弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

原発は良い方向に向かっているのか

2011-03-21 16:56:34 | サイエンス・パソコン
福島第一原発の動向が私の最大の関心事であり、また世界全体が注目している事項でもあります。
しかし、日々のニュースや記者会見のライブの様子は、情報の小出しであったり、いかにも非専門家に見える人が会見のスピーカーであったりと、ストレスが増すばかりです。

21日の現時点で、2号機に外部電源が接続され、これからその電源の活用に期待が集まります。
原子炉(のうち、現在注目を集める部分の機構)がどうなっているのか、所有する機械工学便覧の図面と日々の新聞の情報とをかき集め、以下のように図化してみました。

燃料棒は圧力容器内(1、2、3号機)と燃料プール内(1~6号機)に存在しており、いずれも“崩壊熱”を発して発熱しているので、冷却し続ける必要があります。冷却不足で水が干上がると、燃料棒の温度が上昇し、まずは燃料棒の表面が溶融して放射性物質を放出し、さらには燃料棒全体が溶融して最悪の事態に進展するようです。

本来であれば、図面の「残留熱除去系(RHR)」が作動し、圧力容器内と燃料プール内の水を循環し、途中で海水で冷却し、冷えた水を戻して燃料棒を冷却する予定でした。しかしすべての電源が失われた結果、この冷却系が作動しませんでした。
現在、圧力容器については、左下の「消防車」を原子炉のコネクターに接続し、海水を圧力容器に注入して冷却を維持しています(1、2、3号機)。3、4号機の燃料プールについては連日の放水で海水を供給しているところです。

まずは外部電源が接続された2号機で、RHRが作動することが期待されます。そのためには、図のRHRポンプ(正式名称は分かりません)が作動することと、海水ポンプが作動することが必要です。
本日のニュースでは、「また、2号機の原子炉や使用済み燃料プールに水を供給する給水系のモーターがショートしていることが分かり、部品を交換するということです。」ということで、多分上の図のRHRポンプがショートしていたのでしょうね。
交換するということは、放射能が高い建屋内での長時間の作業が必須となるのでしょう。献身的な作業をしていただき、ありがたいことです。
また、早急な冷却系の回復は望み薄ということでしょうか。
5、6号機はすんなりとRHRが作動したようなので2号機も期待していたのですが・・・。

1~3号機は、10日前後の期間にわたって圧力容器内に海水を注入し続けています。水分は蒸発して蒸気として系外に排出され、一方で塩分は圧力容器内にどんどん蓄積しているはずです。すでに圧力容器の底部に塩分が析出しているとしたら、RHR系の配管が詰まってしまっている恐れもあるのではないか、と密かに心配しています。

昨日の深夜(本日未明)にテレビが原子力・安全保安院の記者会見を中継していました。いつもの審議官ではなく、「放射線班」と書いたゼッケンを付けた若い人でした。「このたび、東電が初めて敷地内で放射線発生源の原子を特定し、セシウムが検出された」というのです。記者の質問に対して、「東電の準備がやっと整って今回分析した。保安院としては分析していない。過去に分析結果があるとすれば、雑草などを分析した結果であろう。」と答弁していました。
ちょっと待ってください。地震発生の次の日にすでに、
地震:国内初「炉心溶融」か セシウムを検出 福島原発
毎日新聞 2011年3月12日 14時20分
『福島第1原発1号機の原子炉内の圧力を下げる仕組み 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第1原子力発電所1号機(福島県)で、燃料棒が損傷する「炉心溶融」が国内で初めて起こった可能性を明らかにした。同原発の周辺監視区域での放射性物質の測定で、セシウムが検出され、燃料棒が溶けているとみられる。』
というニュースが流れているではないですか。
会見に臨んだ担当官は、ここ10日間のいきさつを何も知らずに、知ったような口を叩いていた、ということになります。“すごい。これがお役人の能力か!”と感じ入りました。
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1 コメント

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Unknown (kazu2世)
2011-03-21 17:56:19
もうメルトダウンは始まっているよ
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