shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Elvis' Golden Records / Elvis Presley

2009-04-04 | Oldies (50's & 60's)
 これまで自分が買ったレコードやCDには様々な思い出が染み付いている。いつ頃どこのレコ屋で買ったとか、ネット・オークションで希少盤を何故か無競争で落札できて超オイシイ思いをしたとか、逆に猛追を受けてヒヤヒヤしたとか、その音楽の内容とは別に、ある意味これまでの自分の猟盤人生が詰まっていると言っても過言ではない。たいていは良い思い出なのだが、中にはそのレコードを見るたびに苦い思い出が蘇ってくるものがいくつかある。この「エルヴィスのゴールデン・レコード第1集」もそんな1枚だ。
 80年代以降、音楽メディアは完全にアナログLPからCDへと移行し、私は何の疑いもなく「CDの方がLPよりも音が良い」と信じていた。やがてジャズを聴くようになりオーディオをグレード・アップして“オリジナル(初版)LPの方がCDよりも断然音が良い”(いくつか例外もあったけど...)ことを発見、愛聴CDはオリジナルLPで買い直してその生々しい音を楽しんでいた。ある時ふと「ジャズでこれやったらロックやポップスもエエ音で聴けるんちゃうやろか?」と思いつき、試しにロネッツを獲って聴いてみるとこれがまた凄い音でビックリ(゜o゜)、“真空管アンプ+大型ホーン・スピーカー”というヴィンテージ・システムが60年代のサウンドにベストのマッチングをみせ、迫力満点の豊潤なサウンドが楽しめて私はすっかり有頂天になった(^o^)丿 それからは狂ったように50's 60'sのオールディーズをLPで集め始めた。ジャズでもポップスでも状態の良いオリジナル盤を日本で探すのは至難のワザなので、入手方法はおのずと海外のネット・オークション eBay に限られてくる。最近はご無沙汰だが、2002~2004年頃は多い時で一日に5~6枚のブツが届き、郵便配達のオッチャンが目を丸くしていたものだ(笑)
 そんな或る日、1枚のLPが届いた。差出人を見ると待ちに待ったエルヴィス盤のセラーだ。ついに来たか(^o^)丿 以前に獲ったエディー・コクランのリバティ盤が物凄い音してたので二匹目のドジョウを狙ってエルヴィス盤を獲ったのだ。LPレコードというのはふつうレコード発送専用のブ厚い段ボール箱に梱包して送るのが一般的なのだが、そのブツは薄っぺらいボール紙で包まれてるだけで、私はパッと見ただけで嫌な予感がした。手にとって見ると中から「カラカラ~♪」と音がする(((( ;°Д°)))) ここで私の不安はMAXに!開封してみると中から出てきたのは無残に砕け散ったLPレコードの破片だった...((+_+)) まさに天国から地獄とはこのことだ(>_<) 割れたレコードが届いたのはその時が初めてだったせいもあって私は大ショックを受けた。それからしばらくは会う人会う人に「どないしたんや?具合でも悪いんか?」と聞かれるほど落ち込んでいた。結局そのレコードはセラーに送り返して返金してもらい、別のしっかりしたセラーから改めて獲り直して送ってもらったのだが、嫌な思い出だけが残った。その後も何回か割れたレコードが届いたことはあった(特にRCA盤と初期マーキュリー盤が割れやすい...ビニールの材質の問題かな?)が、エルヴィス盤で免疫が出来ていたせいか、「ああ、またか」という感じでそれほど動揺もしなくなった。しかし今でもこのジャケットを見るとあの「カラカラ~♪」という音が頭の中に響き、中からレコードの破片が出てきそうな気がする(←完全にトラウマやん?)
 中身の音楽についてはもう何も言う必要はないだろう。この盤に封じ込められたプリミティヴなパワー、爆発的なエネルギーの奔流を体験すれば、いみじくもジョン・レノンが言っていた “Before Elvis Presley, there was nothing.” (エルヴィス以前には何もなかった)という言葉の意味を実感できるハズだ。「世界を変えた」のはビートルズだが、そのきっかけを作ったのは紛れもなく“ザ・キング”エルヴィスだったのだ。

Elvis Presley Milton Berle Show 5 Jun 1956: Hound Dog