Vision&Education

木村貴志の徒然なるままの日記です。

太上は天を師とす

2011年04月04日 | Weblog
 今回の東日本大震災の津波による被害を免れた村があるそうです。岩手県北部にある普代(ふだい)村という所で、高さ15・5メートル、全長205メートルの普代水門が津波をはね返したそうです。建設当時、無駄だと非難を浴びた、この防潮堤と水門がなぜできたかというと、当時の村長が「明治に15メートル以上の津波が来た」という言い伝えを大切にしたからです。

 私たちは、科学技術を過度に信頼し、科学的知識があるが故に、昔の人の方が現代人より劣っているかのような錯覚に陥っていますが、そうではないと思います。人智を越えた自然の力は制御しようがなく、畏れ謹んで自然と向き合うしかないという人々の思いは「祈り」という形になって表れました。そして、「水を粗末にすれば水神様の罰があたる」「山をむやみに切り開けば山神様の罰が当たる」と言って、自然に向き合ってきたのです。そうした経験則から来た伝承は、おそらく、科学が発達すればするほどその正しさが証明されていくもののように思えてなりません。

 佐藤一斎は、「太上は天を師とし、其の次は人を師とし、其の次は経を師とす。」と『言志録』に記しています。「最もすぐれた人物は天地自然の理法や宇宙の真理を一番の先生として学び、その次にすぐれた人物は立派な人物を先生として学び、第3番目にすぐれた人物は経書(書物)を先生として学ぶ。」というのがその意味ですが、やはり私たちは天地自然の理法に学ばなければならないと思います。それは何も難しいことではなく、教科書ばかり暗記して頭でっかちになるのではなく、自然の中で思いっきり遊びなさいということでもあります。

 私は学者ではありませんから、教育にしても難しい理論はよく解りません。しかし、歴史に学び、経験則から、何が大切かを見抜く目は持っていたいと思います。
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