ずっとインクのハネに悩まされてきました。
インクが飛んでも目立たないブルックスブラザーズのブルーのシャツを選んできたし、顔に飛んだインクはホクロだと言い張ってきた。
でもずっとその対策はしたいと思っていました。
テレビや雑誌などで職人さんが出てくるとどのような服装をしているか気にしてきたし、エプロンについても考えていました。
以前、イル・クアドリフォリオの久内さん夫妻がイベントの時、靴を磨く作業に取り掛かる前に薄いコートのようなものを着ているのを見ました。
聞いてみると、イタリアなどヨーロッパの職人さんたちは普通に着ている作業着で、白衣の色つきタイプのようなものだということでした。
とてもさりげなくて、プロフェッショナルな感じがしていいなあと思っていました。
インターネットで調べてみると、ショップコートという名前で、生地などを変えて普通に着る服としてもあるようでしたが、久内さんたちが着ているような、ものはなかなか見つかりませんでした。
先日、西宮のショッピングセンターをブラブラと歩いていて、新しくできたお店に入ってみると、職人の仕事着という名前で売られているショップコートを見つけました。
服に飛ぶインクも気になっていたけれど、今まで気にしてなかった普通の服でペン先調整に掛かる特別感のなさが気になってきたし、何か気持を切り換える儀式のようなものがあって欲しいと思っていましたので、この仕事着をはおることはそれにちょうどいいと思いました。
ペン先調整は、万年筆を販売するために必要なスキルだと考えていたけれど、最近この技術の探究心に取りつかれている。
もっと良い調整をしたい、自分でしか成し得ない書き味を提供したいと思うようになり、その気持がこの仕事着に表れているのかもしれません。