shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Mind Games / John Lennon

2009-12-06 | John Lennon
 1973年にリリースされたジョンのソロ4作目にあたる「マインド・ゲームズ」は、前作「サム・タイム・イン・ニューヨーク・シティ」は一体何やったん?と言いたくなるような落ち着いた内容で、攻撃一辺倒だった前作とは違って様々なタイプの楽曲が収められていたが、特に歌詞の面では架空の理想国家 “ヌートピア” に言及したり、ヨーコへの愛を綴ったりと、「イマジン」時代に立ち返ったかのような作りになっているのが一番の特徴だ。もう政治ごっこに飽きたのか、はたまた前作の商業的な失敗に懲りたのか(ライバルであるポールの復活もめっちゃ意識してたハズ...)、様々な理由が考えられるが、とにかく歌いたいことを歌いたい時に歌うだけというこの無軌道無責任ぶりこそがジョン・レノンなのだと思うし、私はそんなジョンの人間臭さが大好きだ。又、これまで続いてきたプロデューサー、フィル・スペクターとの蜜月関係も終わりを迎え、ジョン自身がプロデュースしていることもあって、それまでのシンプルな音作りから一転、華やかなサウンドになっている。
 アルバム・タイトル曲の①「マインド・ゲームズ」はジョンにしか歌えないような雄大な曲想を持ったナンバーで、歌詞の面でも昔のように “愛と平和” 路線に軌道修正されている。元々のタイトルは「メイク・ラヴ・ノット・ウォー」といい、フェイド・アウト直前に歌詞の中に登場させ “前にも聞いたことがあると思うけど...” と結ぶところがいかにもジョンらしい。②「タイト・A$」は爽快なロックンロールで、ラバー・ソウルなリズムをバックに気持ちよさそうに歌うジョンがカッコイイ(^o^)丿 タイトル通りのタイトでシャープな歌と演奏に思わず引き込まれてしまう。“愛と平和”もエエけど、やっぱり私は無心でロックンロールを歌うジョンが一番好き!A面では(←CDにはそんなモンないけど...)べストなトラックだと思う。
 ③「あいすません」は日本語のタイトルからも分かるようにヨーコに向けて歌われた個人的なメッセージ・ソング。このアルバムには他にも④「ワン・デイ」、⑧「アウト・オブ・ザ・ブルー」、⑩「アイ・ノウ」と、全収録曲の1/3にあたる4曲がヨーコに語りかけるように歌われているが、いくら何でもこれはやり過ぎだろう。③の歌詞を聴いてると何でそこまでして媚びへつらわなアカンねんとイライラしてくるし、⑧はジョンらしい旋律を持った佳曲だが、アレンジ、特にバックの女性コーラスは大仰すぎてイマイチ好きになれない。これら4曲の中ではエルトン・ジョンもカヴァーした④とビートルズ的な懐かしさを感じる⑩が良いと思う。特に④はヨーコの存在なんか忘れさせるほどの美旋律に溢れた哀愁舞い散る名曲で、ジョンの切ない歌声に涙ちょちょぎれる。これでもう少し女性コーラスが控え目だったら言うことナシやったのに...(>_<)
 ⑤「ブリング・オン・ザ・ルーシー」は前作を彷彿とさせる挑発的な歌詞を、ペダル・スティールの音と華やかな女性コーラスが耳に残る煌びやかなサウンドでコーティングしたようなナンバー。歌詞の重さを絶妙なヴォーカルによって軽くしているところなんか、天才ヴォーカリスト、ジョン・レノンの真骨頂と言えるのではないだろうか。B面トップの⑦「インテューイション」は肩の力の抜けたポップなナンバーで、初めてこのアルバムを聴いた時からずぅーっと大好きな1曲。ジョンを代表する名曲とは言えないかもしれないけれど、私の感性のスウィート・スポットにジャスト・ミートしたようで、何度も聴きたくなるスルメ・チューンだ。軽快な⑨「オンリー・ピープル」はノリノリのお気楽ポップ・ソングだが、歌詞は “人々だけが世界を変える方法を知っている” というメッセージ・ソング。⑤にも言えることだが、前作の反省を踏まえた明るい音作りが成功している。
 ⑪「ユー・アー・ヒア」はリラクセイション溢れる癒し系隠れ名曲で、“リヴァプールから東京まで...” とか、 “海の彼方3,000マイル” とか、またしてもヨーコとの関係を歌ったものだが、珍しくクールで客観的な視点で語られており、 “またですか感” はない。この曲が醸し出すゆったりした雰囲気がどことなく「ビューティフル・ボーイ」に似ているような気がするのは考え過ぎか。⑫「ミート・シティ」はジョン・レノンここにあり!と声を大にして言いたくなるような猥雑なロックンロール。「コールド・ターキー」を裏返しにしたようなこの曲、水を得た魚のようにシャウトするジョンがたまらなくカッコイイし、ラウドなギターが唸りを上げてオフ・ビートを刻むところなんかもう最高だ(^o^)丿 私の中では「ニューヨーク・シティ」や「ムーヴ・オーヴァー・ミズ・L」と並んで三指に入る “究極のジョン・レノン・ロックンロール・クラシックス” という位置づけの超愛聴曲だ。何やかんや言うたかて、やっぱりジョンはロックンロールに限るでぇ~(≧▽≦)

John Lennon - Meat City