酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

レッスルマニア25~表現者たちの祭典を堪能する

2009-04-20 00:10:09 | スポーツ
 POG指名馬セイウンワンダーが皐月賞で3着と踏ん張った。次走(NHKマイル?)に繋がる内容に安堵したが、ロジユニヴァースの惨敗(14着)には驚いた。ダービーでの巻き返しはあるだろうか。

 スカパーでは先月末から、10日のタイムラグでWWEが放映されるようになった。「レスラー」で主演を務めたミッキー・ロークの登場など、見どころ満載のレッスルマニア25を堪能する。

 ブッシュ政権と寄り添ってきたWWEだが、世界不況が顕在化してからは中道にシフトチェンジする。財を失った男(ショーン・マイケルズ)が醜い金持ち(JBL)を叩きのめすというストーリーをメーンに据えたり、ジェフ・ハーディに「俺は負け犬たちの象徴」と叫ばせたりと、世相に敏感なWWEのしたたかさが窺えた。

 体操選手並みの空中技でファンを瞠目させる軽量級、ロープに飛ばした対戦相手をリング中央で楽々飛び越える190㌢級、アマレスで技術を磨いたテクニシャン、筋肉の鎧を纏った巨人……。レスラーたちは自らの個性に合った過酷なシナリオをこなしていく。

 レッスルマニアの幕開けは、タイトル挑戦権を懸けて8人が入り乱れるハシゴマッチだった。高所からのダイブなど選手生命を縮めかねないシーンの連続で、誰かがミスを犯せばフィナーレに行き着かない。トップを保つためには演技力も求められる。この数カ月、ジェリコとマイケルズは屈曲した心情を表現する性格俳優だった。

 アンダーテイカーとマイケルズの同世代対決は、互いが決め技を繰り出してもフォールに至らない掟破りの激闘だった。プロレスのあらゆる要素を織り込んだ長期戦は、両者が企図した通りベストバウトになる。マットとジェフの兄弟の戦いに複雑な思いを抱いた。当代一の人気を誇るジェフが祭典で王座戦に絡めないのは、HHHの覚えが悪いからに違いない。

 殿堂入りしたオースチンがリングに立つや、会場は狂騒状態になる。常々「あの男だけは別格」と語るビンス・マクマホン会長は前日の式典で、「史上最高のスター」とオースチンを称賛した。テッド・ターナー(WCWオーナー)の下に結集したホーガン、フレアーらスター軍団を蹴散らして業界地図を塗り替えたオースチンは、ビンスにとって最大の恩人でもある。

 レスラーとしては標準体形のシナだが、220㌔のビッグショーと110㌔のエッジをまとめて担ぎ上げるなど、超人的パワ-を見せ付けた。俊敏性や跳躍力にも優れ、王者の資質は十分だが、相変わらずブーイングを浴びている。見え見えのえこひいきがファンの反感を買っているからで、そろそろシナの売り方を再考する時期に来ていると思う。

 ビンスは“悪のオーナー”として横暴に振る舞いつつ、ここ一番で醜態をさらしてファンにカタルシスを与えてきた。娘婿のHHHはというと、現役ゆえ“記録に残るレスラー”になるという野心を捨てられない。今大会のメーンはHHHとオートンの王座戦だったが、結果は透けて見えていたし、内容もイマイチだった。駆け出し時代から政治屋レスラーだったHHHは、最高権力を手にした今こそ裏方に徹するべきではないか。

 ドリー&テリーのファンクス、リッキー・スティムボートら日本人に馴染みの深いレスラーたちも殿堂入りした。新間寿氏(元WWE会長)にもいずれ吉報が届くだろう。リング外を巻き込んだストーリー展開や軍団抗争など、猪木と新間氏が提示したエンターテインメントを継承して進化させたのがWWEなのだから……。

 あれこれ文句を書いたが、プロレスへの愛、レスラーへの敬意が感じられるレッスルマニアだった。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする