つきみそう

平成元年に出版した処女歌集の名

3冊の佐藤直子さんの歌集

2021-03-09 | 短歌

 佐藤直子さんから2冊の歌集を贈られたので、私もの過去の歌集「領海を越えて」を贈呈。今度は過去3冊の歌集を送って下さいました。平成4年から平成9年までの「青嵐」。平成16年から21年までの「雲より高く」。平成21年より26年までの「反射光」です。たくさんの歌を精力的に詠まれています。全部拝読すると自叙伝を読んだ気持ちになりました。

 そして私と同じところに旅をされている作品は当時を思い出すことが出来ました。ドイツ、ロシア、トルコ、エジプト、韓国等など、地元奈良のことも・・・私と環境も似ていてお父上は大学教授です。専門も似ていて生物学。父は農学部でした。双方とも植物に詳しくて、親近感を覚えます。お母上はクリスチャン。ご主人は医師。趣味はバイオリン。大学生の我が孫もバイオリンが趣味です。ドイツで家庭を持たれている娘さんのこと、家庭菜園のことなども・・・

「青嵐」より

主の御手に今導かれゆく母か涙ふき歌ふ讃美歌三百二重番

学生に混じりバイオリンを弾き終へて夫は舞台に少し胸張る

すらすらと原語に蘭の名を書きてラベル立てゆく父の面影

湿気なき八月の日差しを楽しみて幼と歩むルードヴッィヒ橋まで

「雲より高く」より

石道にのこる轍のあと深く噴火の歴史に生くるポンペイ

カーテンも窓辺に花も人も見ずサンクトペテルブルグのアパートの群

あばかれて連なる王家の墓穴に二月の強き光が差し込む

侵略の長き歴史を思ふとき美しすぎるスルタンの剣

「反射光」より

肥おきし畑は雨にうるほひて命はぐくむ春の未知数

失ひし寵愛嘆き猿沢の池に身投げし采女を祀る

ふたたびの縁にめぐる千年の新羅の都は花の季なり

山に向き女帝は何を願ひしや丘とも見ゆる天の香久山

 

コメント (2)
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