元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

忘年会

2009-12-13 | 仕事について
私たちは工房楔の永田さんと関わるようになって、木に関心が高くなっています。
それは当店に来て下さっているお客様も同じで、永田さんの作品は木の魅力を知るのに充分な魅力を持ったものだと言えます。
今年9月に完成して、作っても作っても足りない、思い入れを込めて工房の名前を冠したクローズドエンド楔は木の良さを楽しんでいただける、どこに出しても恥ずかしくない本格的な万年筆で、私はコンプロット10
同様にバックオーダーに悩まされています。
そんな今や独自のスタイルを築いた感のある永田さんが、今年最後の神戸訪問で来られました。
この日は、森脇直樹さんの聞香会で、聞香会が終わってから森脇さんと静かに今年1年を振り返ろうと思っていまたが、とても賑やかな忘年会になってしまいました。
忘年会の前の店の状況も過密状態で、お客様方にはご迷惑をおかけしてしまたかもしれません。
忘年会には永田さんが来るということで、当然ルボナーの松本さんもおられます。
場所は2年半ほど前に松本さんと初めて夕食をした(他には時計ライターのNさん、鞄職人のバゲラのご主人も一緒でした)、鳥料理富で、3日間煮込んで作った出汁を使う鳥鍋です。
和やかに賑やかに、馬鹿な話もしながらのいつもの食事会です。
永田さんも松本さんもその心の中に秘めたものはシリアスで、強いものだと思いますが、二人ともそれを全く表に出さず、自分達の仕事を楽しんでいるように見せているところが、二人の生き方です。
シリアスな内面の葛藤があるように見られながら、実は非常に楽天的な私と違った、男の生きざまを二人に感じます。
森脇さんも10代という若さに関わらず香の魅力に魅せられるだけあって、私が森脇さんくらいの歳の時からは考えられない大人びた考え方、雰囲気を持っています。
鳥鍋でお腹いっぱいになって、久し振りにバーバランザックへ太田さんに会いに行きました。
今年東京に店を出した太田さんは今神戸に帰ってきていて、毎日バランザックのカウンターにいます。
饒舌に話すわけではないけれど、物静かに話してくれる話方に気持ちが落ち着きます。
静かなバランザックで、神戸の夜は更けていきました。
今年も、思うまま、気の向くままにやってきて、いろんなことがありましたが、1年無事に逃げ切ることができたというのが実感です。
きっと松本さん、永田さん、今日はいなかったけれど谷本さんも同じ感想を抱いているのではないかと思います。