及ばずCS進出を逃すのではないか。戦力不足を補うため、取っ換え引っ換え選手を起用したことがシーズン後半、選手層の厚みに繋がることを期待したが、ラミレス監督が〝策士、策に溺れて〟いる感は否めない。

 俺の〝愛〟が爆発するのは競馬だ。POG指名馬は、とにかく可愛い。中長距離で活躍出来そうな2歳馬も勝ち上がっているし、来月以降は3歳馬がGⅠ戦線を賑わせそうだ。アーモンドアイは秋華賞で3冠を達成したらJCに向かうかもしれない。ダノンプレミアムは天皇賞にぶっつけで挑戦するし、サラキアは秋華賞、エタリオウは菊花賞、そしてタワーオブロンドンはスワンSを叩いてマイルCSに挑む。

 〝愛〟が〝実益〟に繋がれば言うことはないが、世の中それほど甘くないことは、来し方を振り返って重々承知している。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする