shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

スペイン盤特集⑦「A Hard Day's Night」

2024-05-12 | The Beatles
 ビートルズのスペイン・オリジナル盤蒐集で最後の最後まで残った最難関盤が「A Hard Day's Night」だった。他のレコードはみんなスムーズに入手できたのに、この盤だけはありとあらゆるサイトを探してみても全く出てこない。痺れを切らした私は以前ビートルズのスペイン盤を買ったeBayのセラーにメールして “「ハード・デイズ・ナイト」のゴシック・オデオン・ロゴ(1stプレス)盤ありませんかねぇ?” と訊いてみたのだが、返ってきた答えは“Almost impossible to find even in Spain...”(スペイン本国でも見つけるのはほぼ不可能に近いで...)という絶望的なものだった。まぁ無いものはしゃあないので、私は手に入れられればラッキーぐらいの軽~い気持ちでそこら中のWant List に登録しておいた。
 すると先日、Discogsから “Want Listのアイテムが出品されたよ~♪” メールが来たので見てみると、何とこのレコードが €90で出品されているではないか! eBayでは過去15年間で3枚しか出品されておらず、そのどれもが数百ユーロで取り引きされていた稀少盤がたったの €90ってホンマかいな??? いつもならメールでセンター・レーベルの写真を送ってもらって確認するのだが、そんな悠長なことをやっている間にライバルに先を越されたら悔やんでも悔やみきれないので、“発送前に必ずセンター・レーベルが商品説明ページの写真と同じゴシック・オデオン・ロゴであることを確認して下さいね!” というメッセージを添えて購入した。
 それからちょうど2週間ほど経ってブツが届いた。あれから何の返答もなく普通に発送されたようなので私は “しめしめ、超の付くレア盤が安ぅ手に入ったわい...(^.^)” と楽しみにしていたのだが、いざレコードを取り出してみるとビッグ・オデオン・ロゴの 2ndプレス盤ではないか! “何じゃあ、こりゃあ!” と松田優作が憑依した私はすぐにセラーに怒りのメールを送ったのだが、いくら待っても返事は来ない。
 舐めたマネをしやがってと激オコ状態でペイパルに異議申し立てのクレームを起こすとやっと返事が来たのだが、ふざけたことにスペイン語でワケのわからんことを書いてきよったので “商品説明と違う物を送り付けてバックレるのは完全な詐欺行為。悪質セラーとしてオマエを訴えてペイパルで商売出来んようにしたるから覚悟せえ! それと今後二度とスペイン語なんかでメールしてくるな、ちゃんと英語で書いてこい!” とブチギレ・メールを返したところ、態度が180°変わって英語で謝罪メールが届いた。
 それでも最初は “半額返金しますので何とかそれで許してもらえませんか?” と虫のいいことを言うてきよったので、“2ndプレス盤に €45も払うアホがどこにおるんや? そっちが送料持って送り返して完全返金にするか、それともこっちが €20で引き取って残り €70を返金か、どっちかを選べ!” って返したらすぐに €70返金してきやがった。向こうからすれば身から出た錆とは言え、送料を往復2回分払うよりは大幅値引きの方がマシと考えたのだろう。私としてもこのクッソ忙しい時期にわざわざ郵便局まで行って送り返すのは面倒臭かったし、€20やったら 2ndプレスでもとりあえずの filler(埋め草、つなぎ)として許せる範囲内だったので手打ちにして訴えを取り下げ、ケースを終了することにした。
 とまぁこのようにスッタモンダの末に我がコレクションに加わったこのレコードだが、実際に聴いてみると実に鮮烈な音がしてビックリ(゜o゜)  そもそも「A Hard Day's Night」というレコードはA面アタマの “ジャーン!” とB面アタマの “バン!” に尽きると思うのだが、この盤はそのどちらもガツン!とくる音がして大喜び。盤質は VGで「And I Love Her」でややチリパチが目立つのが玉にキズだが、それ以外のトラックはキズなんて笑い飛ばしてしまうくらい豪快なモノラル・サウンドが楽しめた。
 まぁよくよく考えてみると「A Hard Day's Night」がリリースされた1964年というのはちょうどセンター・レーベルがゴシック・オデオン・ロゴからビッグ・オデオン・ロゴに切り替わった年で、プレス時期的にほとんど差がないことになる。しかも私が手にした盤は裏ジャケットのデザインが 1stプレスのものだったので、2ndプレスといってもその最初期のものであることは明白。つまり実質的には 1stプレス盤とほぼ変わらないということだ。不愉快な思いをして手に入れたレコードだが、最終的には数百ユーロ相当の稀少盤とほぼ変わらない爆音盤を1/10以下の値段で買えて結果オーライ。レコードの蒐集っていうのはホンマに一筋縄ではいかんもんですな。
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