shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Live Peace in Toronto '69 / Plastic Ono Band

2009-12-01 | John Lennon
 今日からもう12月、1年が過ぎるのは本当に早い。私の場合、毎年この時期にカレンダーをめくると頭をよぎるのはボーナスでもクリスマスでも正月でもなく、ジョン・レノンのことである。ジョージの命日が済んだらすぐに気持ちを切り替えて今度はジョンと、ビートルズ・ファンの師走は忙しい。ということで、ビートルズ・マラソンが終わったばかりというのに性懲りもなく今日から勝手にジョン・レノン・ウイークに突入だ。
 ジョンの本格的なソロ活動のスタートはこの「ライヴ・ピース・イン・トロント '69」(それ以前のワケのわからんヨーコ主導型前衛アルバムは論外)である。ビートルズのバラバラな動きが顕著になっていた1969年の9月13日にカナダ、トロントで行われたロックンロール・リヴァイヴァル・フェスティヴァルでビートルズのコンサート活動停止から約3年ぶりにステージに立ったジョン・レノンの雄姿を捉えたライブ・アルバムだ。サイドメンはエリック・クラプトン、アラン・ホワイト、クラウス・ヴアマンという布陣である。
 アルバムの冒頭のサウンド・チェック、コレがめっちゃカッコイイ。スリリングな演奏が始まりそうな雰囲気に満ちている。ジョンが “僕たちがよく知っている曲を演るよ。一緒に演奏するのは今日が初めてだからね。” と言っているように、ジョンの十八番であるロックンロールのスタンダードが3曲と自作の3曲がセット・リストに選ばれている。まずカール・パーキンスの、というよりプレスリーの①「ブルー・スウェード・シューズ」、いきなり “ウェリッツァ ワンフォザマニ...” と歌い出すジョンのヴォーカルのカッコ良さ!この全身に電気が走るような快感を何と表現すればいいのだろう(^o^)丿 まさにロックンロールを歌うために生まれてきた男、ジョン・レノンの魅力が全開だ。間奏でこれまたカッコ良いソロを聴かせるクラプトンもお見事。もうノリノリである。このアルバム中一番好きなトラックがこれだ。
 ②「マネー」ではアラン・ホワイトとクラウス・ヴアマンの生み出すへヴィーなリズムに煽られて熱唱を聴かせるジョンがタマランのだが、「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録のあの究極ヴァージョンと比べてしまうと今一歩何かが足りない。元々単調なメロディーの曲なので急造バンド(何でもショーの前日に出演が決まり、たった1日でジョンがメンバーを集め、トロントへ向かうヒコーキの中でリハーサルをしたらしい... ありえへん!)としてはこのあたりが限界なのかもしれない。
 ③「ディジー・ミス・リジー」、忘れもしないあのシェア・スタジアムでジョンが熱唱していたロックンロール・クラシックだ。やっぱりジョンのロックンロール以上のものはこの世にないなぁ...(^.^) とここまでの耳に馴染んだロッケンロー3連発ですっかりエエ気分に浸っていると、それをブチ壊すかのように突如として奇声が...(>_<) それまで大人しくしていたのがついに我慢できなくなったのか、ホンマによぉやってくれるわ...(>_<) ただ、この曲ではまだギターの爆音に掻き消されてそれほど目立たないのがありがたい。
 ④「ヤー・ブルース」はライブということもプラスに作用したのか、「ホワイト・アルバム」のテイクよりも遥かにワイルドな演奏で、特にジョンとクラプトンが繰り広げるギター・バトルが生み出すグルーヴは圧巻の一言!①と並んで気に入っているトラックだ。
 ⑤「コールド・ターキー」はまだシングルが出る1ヶ月以上も前の初演ということで、歌詞の方はカンペを見ながら歌っているが、中々力感に溢れたソリッドな演奏だ。しかしここにきてついにヨーコが大爆発、“メェェェ~” としか聞こえないような奇声を発し続けてこの快演をブチ壊す。アンタここを一体どこやと思うてんねん!ロックンロールにアヴァンギャルド如きの入り込む余地など何処にも無いわい!どっかよそへ行って一人で前衛ごっこでも何でもしてなさい。個人的には別に彼女のことを好きでも嫌いでもないが、前衛音楽とかフリージャズとかいった騒音雑音の類を蛇蝎の如く嫌っている私にとっては、ヨーコ嫌いを決定づけることになったトラックだ。
 ⑥「ギヴ・ピース・ア・チャンス」は “この曲を歌うためにここに来たんだ。” とジョンが言うだけあってヨーコも出しゃばらず、しっかりとこの曲を堪能できる。この曲は演奏よりも歌詞を聴かせるための歌だと思うのだが、ここでは即興でクラプトンからルーズベルト、ニクソンまで様々な人の名前が歌詞に織り込まれている。この辺の言葉感覚の鋭さはさすがジョン・レノンやね(^.^)。
 アルバムのB面(CDの⑦⑧)はハッキリ言って聴くに値しない。もうエエかげんにせえよ、と言いたくなるようなヨーコのワンマンショーだ。あ~あほくさ...(>_<) とまぁこのように私にとっては愛憎半ばするややこしいアルバムなのだが、一部を除けばめっちゃ素晴らしいA面と、目の覚めるようなブルーが印象的なアルバム・ジャケットだけで十分価値がある1枚だと思う。
John Lennon&Plastic Ono Band - "Blue Suede Shoes"
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