shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Living In The USA / Linda Ronstadt

2010-02-18 | Rock & Pops (70's)
 今日は大好きなリンロンの最高傑作アルバム「リヴィング・イン・ザ・USA」(1978年)である。彼女に関しては、去年たしか “初リンロン” ということでこの盤の前作に当たる「シンプル・ドリームス」を取り上げたし、「星に願いを」や「ブルー・プレリュード」といった曲単位でも何度か彼女の名唱を紹介してきた。それにしても、カントリー、ウエストコースト・ロック、オールディーズのカヴァー、ラテン物、ウィズ・ストリングス、そしてジャズ・スタンダードと、これだけ広いジャンルの楽曲を様々なフォーマットで歌ってよくもまぁあんなに多くの名唱を残せるモンやなぁと感心してしまう。最初は “ウエストコーストのじゃじゃ馬娘” と思っていたが、彼女は見た目以上に懐の深いシンガーなのだ。しかも彼女には唯一無比の “声” という武器がある。元気ハツラツ・ロックンロールにおいても切々と歌うバラッドにおいても、その強烈な吸引力たるやハンパではない。あの歌声が響きわたればそこには凛とした “リンロン・ワールド” が屹立し、一瞬にして彼女のカラーに染め上げてしまう。確かに80年代以降に出てきたマドンナやシンディー・ローパーも凄いが、リンロンは年季が違うのである。
 このアルバムが出た当時、前作「シンプル・ドリームス」にめちゃくちゃハマッていた私は大いなる期待を持ってこのアルバムを買いに走ったのだが、実際に聴いてみると大好きな前作をも凌ぐ素晴らしい作品だった。まずは何と言っても①「バック・イン・ザ・USA」、A面1曲目に置かれたこのアルバムからのリード・シングルでいきなりガツン!とやられる。音楽の “ノリ” 、 “ドライヴ感” 、 “グルーヴ” とは何かと問われたら、私は “この曲を聴いてみて!” と言うだろう。チャック・ベリーのロックンロール・クラシックスをウエストコーストの腕利きミュージシャンたちが70年代に最高の形で蘇らせた(←特にピアノのノリが圧巻!!!)演奏をバックに元気ハツラツ、ファイト一発ノリ一発!な歌声を聴かせるリンロンの何とカッコイイことよ(≧▽≦) こんな素晴らしいシングルが16位止まりで金太郎飴みたいなワケのわからんディスコ・ナンバーばかりヒットするのが納得できず、アメリカン・チャートは完全に終わっとる、と当時思ったものだった。
 シングルの切り方としては、ノリの良いオールディーズのカヴァー(「イッツ・ソー・イージー」と①「バック・イン・ザ・USA」)、スローなオールディーズのカヴァー(「ブルー・バイユー」と⑦「ウー・ベイビー・ベイビー」)、そしてミディアム・テンポのロック・チューン(「プアー・プアー・ピティフル・ミー」と③「ジャスト・ワン・ルック」)と大ヒットした前作の流れを踏襲しており、プロデューサー、ピーター・アッシャーの戦略が見えてくる。7位まで上がったミラクルズ・カヴァー⑦もいいが、私的には①と並ぶぐらい好きなのが44位止まりだった(←信じられへん!)ホリーズ・カヴァー③である。私がホリーズ・ヴァージョンを聴いたのはずっと後になってからだったので、それまではずぅ~っとリンダのオリジナル曲だと思っていた。①と同じ編成のバンドをバックにミディアムでロックするリンロンはまさに “ロックンロール姐さん” だ。特に “カモン ベイベェ~♪” のラインなんかもうタマランですよ!ワディ・ワクテルの顎が落ちそうなリズム・カッティングも絶品で、言うことナシのナンバーだ。
 シングル曲以外も良い曲が揃っている。②「ホェン・アイ・グロウ・トゥー・オールド・トゥ・ドリーム」はリンロンの名バラッドと信じて生きてきたが、10年くらい前にコレが古いスタンダード・ナンバーだと知ってビックリ。スタンダードを歌ってもオリジナルのように聴かせるあたり、さすがという他ない。コステロの④「アリスン」では⑦でもエエ味を出していたサックスのデヴィッド・サンボーンが大活躍。この④に続いてリンロンの “ひとり二重唱” にシビレる J.D.サウザーの名バラッド⑤「ホワイト・リズム・アンド・ブルース」でA面が終わる頃には完全にピーター・アッシャーの術中にハマッてしまうこと請け合いだ。
 B面では⑧「モハメッズ・レディオ」に注目!初期のイーグルスを彷彿とさせる曲想を更に魅力的にしているのが “ニュー・キッド・イン・タウンな” バック・コーラスだ。ドン・ヘンリーのリード・ヴォーカルにランディ・マイズナーとティモシー・シュミットのバック・コーラスで聴いてみたくなるような、めっちゃイーグリィ(?)なナンバーだ。アコギとオルガンだけをバックに切々と歌う⑩「ラヴ・ミー・テンダー」、もう何度聴いても鳥肌モノの素晴らしさ!!! わずか2分40秒の歌の中に何と豊かな情感がこもっているのだろう。リンロン最高!と声を大にして叫びたくなるキラー・チューーンだ。このアルバムが出た当時、アメリカのDJがエルヴィスの未発表ラジオ・テープとリンロン・ヴァージョンを合成してデュエットさせ、リスナーの大反響を呼んだという。昔一度だけラジオで聴いてめちゃくちゃ感動したのを覚えているが、何と YouTube にアップされていた。ホンマに何でもあるなぁ...(^.^) 音はあまり良くないけれど、サーフェス・ノイズの向こうから伝わってくる歌心が素晴らしい。特に “For my darling...♪” のハモリなんてもうゾクゾクしてしまう。これはもちろん非売品で、プロモーショナル・コピーとして出回っていたものを海外オークションで時々目にしてはいたが、さすがに£40~£50ではハナシにならず安く出るのをずーっと待っていたのだが、ついに昨夜$10でゲットした (^o^)丿 長い間欲しかった盤なので、届くのが今から楽しみだ。

Linda Ronstadt Living In The USA


Elvis Presley with Linda Ronstadt - Love Me Tender (Mix 1)
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