元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

今年1年の感謝を込めて

2009-12-30 | 仕事について
今年一年当店をご支持いただきましたお客様、当店の運営にご協力いただきました皆様に心からお礼申し上げます。
開店して2年3ヶ月しか経っていない殺風景な当店に、毎日お客様の声や心の交流があることにより、店としての体裁を整えて、無事1年を終えることができたことはとても恵まれていることだと思っています。
今まで一緒に仕事をしてきた、ル・ボナー松本さん、分度器ドットコムの谷本さん、工房楔の永田さん、大和出版印刷の武部社長と多田さんたちとの共同体も機能していて、その回転はすこしずつ力強くなっています。
デブペンケース、A7メモカバー、ダイアリーカバーなどの企画は松本さんの存在あってのことですし、表面に見えない精神的な部分でも松本さんの力が働いていて、私たちの結束力や心の支えになっています。
分度器ドッコムの谷本さんとは今年初めて共同の企画でダイアリーを作ることができましたが、生産ロットが多く、販売有効期間が短くリスクが大きい、念願のオリジナルダイアリーに着手することができたのは、谷本さんの強い意志と行動力あってのことでした。
工房楔の永田さんは、オープン2周年記念イベントを開催してくださりその心意気にいつも励まされていますが、クローズドエンド楔万年筆を完成させ、さらに力強い存在になっています。
大和出版印刷さんの存在は、リスシオワン紙製品の供給をはじめ、様々な紙製品で協力をしてくださっていますが、その分野でオリジナリティをアピールすることができていることは、万年筆店として非常なアドバンテージだと思っています。
今年新たに一緒に仕事をすることができるようになった出会いもありました。
グラフィックデザイナーの神谷利男さんとは以前から、お客様として知っていましたが、その著書「My Favorite Fountain Pen」(先日第2刷を制作しました)の販売と作品展の開催は、初めての試みでしたが、本当にやることができてよかったと思っています。
たくさんのことが勉強になりましたし、神谷さんの人脈による多くのデザインやその他の分野の人たちのことを知ることができました。
カンダミサコさんとの出会いもこれから新しい企画が生まれてくる予感ができるものでした。
今まで私の周りにはあまりいなかったタイプの職人さんで、その独特な感性が今後の躍進に繋がると思っています。
個人的には毎日の繰り返しの生活の中に価値を見出すことができたことが今後の人生にとって大きい収穫だったと思います。
何か新しいアイデアを得るために、現状を打破するために、今まではどこか遠くに答えがあるのだと探しに行こうとしていました。
でも本当に一番大きなヒントは、私の場合毎日の生活の中にあって、それは出会ったり、見つかったりするものではなく、日常生活をしながら繰り返し考えて気付くものだと分かりました。
動き回ることなく店にずっといなければいけない自分にとってこの考えによって、毎日の生活の中で焦燥感を抱くことがなくなりましたし、無駄に時間を作ったり、出掛けようとしなくなりました。
ただし、考え続けることは止めてはいけないと思います。
お客様がおっしゃっていること、店で起こっていること、世の中で起こっていることを観察して、自分なりに仮説を立てて、行動を起こすことをずっと続けていきたいと思っています。
2009年は終わりますが、私たちの活動は何も終わるわけではなく、ずっと続いていきます。
これからも長く続いていけることを目標に活動していきたいと思っています。