おととい(8日)スカパーで、Sherbetsのライブ(6日、リキッドルーム)を見た。浅井健一(ベンジー)は相変わらず、純水のように冴え冴えとしたオーラを纏っていた。パスしたことを悔やんだが、10周年記念ギグ(5月)には足を運ぶつもりだ。
新作“MIRACLE”は前作“Natural”の内向と繊細を維持したアルバムだ。鼓膜に残った「Iceland Boy」、「Rainbow Surfer」、「カリフォルニアドリーミング」、「トライベッカホテル」、「Ghost Highway」はリストにあったが、聴かせどころと期待していた「赤いスポーツカー」は、なぜか演奏しなかった。
オリジナルアルバムはブランキー・ジェット・シティ(BJC)9枚、Sherbets6枚、JUDE5枚、AJICO1枚、浅井健一名義3枚。シングルならびにライブ盤のみの曲を加えると、ベンジーは17年弱で26枚分の作詞作曲を手掛けたことになる。ギネス級の多作ぶりだが、最も好きなアルバムは「AURORA」(Sherbets)だ。1曲選ぶとしたら「シェリル」(BJC)か。
♪まわれまわれ 二色の独楽よ 色をまぜてきれいになれ……(中略)はかない はかない独楽がある まわれよ 止まるな いつまでも 止まった時 唄も終るよ
ベンジーで連想するのは井上陽水の「二色の独楽」だ。心棒で聴く者の感性を磨き、オーロラのように青白い光を発しながら回り続けている。<寒いよ、マイルス>は谷川俊太郎による有名な一節だが、「寒いよ、ベンジー」と思わず画面に語りかけてしまった。
エコー&バニーメン、アイシクルワークス、アンド・オールソー・トゥリーズのサイケなメランコリアに痺れたUKニューウェーブファンは、Sherbetsの音に郷愁を覚えるだろう。ベンジーはキュアー信奉者で、ギターを弾くさまは時々スリムなロバート・スミスになる。フジロック'07でのキュアーについては、「いまいちだったけど、最後まで応援しとったわ」と辛口な感想を述べていた。キュアーの価値を知るからこそ、キーボードレスの構成に不満を覚えたのかもしれない。
<十代の荒野>から抜け出せない俺みたいな五十路はともかく、以下に該当する若者には、ぜひSherbetsを聴いてほしい。
繊細だからこそ壊れそうになる、自然にルールを破ってしまう、独りが好きなのに寂しがりや、優しくされると毛羽立つ、心の中で洪水と旱魃を繰り返す、純粋ゆえに汚れてしまう……。
15~25歳の人口(1400万人前後)のうち、条件を満たす30万人(推定)の多くは、ニート、不良、問題児のレッテルを既に貼られているかもしれない。幸運にもSherbetsの扉を叩いた者にとり、ベンジーは掌に握られたエメラルドになるはずだ。ベンジーに刺激を受けた若者が、次世代の表現者になる日を心待ちにしている。
新作“MIRACLE”は前作“Natural”の内向と繊細を維持したアルバムだ。鼓膜に残った「Iceland Boy」、「Rainbow Surfer」、「カリフォルニアドリーミング」、「トライベッカホテル」、「Ghost Highway」はリストにあったが、聴かせどころと期待していた「赤いスポーツカー」は、なぜか演奏しなかった。
オリジナルアルバムはブランキー・ジェット・シティ(BJC)9枚、Sherbets6枚、JUDE5枚、AJICO1枚、浅井健一名義3枚。シングルならびにライブ盤のみの曲を加えると、ベンジーは17年弱で26枚分の作詞作曲を手掛けたことになる。ギネス級の多作ぶりだが、最も好きなアルバムは「AURORA」(Sherbets)だ。1曲選ぶとしたら「シェリル」(BJC)か。
♪まわれまわれ 二色の独楽よ 色をまぜてきれいになれ……(中略)はかない はかない独楽がある まわれよ 止まるな いつまでも 止まった時 唄も終るよ
ベンジーで連想するのは井上陽水の「二色の独楽」だ。心棒で聴く者の感性を磨き、オーロラのように青白い光を発しながら回り続けている。<寒いよ、マイルス>は谷川俊太郎による有名な一節だが、「寒いよ、ベンジー」と思わず画面に語りかけてしまった。
エコー&バニーメン、アイシクルワークス、アンド・オールソー・トゥリーズのサイケなメランコリアに痺れたUKニューウェーブファンは、Sherbetsの音に郷愁を覚えるだろう。ベンジーはキュアー信奉者で、ギターを弾くさまは時々スリムなロバート・スミスになる。フジロック'07でのキュアーについては、「いまいちだったけど、最後まで応援しとったわ」と辛口な感想を述べていた。キュアーの価値を知るからこそ、キーボードレスの構成に不満を覚えたのかもしれない。
<十代の荒野>から抜け出せない俺みたいな五十路はともかく、以下に該当する若者には、ぜひSherbetsを聴いてほしい。
繊細だからこそ壊れそうになる、自然にルールを破ってしまう、独りが好きなのに寂しがりや、優しくされると毛羽立つ、心の中で洪水と旱魃を繰り返す、純粋ゆえに汚れてしまう……。
15~25歳の人口(1400万人前後)のうち、条件を満たす30万人(推定)の多くは、ニート、不良、問題児のレッテルを既に貼られているかもしれない。幸運にもSherbetsの扉を叩いた者にとり、ベンジーは掌に握られたエメラルドになるはずだ。ベンジーに刺激を受けた若者が、次世代の表現者になる日を心待ちにしている。