酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

新緑の京都にて~妹を見舞う日々

2009-05-06 02:22:18 | 戯れ言
 帰省中、忌野清志郎さんの訃報を知る。ファンではなかったが、フォーク、ブルース、ソウル、ロックを独自にブレンドし、反骨とコマーシャリズムの境界を行き来する柔軟な生き様に敬意を抱いていた。早過ぎる死を惜しむと同時に、心から冥福を祈りたい。

 体格差のハンディを克服してデラホーヤを一蹴したパッキャオが、“英国のスナイパー”ハットンをわずか2回で粉砕した。アジアの怪物は戦慄を与えつつ、異次元へと進化を遂げている。年内開催が濃厚なメイウェザーJr戦で、“史上最強”の称号を手中に収めるかもしれない。

 ゴールデンウイークは妹を見舞う日々だった。1日に外泊許可が下りたものの嫁ぎ先で転んでしまい、実家にたどり着くことなく病院にUターンという残念な展開だった。入院生活で足腰が弱ったことと貧血が原因だが、後頭部を強打したのに大事に至らなかったのは不幸中の幸いだった。

 膠原病と闘う妹だが、ここ数カ月は免疫力低下で生じた感染や貧血を発症し、“局地戦”を強いられている。先日も十二指腸からの出血が判明し、止血の措置を施された。輸血、検査、点滴の繰り返しに耐え、一つずつ症状を改善していくしかない。

 京大病院も1月まで入院していた市民病院同様、経営は苦しいという。保険制度は破綻の危機に瀕し、看護師や介護福祉士の労働条件も改善されていない。消費税や税金は高いものの、安くて質の高い医療制度を維持する欧州各国とは大きな違いだ。出生率や食料自給率の低下を含め、歪んでしまった日本の“繁栄の形”を再考する時機に来ていると思う。

 透析室でテキパキ働くスタッフの姿に触れ、仕事が編集関係でよかったとつくづく感じた。俺はしばしば校閲ミスを出す。むろん痛いし、自己嫌悪に陥るが、差別表現や不快語を残さない限り、読者を傷つけることはない。不注意な俺が医療現場で働いていたら、あるいはバスや電車の運転手だったら……。想像するだけで背筋が冷やりとする。

 義弟とともに、20代の主治医に病状の説明を受けた。データを提示しながらの丁寧な語り口に、若さゆえの使命感、情熱、名医を目指す志の高さを感じた。漢方との西洋医学との併用、家族を含めたストレスやフラストレーションへの理解の深さも窺えた。

 京大病院から二条駅まで、新緑の京都の街を歩いた。次に帰省する萩や菊の季節には、妹が外泊できるまで快復していることを切に願っている。東京から精神的支援を送るだけの俺はこの場を借りて、スタッフの尽力と周囲のサポートに感謝の気持ちを表したい。



コメント (2)
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