shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Imagine / John Lennon

2009-12-04 | John Lennon
 純粋なスタジオ録音盤としてはジョンのソロ2作目にあたるこのアルバム「イマジン」には、彼の書いた曲の中で多分最も有名であろうタイトル曲を含め、全10曲が収められている。前作「ジョンの魂」は “これを聴かずしてジョン・レノンを語るなかれ!” と言っていいような、ジョンにとってのいわばプライベート・アルバム的内容で、私のようなビートルズ・ファンにとっては必聴の超重要作だったが、一般の音楽ファンにとってはへヴィーすぎるアルバムだった。そのせいか、それなりにヒットはしたものの、チャート上ではライバルのポールはおろか、ジョージにすら及ばないという結果に終わり、ジョンとしては内心忸怩たる思いがあったのだろう。このアルバムでは前作で見られた “重さ” は影を潜め、一般受けするような聴きやすいアルバムになっている。
 パッと聴いてわかる一番大きな違いはピアノを主体とした穏やかなサウンドが目立つことで、逆にシャープでエッジの効いたアップテンポの曲が少なく、ロックンロール色は非常に希薄なアルバムと言える。美しい旋律を持った曲が多く、アルバム「レット・イット・ビー」でも顕著なように、フィル・スペクター流のふわっとした包み込むようなサウンド処理や一般ウケしそうなストリングス・アレンジが随所に活かされている。それ故、世間では “ジョン・レノンの代表作” として大絶賛され、屈指の名盤的な扱いを受けているのだが、アルバム「ロックンロール」を取り上げた時に書いたように、純粋なロックンローラーとしてのジョンに惚れ込んでいる私としては、アスコットの白亜の豪邸の白い部屋で、白い服を身に纏って白いピアノを弾きながら歌うジョンよりも、「スタンド・バイ・ミー」のプロモ・ビデオのエンディングでペロッと舌を出すジョンの方が数段好きなのだ。困ったものである(笑)。
 ①「イマジン」は今や泣く子も黙る “平和のアンセム” として学校の教科書に載っていたりとか、不相応なまでに美化され、すっかり神棚に祭り上げられてしまったような感があるが、そーいった一連の流れにはどうしても違和感を覚えてしまう。私はこの曲を聴く時は、ただただ旋律の美しさとジョンの絶妙なヴォーカルを楽しむことにしている。②「クリップルド・インサイド」は軽妙な味わいがたまらない愛すべき小曲で、ジョージの弾くドブロ・ギターが絶妙なアクセントになっている。この曲、結構好きです(^o^)丿 ③「ジェラス・ガイ」も①と並ぶジョンの代表曲で、ジョンのヴォーカリストとしての素晴らしさが存分に味わえる名曲名唱。間奏部の口笛なんかもう見事としか言いようがないカッコイイ演出なのだが、バックのストリングスがうるさすぎるのが玉にキズだ。このスペクター・アレンジは好きじゃない(>_<)。
 ④「イッツ・ソー・ハード」は前作の流れを組むへヴィーなブルース・ナンバーで、このアルバムでは浮いてしまいそうなハードなギターとキング・カーティスのネチこいサックスに “ハウ・ドゥー・ユー・スリープな” ストリングスが絡む展開が面白い。⑤「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ビー・ア・ソルジャー」はやや一本調子なメロディー展開の曲だが、凝りに凝ったサウンド・プロダクションとスペクターの見事なエコー処理、そしてジョンのヴォーカルの吸引力で聴かせてしまう。⑥「ギヴ・ミー・サム・トゥルース」のイントロのジョージのギター、もろ「アビー・ロード」ではないか!ハッキリ言って旋律は薄味で曲そのものの印象も薄いが、このギターのサウンドだけで萌えてしまう(笑)。⑦「オー・マイ・ラヴ」は前作に入っていた「ラヴ」の流れを汲むジョン的名バラッドで、そのメロディーの美しさには “アップテンポなロッケンロー命” の私も思わず頭を垂れて聴き入ってしまう。ニッキー・ホプキンスのリリカルなエレピが絶妙な隠し味になっている。
 ⑧「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」はポールを露骨に、そして痛烈に皮肉った歌詞であまりにも有名なナンバーだが、私がこの曲を聴いて感じるのは、ドロドロした憎しみではなく、 “嫌い嫌いも好きのうち” みたいな、ジョンのポールに対する複雑な感情である。歌詞をじっくり読んでみると、その行間から盟友でありライバルもあるポールに対する思いが伝わってくるのだ。まぁ皮肉屋ジョンの面目躍如といったところだろうか。そういう意味でも私はこの曲が大好きなんである。⑨「ハウ?」はいかにもジョンな佳曲だが、いかんせん⑧の後ではインパクトが弱すぎてほとんど印象に残らない。逆にラストの⑩「オー・ヨーコ」は非常に軽快なフォーク・ロック調のナンバーで、何度聴いても心がウキウキするようなハジけるようなメロディーがたまらない。(^o^)丿 エンディングのハーモニカもごっつうエエ味出してて、思わず鼻歌で口ずさみたくなるような(歌詞が歌詞だけに名前の部分は引いてしまうが...)愛すべき曲だと思う。

John Lennon - How do you sleep