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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

プラチナブライヤー

2009-04-30 | お店からのお知らせ

大変な品薄で、品切れしておりましたプラチナブライヤーが入荷してきました。
私は昨年の初め頃からブライヤーの中字を使い出しましたが、できれば細字と太字も揃えたいと思うほど好きな万年筆になっています。
ブライヤーの複雑な木目は、拭き漆という最小限の表面加工しかしておらず、使い込むと(つやふきんで磨くと)木目が際立ってきて、とても美しいものになっていきます。
しかし、そういった天然の木の特性以上にこの万年筆を気に入っているのは、程よい重量感と硬くもなく柔らかくもないペン先のフィーリングという実用的な部分です。
メーカー出しの状態よりも少しだけペン先を柔らかく、インク出を少し多めにチューニングすることによって、筆圧を掛けても耐えるプラチナ本来のコシの強さに軽い筆圧でもインクが十分出てくれる柔らかさを併せ持つものになり、それを使い込むことによって馴染んできて手放せない万年筆になりました。
他の万年筆は交代で使っていますが、プラチナブライヤーは常に持ち歩いていつも使っています。
https://www.p-n-m.net/contents/products/FP0021.html


オリジナルボールペンTACT発売

2009-01-07 | お店からのお知らせ

何よりも秀でた高機能や繊細で上質なフィーリングや美しさよりもタフであることに長けた物に惹かれます。
それは壊れるということを気にせずに、その物の使命とされた用途に集中して使うことができ、傷だらけになっても長く使うことができるということです。
それが道具であるものの第1の条件であると思っています。
残念ながら今のステーショナリー、特に業界で高級筆記具と分類されるものには上質なフィーリングや美しさはありますが、それは壊れやすさと引き換えのものだと感じます。
確かにそれらは大切に取り扱うべきものですが、タフであることに集中したものがあってもいいのではないかと思っていました。
このボールペンの唯一の機能は、滑らかでとても書きやすい三菱ジェットストリームなどの国産ボールペンのリフィルを扱えるところです。
国産のボールペンは非常に書き易く、それは誰もが認めるところだと思います。
その中でも特にジェットストリームは油性ボールペンでありながら、インクそのものの粘度が低く、サラサラと書くことができます。
これらの国産のボールペンを一度使い出すと、他のボールペンの書き味が重くて使うのが嫌になってしまうほどです。
TACTは合鍵製作機器、錠前、ドアハンドルなど金属加工の専門メーカーヤナイさんの技術によって作られ、1本の金属の棒から作られたため、壊れる要素のない強度を持っています。
手に張り付くような触感を持ったジャーマンシルバーをかなり厚みを残して削り出し、強度とともに重量感が出るようにしています。
ボールペンを書くときどうしても筆圧が高くなってしまいますが、重量感があることにより筆圧が低くなり、手の疲れを軽減してくれます。
1本の棒、TACTのように仕上げたいと思っていましたので、クリップなどの転がり防止の役割をする一切の出っ張りを排して、シンプルなシルエットにしました。
シンプルなデザインを補う機能として、携帯性などを考慮したミネルバボックス革の専用ケースに収めました。
ミネルバボックス革のステーショナリーを一昨年のオープンの時から扱ってきましたが、傷などを気にせず、日常の道具として使うことのできる適度なしなやかさを持った素材で私もとても好きな素材です。
ジャーマンシルバー、ミネルバボックスともに扱いに注意を払うことなく、道具として酷使しながらも、愛着を持って使うことのできる素材であり、このボールペンが目指した頑丈という性能を上げるものだと思っています。
https://www.p-n-m.net/contents/products/OK0031.html


趣味の文具箱vol.12発売

2008-12-21 | お店からのお知らせ
私も寄稿させていただいている趣味の文具箱の12号が発売になっています。
今回はイタリアの万年筆メーカーを取り上げた記事が多く、非常に華やかな印象になっています。
私も今年創業20周年を迎えたビスコンティについて書かせていただいています。
今回のビスコンティの記事、私自身が今まで思っていたことを書きましたが、あるイタリア人の友人の協力があって実現したものです。
もちろんエイ出版社の担当の井浦さんの多大な協力もあり、一人では何も形にすることができないことを記事を書くたびに思います。
求めてくれる方がおられるなら、これからも寄稿させていただきたいと思っております。
今回は当店開店から応援してくださっているお客様の佐野達哉様も「ペンを遊べ」というコーナーで登場しています。
ぜひご一読ください。

ル・ボナーペンケースと大和出版印刷製本ノート

2008-11-16 | お店からのお知らせ
今発売中の雑誌DIMEの付録している、別冊の誌上ショッピングの中で、ル・ボナーさんのしぼりペンケースと大和出版印刷さんの製本ノートが出品されています。
非常にたくさんの逸品が載った本ですが、神戸発の2つのステーショナリーは全く見劣りしていませんでしたので、とても誇らしく思いました。
大和出版印刷さんのノートは、昨年発売して生産終了してしまったバガス紙の次に大和出版印刷が万年筆用に薦めるAプランという紙を使用しています。
バガスの滑りの良さ、筆圧が下がるインクの伸びは快感に思えるほどのものでしたが、このAプランも万年筆との相性が抜群の紙です。
選りすぐりの紙を大和出版印刷と親交のある製本所の優れた製本技術で、本のようなノートに仕上げるというやり方も堂に入ってきましたし、おそらくたくさんのお客様からも知られるものとなってきたと思います。
今まで万年筆に合う紙製品を色々試してきて、知っているつもりでしたが、大和出版印刷が印刷の世界から引っ張ってくる紙は、今まで文房具の世界では出会ったことのなかったものがよくあります。
大和出版印刷の多田さんたちがそれらの紙を持ってきて、私たちの意見を聞いてくれますが、そこで好きなこと言い合って話し合う中にお互い気付かせられることがよくあります。
最初から金銭的なメリットを得ようとする業務提携ではなく、心から相手の成功を手伝いたいと思える協力関係が築けた仲間たちが作ったものは、自分の店の商品のように大切に思えます。

文章を書き起こすためのノート

2008-11-11 | お店からのお知らせ

1000字以上のある程度の文字数の文章を書く時にこのノートを使うようにしています。
このノートのことは、初版のバイキングフールス紙を使っていたものの時から知っていて、その紙の良さは分かりましたが、当時の私にはその罫線の妙が分かりませんでした。
昨年店を始めた時に、万年筆クラブの中谷会長にお願いして仕入れさせていただいて、販売するようになってから再び使うようになりましたが、とても使いやすい文章を書き起こす人のためのノートだと思いました。
紙質は以前のバイキングフールス紙ではなくなっていて、違うフールス紙になっていましたが、バイキングフールス紙の鋭いと思えるほどの滑りの良さよりも、新しい紙の柔らかいペン当たりと程よいにじみの方が好みで、万年筆で書いてとても気持ち良い紙だと思いました。
しかし、このノートで最も優れているのは、その罫線のレイアウトです。
少し黄色っぽい紙に薄いブルーで印刷された罫線は8mm罫で、中字の万年筆でピッタリと納まる太さです。
そして、ページの横と上下の罫線の外に、大きめの余白があり、これが大変便利でした。
文章を書き起こす時、テーマが決まって、頭の中で何を書くか決まった時一気に書き続けることもあると思いますが、そんな時には書きもれがあったりするものです。
後から読んだ時に、その書きもれを書き足したり、詳細な説明を加えたり、記述を変えたい時など、文章の質を上げたい時に役に立つことが分かりました。
こんなふうに使うことができるノートはあまりないと思います。
様々な文章の締め切りが迫り、アタフタしながらこのノートについてご紹介しました。https://www.p-n-m.net/contents/products/PG0003.html


加藤製作所

2008-10-17 | お店からのお知らせ
加藤さんが日本国内での販売に専念することになり、当時株式会社酒井の営業をしていた関西万年筆業界の生き字引Yさんに加藤さんを紹介されてから、8年くらい経つかもしれません。
訪れた加藤製作所の強烈な印象は今も覚えています。
セーラーの工場で万年筆作りを見たことはありましたので、万年筆は広い工場で分業して行い、特別なものは別室があり、そこで静かに作られるものだと思っていました。
しかし、加藤製作所では加藤さんと奥様が轆轤を回し、1本ずつ手でセルロイドを削り、金具を取り付け、ペン先をはめ込んでいました。
工場の中の事務所で、エジプト時代のこと、ビスコンティのこと、他の筆記具メーカーのことなどを気さくに話してくれる加藤さんに対面して、若かった私は世界をまたいで活躍した万年筆職人さんという表面的な部分しか感じることができませんでした。
それから大変お世話になり、困ったことがあった時、加藤さんの口利きで職人の方の力を借りることが何度かあり、その人望と幅広いネットワークを知りました。
自分の力を信じて、一匹狼で60年以上も万年筆の業界で生き続けてきた、タフな反骨精神の持ち主で、声を掛けると力を貸してくれる仲間がたくさんいる加藤さんの本当の偉大さが少し分かってきた気がしています。
加藤製作所の万年筆を扱いだしました。
全て14金ペン先のモデルで15,750円から21,000円という価格帯になっています。
セルロイドという今では人の手が必要なため高価になってしまった素材を安価に提供してくれる加藤さんの姿勢は何も変わっていません。

超電水クリーンシュシュ

2008-10-06 | お店からのお知らせ

私はかなり特殊かもしれませんが、手がインクだらけになることがよくあります。
皆様もインクを吸入させる時にインクが手についてしまうことはあると思います。
手についたインクは石鹸ではなかなか落ちにくく、頭を洗わなければ取れません。
そんな手のまま人に会わなければならなかったり、電車に乗らなければならない時、恥ずかしくて手を隠していることがあります。
店にいる間でも、ペン先調整の後コーヒーを淹れることがありますが、インクまみれの手のままコーヒーを淹れることが憚られます。
備前焼のカップなどにインクがついてしまうと取れないことがありますし、何よりもコーヒーを飲まれるお客様が気の毒に思います。
そんな時のためにこの超電水を少し前から使っていてとても便利です。
インクのついた手にこれをシュッとスプレーするだけで付着していたインクが浮き上がり、水で流すだけでインクが取れます。
服などに付いてしまったインクもこれをスプレーしてティッシュなどで拭き取れば、かなりのところまでインクのシミを薄くすることができます。
まるで深夜のテレビショッピングみたいですが、なかなか重宝しています。
もともとこれは、まさに深夜のテレビショッピングを観ていた方が、番組内で見たその効果に驚き、購入して使い始めたものでした。
私などは疑り深いため深夜のテレビショッピングで観たものを買おうと思うことはありませんが、素直な気持ちで物事を見ることは大切だと思いました。

お得なノズル付きの大型ボトルhttps://www.p-n-m.net/contents/products/ZZ0067.html
ペンケースにも入る携帯用https://www.p-n-m.net/contents/products/ZZ0068.html


ペリカンM800デモンストレーター

2008-09-13 | お店からのお知らせ

各社から様々なモデルが発売され、透明ボディの年とも言える今年、本命と言われているのがこのペリカンM800デモンストレーターです。
万年筆のボディを透明にするというアイデアはもともと、最新の吸入メカニズムを顧客たちに説明するためにセールスマンたちが持ち歩いたデモ機が始まりだと聞いたことがあります。
そんな透明ボディのデモンストレーターをお客様方がおもしろがるということを知った各メーカーは様々なデモンストレーションモデルを今まで発売してきましたので、今さら透明ボディの万年筆が発売されたからといっても、それは単なるカラーバリエーションにすぎないと思われる方もいると思います。
しかし、デモンストレーターモデルを製作するにあたり、メーカー側は普段見えていない部分もきれいに作り込まなければならないというプレッシャーにさらされ、努力の後が感じられるものもありました。
そんな細部にまで気を配って作られたデモンストレーターモデルは、やはり美しく、不透明モデルにはない魅力があると思っています。
その多くの透明万年筆が当初の目的で使われることはありませんが、ペリカンM800デモンストレーターは、吸入方式のデモンストレーション万年筆の原点に帰った、おもしろい万年筆になっています。
ボディ内部のパーツの名前が分かるように、ボディには内部パーツ名が書かれていますし、凝っているのはピストンロッドを見せるために吸入パーツに窓があけれてるところなど、真面目な資料的な万年筆に仕立てているところがペリカンらしい遊び心なのだと思います。
ペリカンM800は多くの人たちの書き方に合うバランスの良さと、他メーカーの同クラスのペンよりも安価な価格設定が魅力な良心的な万年筆で、このM800をベースとした歴代の限定品は人気が高く、このM800デモンストレーターもコレクターズアイテムとなることは間違いないと思います。
https://www.p-n-m.net/contents/products/FP0063.html


ヴィスコンティ オペラマスターデモ・ストリームブルー入荷

2008-08-30 | お店からのお知らせ

今年は透明万年筆の当たり年です。
ペリカンM205デモンストレーターに始まり、発売予定のペリカンM800デモンストレーター、アウロラオプティマデモンストレーターなど、定番のしっかりした万年筆の透明モデルが発売され、今後予定されているからです。
ヴィスコンティオペラマスターデモは、その中でも他社のデモンストレーターモデルとは一味違っていて、1作目のレインフォレストは独特のセンスによる、美しい仕上げのボディ素材とダブルタンクパワーフィラーという独特の吸入機構が見えるという透明ボディの特長を生かした仕掛けで好評を得ていました。
価格もそれなりにしてしまいますが、10年前にダブルタンクパワーフィラーを搭載した透明軸の万年筆ボイジャーアニバーサリーデモンストレーターが84,000円だったことを思うと、そのグレード感から105,000円というのはそれほど高値ではないように思います。
そんなオペラマスターデモは、1作目のレインフォレスト、今回のストリームブルー、次回作の茶色と3部作になっています。
1作目の出来栄えが素晴らしかったので、密かに心配していましたが、2作目のストリームブルーも大変美しい仕上がりです。
確かにインクの色はレインフォレストの方が分かりやすいですが、このストリームブルー、必ず好きな人がいると思っています。
https://www.p-n-m.net/contents/products/FP0062.html


中屋万年筆入荷

2008-08-23 | お店からのお知らせ
個性がないと言われる日本の万年筆業界において孤高の存在とも言える中屋万年筆が数本入荷してきました。
今までご注文を受けてお作りしたり、少量だけ入荷してきたことはありましたが、あまりにも早く売れてしまい、当店に中屋万年筆があった時間が短く、寂しく思っていました。
この店を始めた時から中屋万年筆のことはずっとイメージしていて、この店でぜひ扱いたいと思っていました。
シンプルで何の装飾のないすっきりとしたラインのボディはエボナイトの素材で、柔らかな印象があり、そこを漆でキリッと仕上げられています。
シンプルなデザインに素材感のある万年筆と考えた時に、それに該当するものがありませんでしたが、中屋万年筆が今の形になって、登場した時、やっと世界に通用する日本の実用万年筆が出てきたと思いました。
最近では様々な装飾オプションによりさらに雰囲気のある個性的なものに仕上げることが可能になっています。
ペン先の色は標準仕様の金色のペン先の他に、、金と銀色のバイカラー、シルバー一色のロジウム仕上げ、黒っぽく渋いルテニウム仕上げなど、ペン先とボディカラーのコーディネイトをすることができますし、30年以上前の万年筆にはよく施されていた象嵌も首軸に埋め込むこともでき、キャップを開けたときの印象を強くする力になっています。
クリップもいぶしクリップやロジウムクリップなど、金以外のものも選ぶことができ、様々な組み合わせが可能になっています。
通常はオーダー後3ヶ月かかると言われている中屋万年筆の多くの組み合わせの中で、良いと思える組み合わせをオーダーし、すぐにお渡しできるものが出来上がってきましたのでぜひ見に来てください。