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菊水楼

2011-11-13 | 建築巡り・街歩き【その他】



今月の建築巡り講座では奈良公園にある老舗料理旅館「菊水楼」へ訪れた。
創業は明治24年、興福寺の宿坊のひとつだった興善院の建物跡地に建てられた旅館で
明治初期の廃仏毀釈により取り壊された寺院の部材が建物内部にあちこちに転用されていて、興味深い意匠の数々を見ることができた。





菊水楼の菊の紋があしらわれた玄関天井。





菊の花をかたどった窓。





まずは三階の大広間へ。
柱のない広々とした90帖の大広間の屋根組みはトラス構造が用いられている。
奈良県では最大規模の座敷だそう。
ここでは百年以上もの間政財界のさまざまな行事が行われてきたとか。





大広間には舞台も設けられていて、現在も舞妓の御披露目が奈良で唯一行われているそう。





大広間の床の間。





大広間を見た後は、三班に分かれてそれぞれに特徴を持つ各部屋に案内していただいた。
こちらは二つの大きな丸窓を持つお部屋。









天井は少し高めの折り上げ格天井になっていてゆったりとした造りに。





こちらの楓の間の床柱には、かつて仏堂で須弥壇の背後にある来迎壁の左右両端に立っていた円柱、来迎柱が転用されている。
黒漆塗りに銅板の装飾が華麗な柱。
松本清張も宿泊していた部屋なのだとか。





二階のロビーと廊下の仕切りの壁は、大きくアーチ状にくり抜かれ、その縁には竹があしらわれている。
ここがまたとても素敵な空間だった。





階段手すりはこれまた優雅~
菊水紋がモチーフの木彫が。









こちらの春日の間は広々として、小さな舞台もついている24帖の間。
こちらでも舞妓さんの踊りを見ながら食事が楽しめるという。





入り口上部には寺院の部材を使ったものか、こんな欄間が。





こちらの旅館では到着したお客さんにまず出されるもの。
この蓋つきの湯のみのようなものには水が入っていて、この水を口に含み下についてる壺に吐き出すという口すすぎ。
これは土ほこりのひどかった昔から今も続いてる菊水楼ならではの心遣いなのだとか。
説明なければ飲んでしまいそうだけど;





そして最後は一階の下広間へ。
70帖敷きの広間は椅子式のダイニングルームとして使われていて、
ビリヤード台も置かれていたのだそう。
椅子の高さに合わせた床の間や存在感のある和風の欄間も。
寺院の部材などの和風の意匠は外国人にとってもエキゾチシズムを感じさせるものでとても好まれたのだそう。





奈良なだけに各部屋には鹿の調度品をたくさん見かけた。





鹿と紅葉がモチーフのステンドグラスの照明。





トイレや部屋の洗面所など水周りには素敵なタイルもいくつか発見。
笹の葉のデザインがかわいかったトイレのタイル。





玄関脇にあった樋が、竹を模したものだったのだけどあまりにリアルでおもしろかった・・

なかなか自分では宿泊することはできないであろう格式の高い旅館の内部に潜入でき、
寺院の部材が各所に組み込まれた珍しい趣向が凝らされたお部屋を数々堪能することができてよかった。

講座の後は行ってみたかったカフェ工場跡事務室へ・・

コメント (6)
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