元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

工房楔イベント9月20日(土)~23日(火祝) とコンプロット

2014-09-09 | お店からのお知らせ

自分の繊細そうだと人から言われる外見がずっと嫌だった。

傷つきやすそうで、助けてあげないといけない気持になると言われることがあるけれど、45歳にもなってそんなふうに思われるのは少し情けない。

でももしかして今までそれで助かったこともたくさんあったのかもしれないけれど。

本当は違うと自分では思っているけれど、でもこれが自分の今までの人生の結果、大した修羅場を経験せず、好きなことだけをやってきた男の顔なのかもしれません。


繊細そうに見える外見を持つ男なので、モノの好みもエレガントで洗練された、都会的なものを好むだろうと思われることが多いけれど、実は素材感丸出しの、豪快でシンプルなものに惹かれます。

最近そういうものが少なくなっていて、木でも革でも何でも一緒かもしれませんが、良い素材がなくなってきていることと、関係があるのかもしれません。

良い素材をダイナミックに使うことはとても勇気の要ることだし、何よりもお金がかかって仕方ない。

銘木をくり抜いてペンケースにしている工房楔のコンプロットは、今では少なくなったお金も勇気もかけられた商品だと思います。

ただ銘木の塊をくり抜いてペンケースを作ってみましたというだけではなくて、このペンケースはこういう素材の使い方でないといけないと思わせるものがあって、それがこのコンプロットの魅力に他ならない。

存在感のある木の塊の中にどんなペンが入っているのか、それを見る人はとても期待します。

イタリア製の色とりどりのきれいなペンが並んでいたらそのゴージャスさに見る人は言葉を失うだろうし、使う人の実用を感じさせる無駄のないコレクションだったら渋いと、思わず唸るだろう。

いずれにしてもそれらを充分魅力的に演出もしてくれるものがコンプロットだと思っています。 

コンプロットが素材を薄く使って、精密に組まれた指物仕事だったと思ったら、こんなに魅力のあるものになっていただろうかと思うし、少なくともこの存在感は生まれなかったと思います。

ものすごく偏った趣向のモノだと思える、工房楔のコンプロットが評価されるのも、時流に逆らって、太く生きるような、ダイナミックさを感じるからなのかもしれない。

素材によってその表情は様々で、皆と同じものを持ちたくないと思う人の趣向にもコンプロットは合っていて、そういうところにも私は共感しています。

くどいけれど、9月20日(土)~23日(火祝)工房楔のイベントを当店で開催しています。
期間中(22日AM除く)永田氏が滞在していますので、日頃聞くことができない木への想いなどを聞くことができます。
ぜひご来店下さい。