shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

MAGIC (Pt. 2) / B'z

2009-12-20 | B'z
 B'z のニュー・アルバム「MAGIC」はこれまにないぐらい曲の配列がしっかりと考え抜かれており、アルバムが単なる曲の集合体以上の輝きを放っている。それを最も感じたのが①→②→③とハイスピード・ロックンロールでたたみかけた直後にやってくる④「MY LONELY TOWN」を聴いた時で、1ヶ月前に曲単体でシングルとして聴いた時は最初少し地味な印象がありその後何度も繰り返し聴くうちにジワジワと良くなってきたのだが、アルバムの中のこの位置に置かれるとそれまで気付かなかった不思議な魅力を発散し始めるのだ。どこがどうと上手く言葉で表現できないのが情けないが、それこそがお二人がこのニュー・アルバムに封じ込めたMAGICなのかもしれない。曲の作りとしてはミスチルの「ニシエヒガシエ」みたいなイントロから徐々に盛り上がっていって後半一気にたたみかけるハードボイルドな展開が圧巻だし、ソリッドな爆裂ギターと効果的に挿入されるストリングスのサジ加減も絶妙だ。とにかくこの「マイロリ」、軍艦島(←B'zのおかげでその存在を初めて知った...)で撮影されたPVもシビレるほどカッコエエし、今では超のつく愛聴曲だ。
 ⑤「long time no see」は私の大好きな隠れ名曲「希望の歌」路線のキャッチーなナンバーで、 “もしB'zが昭和歌謡をやったら...” みたいな感じの森田公一とトップギャランっぽいメロディーがたまらない。これもライブでめっちゃ盛り上がりそうな1曲だ。⑥「イチブトゼンブ」は松本さんがコアなファンだけでなく今時の一般ピープルにまで広くアピールすることを念頭に置いて職業作家に徹して書き上げたようなポップなナンバーで、B'z流のハードロックを巧くコーティングして聴きやすく仕上げたサウンド・プロダクションの妙が素晴らしい。
 ⑦「PRAY」はまさにB'zバラッドの王道といえる1曲で、窪田等さんのナレーションと絡めてF1総集編のエンディング・テーマに使えばぴったりハマりそうな壮大なナンバーだ。彼らのバラッドの中にはたま~に “歌詞はエエねんけどメロディーがやや薄味で面白みに欠ける” ものがあるのも事実だが、この曲は心の琴線を震わせる泣きのメロディーに溢れており、エモーショナルなギター・ソロと相まって大袈裟ではなく魂を激しく揺さぶられる名唱であり名演だと思う。大音量でサウンドの中に身を委ねるような聴き方がオススメだ(^o^)丿
 アルバム・タイトル曲⑧「MAGIC」は松本さんの掻きむしるようなギターに絡む稲葉さんのブルースハープという図式から何となくあの名作「ルース」を思い出してしまうが、この曲はクセになるサムシングを持っている。まさにB'z MAGICと言うしかないが、純度120% B'zの魅力が炸裂するナンバーだ。私的には “とけないままMAGIC~♪” のメロディーが耳について離れないし、稲葉さん渾身の “イェッ!” や “ヘイッ!” という掛け声にもシビレてしまう(≧▽≦) ⑨「Mayday!」はイケイケのカッコイイ曲で、ライブでステージ上を所狭しと走り回るお二人の姿が目に浮かぶ。ライブを念頭に置いた曲作りの典型というか、 “メイデイ!” と叫ぶオーディエンスとの掛け合いなんかめっちゃ盛り上がりそうだ。B'z印のブラスが効いている。⑩「TINY DROPS」はお約束的なバラッドで人によって好き嫌いが分かれそうな曲だと思うが、私的には予定調和すぎるというか他の曲が派手な分、少しインパクトが弱い気もする。
 ⑪「だれにも言えねぇ」はベース・ソロにラウドなギターが絡むイントロに続いていきなりパーカッションの乱れ打ちで、まるで山本リンダが腰を振りながら出てきそうな雰囲気のオラオラ系サウンドにビックリ(゜o゜)... ちょうど21世紀版「太陽のKomachi Angel」みたいな感じの歌って踊れる楽しいナンバーで、その遊び心溢れる作りがたまらなく好きだ。70's昭和歌謡とB'zロックの融合が実に高い次元で結実しており、178さんブログのアルバム曲アンケートでは第2位という人気ぶりだ。
 ⑫「夢の中で逢いましょう」も一度聴いたら忘れられないような切ないメロディー横溢の歌謡ロックで、イントロのギターの音色なんかもうたまらない。この涙ちょちょぎれる感覚はある一定年齢以上の日本人にしか分からないだろう。哀愁のメロディーを素晴らしいロックに昇華させたお二人の感性には脱帽だ。⑬「Freedom Train」はボン・ジョヴィ直系のストレートなロックで、B'zらしさが溢れる1曲。ブラス群のアレンジや中間部に挿入されている語りなんかもどことなく昔のB'zっぽい雰囲気で、アルバムのクロージングとしては文句なしの存在感を誇るナンバーだ。
 これまではニュー・アルバムをしばらく聴き込んだ後は特に気に入った曲ばかりピックアップしてCD-Rに再配列して楽しんだものだったが、このアルバムの収録曲はイチブではなく1枚通してゼンブが大好きで、文句なしにB'zの最高傑作だ。尽きることを知らないお二人の音楽への情熱、そして驚くべき創造性はデビューから20年を過ぎて衰えるどころか更に進化し続け、J-Rock界では前人未到の領域に到達したように思う。B'zの円熟と進化の結晶であるこのアルバムをリアルタイムで体験できて本当に幸せだ。

05 long time no see


12 夢の中で逢いましょう