弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

1号機はどうなっている?

2011-03-24 22:12:40 | サイエンス・パソコン
昨23日、1号機の圧力容器の温度が400℃の高温であることがわかり、圧力容器に海水を注入する消防ポンプを1台から2台に増やし、圧力温度を低下させる、というアクシデントがありました。

ニュースを聞いていて良く分からないことだらけです。

まず、「①今までも計測できていた温度が、この日に急に上昇した」のか、それとも「②電源が復旧したので計測が可能になり、計測してみたら400℃であることが初めて判明した」のか、そこがわかりません。
当初は、②であるような報道でしたが、現在の報道はすべて①のようなイメージでなされています。

次に400℃という温度です。
現在の圧力容器内は、少なくとも燃料棒の下半分までは液体の水に浸されていると考えられています。ところが、温度が高くなるほど、水が液体で存在するためには高い圧力が必要なのであって、310℃であっても、水が液体で存在するためには100気圧が必要です。さらに、374℃が「臨界温度」であって、これよりも高温では、どんなに圧力を上げても水は液体として存在し得ず、220気圧以下では蒸気、それ以上では「超臨界水」として存在するのです。
現在、圧力容器の圧力が上がりすぎないよう、ある圧力を超えたら内部の蒸気を外部(格納容器内)に放出しているはずで、圧力容器内に液体の水が存在する限り、300℃にも満たない所定の温度にしかなり得ないはずです。

ところが、1号機の圧力容器はその外部温度が400℃だったというのです。
最初、「圧力容器の下部温度が400℃」との情報だったので、「これは圧力容器の下方は析出した塩で満たされ、そのために下部のみで温度が上がったのか」と考えました。しかし本日の報道では圧力容器の上部も下部も温度が高かったようです。
ということは、「圧力容器内には液体としての水が1滴も存在しない」としか考えようがありません。
しかし報道では、一部の学者の見解として「水が存在しなかったかもしれない」という見解を紹介するのみで、「完全に水がなくなっていたようである」という言い方はしていないですね。

1号機の圧力容器が損壊しなかったのは、単なる幸運に過ぎないかも知れません。
これからもこのような綱渡りが続くのでしょう。それも1~4号機の4機それぞれにおいて。
1~3号機のうちの1機で圧力容器が損壊したら、日本は奈落の底に突き落とされるでしょう。そうならないように祈るばかりです。
現場で自らの健康を顧みずに作業にまい進している皆さんは、疲労の極に達しているでしょう。疲れが高じての判断ミスで取り返しがつかないことにならないよう、交代要員を準備し、適切なシフトを組んでください。東電の幹部の方々にはよろしくお願いします。

ところで、報道において「温度」といえば圧力容器の温度、「圧力」といえば格納容器の圧力のみが表に出てきます。また、両者を同じ「原子炉」と呼んで平気で混同しています。
圧力容器の圧力は測定できていないのでしょうか。
コメント
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