お盆を境にはっきりと季節の雰囲気は夏から秋へと変わると思っています。
暑さ寒さは彼岸までは、あまりアテにならないと思い始めているけれど、お盆はいつも季節の雰囲気を変える。
風の肌触り、空気の匂い、日の光がはっきりと代わるような気がします。
気温はそれほど変わらないかもしれないけれど、朝晩はやはり涼しい。
子供の頃、夏最大の行事であるお盆を過ぎると、夏休みも終わり近くなったと寂しく思ったけれど、夏が去って行く寂しさは、夏がそれほど楽しいと思わなくなったこの齢になっても少なからずあります。
それはきっと夏を心待ちにしていた、子供の頃の記憶のせいだと思います。
小学校低学年の頃、宿題を溜めてしまって、母親に従妹たちはちゃんとやっているのにとかなりガミガミ言われながら、長野の母の実家で机に向かった苦い記憶がある。
それ以来宿題だけは先に終わらせるようになったけれど、それ以外の勉強は一切しなかった。
お盆と言うと日本らしいしっとりとした心持ちになると、大人になってからよく思うようになったけれど、思い出すのは子供の頃の嫌で仕方なかった宿題のことだったりするから、可笑しい。
草抜きが面倒だからと父がコンクリートで塗り固めた自宅の庭に、お盆のなるとなぜか百合の花だけが咲く。
同じ敷地内の隣の実家には父しか住んでいないので、母が帰って来る時にあまりにも寂しいので、咲いてくれるのかもしれない。
最初、花が咲く前の百合を雑草だと思って抜いたことがあり、父が「あれ百合やで」と少し寂し気に言ったので、慌てて植え直したことがあったけれど。
百合も雑草のようなものかもしれないけれど、大きな花が先、殺風景な庭が少し華やいで良いものだと思っている。
「秋きぬと目にはさやかに見えねども」と言いますが、私は海の色から季節の移り変わりを感じます。
黒崎様はきっと色彩感覚が鋭いから、僅かな色の変化で季節の移り変わりを感じるのですね。
私の場合は、その感覚が鋭いわけではないけれど、雰囲気と匂いですかね。
それぞれ人によって違いがありそうで、面白いですね。