shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Album / Jive Bunny & The Mastermixers

2009-04-28 | Oldies (50's & 60's)
 私が80年代にビルボード誌やラジオ&レコーズ誌といった全米ヒットチャートを毎週ほぼ欠かさず追いかけていたことは以前どこかで書いたような記憶があるが、同時にミュージック・ウィーク誌の全英チャートも追いかけていた。その週に新しく英米のチャートに入ってきた曲をラジオでいち早くチェックし、週末には大阪や京都のタワレコへ買いに走るという、ほとんど洋楽ヒット中心の生活が丸々10年続いたわけだが、今思い起こしても実に懐かしい充実した日々だった。特に日本では中々紹介されないような “自分だけのお気に入り曲” を発掘した時なんか喜びもひとしおで、毎週オムニバス・テープを作っては自室や車の中で聴きまくって楽しんでいた。
 1989年の8月のこと、ジャイヴ・バニー&ザ・マスターミキサーズという謎のアーティスト(ヨークシャーのDJ集団らしい... まぁ “イギリス版クボタタケシ” みたいなモンか...)の①「スイング・ザ・ムード」という曲が突如全英チャートに登場した。曲そのものは単なるオールディーズのサンプリング・メドレーだったのだが、ありそうでなかったその発想自体が実に斬新だったし、様々なアーティストの “どの曲のどの部分をどう繋げていくか” というあたりのセンスも抜群だった。結局イギリス人のオールディーズ好きな国民性を反映して大ヒットを記録し、5週連続で全英№1を独走したのだが、私もこの曲をちょうど80年代初頭の「スターズ・オン45」や「フックト・オン・クラシックス」の “オールディーズ版” と捉えて大いに気に入り、早速12インチ・シングルを買いに走った。曲のベースになっているのは「イン・ザ・ムード」で、古式ゆかしいグレン・ミラー・サウンドがノリノリの楽しいダンス・リミックスを施され、「ロック・アラウンド・ザ・クロック」「トゥッティ・フルッティ」「起きろよスージー」「カモン・エヴリバディ」「ハウンド・ドッグ」「シェイク・ラトル&ロール」「オール・シュック・アップ」「監獄ロック」「アット・ザ・ホップ」といった珠玉の名曲たちが現われては消え、消えては現れるという、オールディーズ、特にロカビリー好きにはたまらない6分10秒だった。
 その2ヶ月後の10月に早くもシリーズ第2弾としてリリースされた⑤「ザッツ・ホワット・アイ・ライク」もあっという間に全英を制覇、3週連続№1をマークした。今度はベンチャーズの「ハワイ-5-Oのテーマ」をベースに「レッツ・ツイスト・アゲイン」「レッツ・ダンス」「ワイプ・アウト」「グレート・ボールズ・オブ・ファイア」「グッド・ゴリー・ミス・モリー」「ザ・ツイスト」「サマータイム・ブルース」「浮気なスー」がまるで “オールディーズ組曲” のように見事に繋げられて1つの曲として成立していた。
 そして年の瀬も押し詰まった12月にこの「ジャイヴ・バニー・ジ・アルバム」のUK盤CDが発売され、私は速攻でゲットしたのだが、待った甲斐があったとはこのことだ。2大ヒット曲①⑤以外にもワクワクウキウキするような懐かし楽しいサンプリング・メドレーのアメアラレで、T.レックスやゲイリー・グリッターをフィーチャーした④「ドゥ・ユー・ウォナ・ロック」やアンドリュース・シスターズの古~いヒット曲を網羅した⑦「スウィング・シスターズ・スウィング」も良かったが、ダントツに気に入ったのがラストの⑧「ホッピング・マッド」で、「ダ・ドゥ・ロン・ロン」や「ポエトリー・イン・モーション」、「朝からゴキゲン」なんかもう、イントロが聞こえてきただけで鳥肌モノだ。正調オールディーズ・ポップス・ファンは一聴の価値アリだと思う。
 これはオールディーズ・ポップス・ファンには理屈抜きで楽しめるいわゆるひとつの “パーティー・アルバム” だが、私にとってはただ単に楽しいだけでなく、クリス・モンテスの「レッツ・ダンス」やザ・ダーツの「カム・バック・マイ・ラヴ」といった隠れ名曲を教えてくれたという意味でも、忘れられない1枚だ。

Jive bunny and the real videos In the mood