shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Steve Miller Band Live!

2009-04-14 | Rock & Pops (80's)
 スティーヴ・ミラー・バンドは日本であまり人気がない。それは音楽的にどうこうということではなく、バンドの存在自体が地味なのであまり紹介されてこなかったと言った方が正しいだろう。若くてイケメンでファッション・センスが良い...レコード会社が歓迎しメディアが競って取り上げるのは、概してこういうタイプのバンドである。しかしスティーヴ・ミラーは一見どこにでもいそうな太ったオッサンだ。しかも演っているのは何の変哲もないごくごくフツーのブルースをルーツにした渋いロックンロール... だからここ日本ではメディアへの露出が極めて少ないのだ。ちょうどAC/DCやZZ トップと同じである。
 私が初めて彼らの曲を聴いたのは1981年で、アルバム「サークル・オブ・ラヴ」からのシングル「ハート・ライク・ア・ホイール」がTop 20に入った時に「ベスト・ヒットUSA」で紹介されたのがキッカケだった。その抜群にカッコ良いノリノリのロックンロールは私の嗜好にピッタリで、思わぬ掘り出し物に私は大喜びした。早速その「サークル・オブ・ラヴ」とそれ以前のヒット曲を集めた「グレイテスト・ヒッツ1974-78」を購入、特に後者に入っていた「ジェット・エアライナー」や「ロックン・ミー」は「ハート・ライク・ア・ホイール」に勝るとも劣らないノリの良さで、私の中で“ステーヴ・ミラー”という名前は特別なものになった。
 それから1年たった1982年の夏、ニュー・アルバム「アブラカダブラ」がリリースされ、ファースト・シングルになったタイトル曲「アブラカダブラ」(アルバム・ヴァージョンよりもテンポを上げて正解!)が大ヒット、スティーヴ・ミラー・バンドの一番の魅力である“音楽を前へ前へと推し進めていくドライヴ感”が如何なく発揮されたこの曲はサヴァイヴァーやシカゴといった強者を抑えて見事全米№1に輝いたのだ。彼独特のあの鼻にかかった声、ヤル気があるのかないのか分からんような気だるい歌い方、妙に耳に残るネチッこいメロディー・ラインといった持ち味も健在で、先の2枚と併せて聴きまくったものだった。
 久々の大ヒットに気を良くしたのか、はたまたレコード会社がアブク銭を稼ごうと画策したのかは知らないが、翌83年に出た彼ら初のライブ盤がこの「スティーヴ・ミラー・バンド・ライブ!」である。大ヒット曲がズラリと並ぶ選曲はまさに“ライブ・ベスト”といっていい内容で、オーディエンスを楽しませる“ツボ”を心得た楽しいロックンロール・ショーが展開される。デトロイトでのライブということで、②「ロックン・ミー」では歌詞を “Northern California where the girls are warm” から “The Motor City where the girls are so pretty” に変えて歌い大喝采を浴び、③「リヴィング・イン・ザ・USA」ではハーモニカをフィーチャーしてカントリー・フレイヴァー溢れるR&Bを聴かせる。シンセ全開のスペイシーサウンドをライブで見事に再現した④「フライ・ライク・アン・イーグル」、レイドバックした曲想がめちゃくちゃ心地良い74年の全米№1ソング⑥「ザ・ジョーカー」、スティーヴ・ミラーの本性であるブルース魂を開陳した⑦「マーキュリー・ブルース」と、ポップな曲とブルージーな曲のバランスも申し分ない。ドライヴ感たっぷりのリズム・ギターがたまらない⑧「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」、82年を代表する大ヒットとなったマジナイ・ソングを更にアップテンポで聴かせる⑨「アブラカダブラ」、スタジオ録音を凌ぐ凄まじいノリを生み出すギター・リフが圧巻な⑩「ジェット・エアライナー」と、ノリの良いヒット曲3連発で盛り上げ、ラストは⑪「バッファローズ・セレナーデ」でブルージーにシメるというるニクイ構成だ。R&Bをベースにしたノリノリのロックンロールが満載のこのライブ盤、ドライブのBGMにピッタリの1枚だ。

Steve Miller Jet Airliner