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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

堀谷龍玄書「古筆表書きノート」 

2016-11-27 | お店からのお知らせ

店には常に話題が必要だと思っています。

いつも何かお客様に話せることがないと、その店は面白くない店だと思われてしまいます。

それは何でもよくて、極端な話近況報告でもいい。

来られるお客様全員に面白いと思ってもらえることは難しいけれど、数少なくても面白いと思って下さる方がいればその企画の意義はあったと思っています。

もう売れてしまって次のものをまた書いていただかないといけないけれど、当店でペン習字教室「万年筆で美しい文字を書こう9」を開催して下さっている堀谷龍玄先生がペン習字教室でも使用していますツバメ縦罫ノートN3021の表紙に 古い書を臨書した「古筆表書きノート」が出来上がりました。
https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0161.html

古筆表書きノートは、堀谷先生が1冊1冊小筆、墨で書かれていて、同じものは2度と書かないという、まさに作品です。

半紙に書いた栞も2枚ついていて、このあたりのサービス精神は堀谷先生らしいと思っています。

ご希望のものがあれが、筆書きのお手本をお持ちいただければ書くという柔軟さも堀谷先生らしい。

この企画は堀谷先生が思いつかれたもので、アイデアをお話いただいた時、数少ないけれど面白いと思って下さる方が必ずいると思われる企画で、とてもいいものだと思いました。

ペン習字教室を定期的に開催している当店ならではの企画が欲しいと思っていましたので、堀谷先生のお申し出に大賛成して、ノートに書いてもらいました。

店としては恥ずかしいことだけど、堀谷先生は教室の講師も、この古筆ノートもボランティアで引き受けて下さっていて、当店の活動を応援して下さっている。

堀谷先生は、そういうことは一切口に出さないし、熱く語ることはないけれど、静かに語られる言葉や行動に気持ちの強さを感じることができる。

古筆表書きノートは、大量に売れる売れ筋商品より、当店らしいものだと自慢に思っている。


サトウヒロシさんのPOP

2016-11-22 | お店からのお知らせ

いつも話題のある店でいたいと思っています。

と言っても私はそうつぶやくだけで、筆文葉の金治さんやSkyWindさん、堀谷龍玄先生など、周りの居る人たちが話題をいつも作ってくれていて、私は何もしていないけれど、実はそのことはとても自慢に思っている。

今回も大和出版印刷の神戸派計画の責任者川崎さんが尽力して下さり、KoNCREATノート04の表紙を描かれたサトウヒロシさん直筆のPOPが当店にやってきました。

ノートと一緒に展示していますが、これもすごい話題だと思います。

POPというよりもこれは力強い応援メッセージで、この絵を描くことを承諾して下さり、それぞれの絵を何のインクで描いたかを教えて下さったサトウヒロシさんに大いに感謝しています。

 

(1)アジサイ K04-A6N01
・パイロット 色彩雫 アジサイ
・京の音 kyonooto / 文具店TAGオリジナル万年筆インク 苔色

(2)アネモネ K04-A6N02
・Pelikan Edelstein ガーネット
・Pelikan Edelstein アメジスト
・Pelikan Edelstein オニキス
・パイロット 色彩雫 フユショウグン
・パイロット 色彩雫 キリサメ
・京の音 kyonooto / 文具店TAGオリジナル万年筆インク 苔色

(3)クリスマスリース K04-A6N03
・丸善アテナインキ 「セピア」
・Dr.ヤンセン シェイクスピア
・ プライベートリザーブ バターカップ
・セーラージェントルインク 四季彩  金木犀(きんもくせい)
・Dr.ヤンセン ミケランジェロ

(4)サンダーソニア K04-A6N04
・プライベートリザーブ バターカップ
・セーラージェントルインク 四季彩  金木犀(きんもくせい)
・京の音 kyonooto / 文具店TAGオリジナル万年筆インク 苔色
・パイロット 色彩雫 チクリン


ペンを取り巻くもの

2016-11-13 | お店からのお知らせ

 

当店は万年筆ですが、万年筆というものだけを扱って、知らしめたいわけではなく、万年筆を中心とした様々なものをご紹介できることに喜びを感じています。

万年筆は所有して、見ているだけで幸せだけど、それで書くことのある暮らしを示すことが当店の役割だと思っています。

万年筆でいろんなものを書いてもらいたいけれど、万年筆で手帳を書くことが第1歩で、それは様々な必要に迫られるからするものかもしれないけれど、手帳を書くことは趣味になり得るとことで、好きで書いている人も多い。

当店も正方形のオリジナルダイアリーとバイブルサイズのシステム手帳リフィル筆文葉を発売していて、手帳には特に力を入れています。

これらの紙製品は革のカバーやバインダーに納めて使うことを前提としています。

先日、ル・ボナーさんが作る正方形ダイアリー用カバーと品切れしていましたカンダミサコさんのバイブルサイズシステム手帳リフィルが揃って入荷しました。正方形カバーは近日中にホームページにアップいたします。

当店はモノだけでなく、ペンを中心とした世界観のようなものを皆様に見せたいといつも思っているけれど、ル・ボナーさん、カンダミサコさんの革製品はその世界になくてはならないものになっています。


明日(11月7日)店を空けます

2016-11-06 | お店からのお知らせ

明日(11月7日)店を空けます。

営業は通常通り11時~19時にしていて、スタッフKとスタッフMがおり、私だけ留守にしています。

オープン以来、店を空けることはほとんどなかったので、珍しいことですが、これもスタッフMが入ってくれたからできるようになったと思っています。

個人店舗の店主で、自分の持っている技術で店が成り立っているので、私がいないと店がはじまらないのは当然だけど、開店時間の間は店にいないといけないということが拘束のように思えた時期もありました。

自分の店を持ててやっていくことができているだけで幸せなことなのに、贅沢な思い上がりで、そういう勘違いを今は恥ずかしく思います。

スタッフKとスタッフMの二人なので、ペン先調整などはその場ですぐできないけれど、その他の業務は変わらずできますので、どうぞご来店下さい。

今年1月の代官山蔦屋書店でのイベント以来、やはり外にたまには出て行かないといけないと思いました。

今回は直接その用事ではなく、その準備のために動いていて、大先輩を訪ねてきます。


SkyWind Exhibition vol.2 開催いたします 10/27(木)~11/10(木)

2016-10-18 | お店からのお知らせ

いよいよSkyWindさんのイベントが来週に迫りました。

イベントでは今販売していますポストカード、カレンダー、みつろう引きブックカバーの他に、ポストカード、カレンダーになっている写真作品の額装の販売もいたします。

そして何より、SkyWindさんがイベント期間中の木曜日(10/27,11/3,11/10)に在店されます。作家さん本人と会うことができるということが特別なことだと思っています。

10/27(木)のイベント初日には、みつろう引きブックカバーの文庫本サイズを作るというワークショップも2名様限定で開催いたします。

ワークショップに参加ご希望の方は、当店にご連絡下さい。(電話078-360-1933、メールpenandmessage@goo.jp)

 

SkyWindさんの写真作品を私は気に入っていて、少し懐かしく、胸の奥が痛くなるような世界観が自分の感性に近く、自分のもののように大切に思っています。

どうぞ、SkyWindさんのイベント「SkyWind Exhibition vol.2」にご来店下さい。

 


セーラー創業105周年記念万年筆 瑞青

2016-10-09 | お店からのお知らせ

今年セーラー万年筆が創業105周年を迎えていて、記念万年筆瑞青を発売しています。

ホームページには載せることができていないけれど、当店にも入荷しています。(現在在庫Mのみ)

瑞青は明け方の空の色のような美しい青色を含んだエボナイトをボディに使って、独特の五角形の形状に仕上げた万年筆です。

パチンと閉める勘合式キャップは尻軸に差さらず、そのボディが長くなっています。

100周年記念万年筆島桑もそうでしたが、セーラーはたとえ創業記念万年筆であろうと常に書くことをまず意識した万年筆を発売してくるところに好感を持っています。

創業記念だからこそ、セーラーの哲学における書くことにおいて最高のペンを発売してくるのかもしれない。

ボディが長いのはキャップを尻軸に差さなくても、長さ、重さを稼ぐことができるからで、尻軸にキャップが差してバランスを取るよりも、差さずにバランスを取ったほうが安定していて、快適に筆記できます。

重量は全体で42.3g、コンバーターを含めたボディだけで31.8gで、ボディだけで理想の重さ30gを目指したことがうかがえます。
ちなみにコンバーターを外して、カートリッジインクにしたらちょうど30gになり、カートリッジインクをイメージして開発したのではないかと思い、大変面白いと思いました。

ちなみに100周年島桑も瑞青もキャップをした全長が全く同じ162mmで、これに何か意味があるのか読み解けていないけれど、きっと理由があるのだと思います。

勘合式のキャップは、キャップとボディのエボナイトの柄を合わせられるようにという配慮と、ネジ山が手に当たって書くことの意識を阻害しないようにという意図があるのだと思っています。

五角形のボディ形状は、105周年の5にひっかけたのかもしれないけれど、五角形の底辺が手に乗ることでペンが安定するということか。

創業記念の限定品というと派手なものをイメージしてしまいますが、セーラーは5がつく周年モデルは書くことや機能を意識した意欲作を発表してきた。

今回の瑞青は書くことのバランスを追究した万年筆になっています。


SkyWind exhibition vol.2 10/27(木)~11/10(木)

2016-10-02 | お店からのお知らせ

なかなか上手くいかないけれど、いつも雰囲気や世界観を伝えたいと思っています。

このブログやホームページを読んだり、店に来て下さったりした時に感じ取って、心を動かすものが世界観だと思っています。

同じ、モノを売るなら当店だけの世界観を示しながら、独特の雰囲気を感じ取ってもらってそのモノを手に入れていただきたい。

当店はそんな店でありたいといつも思っています。

メーカーが作って、市販されているものはどこででも手に入れることができるけれど、雰囲気を感じながら手に入れるとそれも思い出になるのではないか。

Pen and message.という店の名前にはそんな想いを込めています。

雰囲気とか世界観とか、つかみどころがなく切り取って売れるものではないけれど、商売人が口にする言葉ではないのかもしれないけれど、そんなものを大切にして、表現していきたいと思っている。


SkyWindさんのイベントを10月27日(木)~11月10日(木)に開催いたします。

SkyWindさんに出会って10数年が経つけれど、はじめからご自分の型を持っているすごい人だと思って、まぶしく見ていました。

写真作品をポストカードにして製作し始めた時も、自然の成り行きのように思えて、SkyWindさんらしいと思いました。

SkyWindさんの作品は当店でしか扱っていなくて、それをとても自慢に思っている。

いつも買って下さるお客様がおられて、ファンがついているけれど、もっとこの世界観を広めるのは当店の役割で、それができていないことに申し訳なく思っている。

売っているものはポストカードとミツロウ引きのブックカバーで、モノで言うとそれまでだけど、それらの作品にはSkyWindさんが心動かされた風景やモノが写されていて、世界観が表現されている。
そして、それを観て私達もまた心動かされる。

期間中の木曜日10月27日、11月3日、10日にSkyWindさんが在店して下さいますので、どうぞご来店下さい。SkyWindさんの世界観を示して、それに浸ってもらえるイベントにしたいと思っています。


工房楔イベント案内

2016-09-20 | お店からのお知らせ

いよいよ今週末になりました。9月24日(土)25日(日)、工房楔のイベントを当店にて開催いたします。

当店の開店時間11時~19時まで工房楔の永田篤史さんが在店し、自作品の販売をいたします。(25日は18時まで)

通常当店で扱っている楔の木製品は、ラインナップのうちの一部です。このイベントのために永田さんは作品を作りためて、持って来ることができる限りの作品を持って来てくれます。

イベントに来て下さっておられるお客様方は、いつもこのイベントを楽しんでいただけているようです。
どうぞ、ご来店下さい。

 

工房楔の作品などを見ていてよく思うことは、自然のものというのは中途半端な人間の作為を凌駕するということです。

中には自然を超えてしまうすごいモノもあるかもしれないけれど、それは稀で大量生産されたものは自然のものにはかなわない。

それらの模様は自然が作り出したものなので、それには文句のつけようがない美しさがあります。

素材が木など自然のものであれば、誰をも黙らせる力を持つと思う時があります。

そんな中でも最も希少で、美しい様々な模様を見せる杢にこだわった作品を永田篤史さんは作っています。

杢の出ている部分を使えばきれいに決まっているけれど、それを加工するのは大変な技術を要し、普通は使い切れないと聞いたことがあります。

様々な模様のものがあって、どれを選べばいいか分からないと言われることがたまにあります。
私などはさすがに数を見ているので自分の好きなものが分かっているけれど、そう思われる方も多いかもしれません。

すべて自然のもので美しいに決まっている。直感的に自分が良いと思うものを選んで欲しいと思いますが、代わりにお選びすることも喜んでさせていただきます。

 


盆休み

2016-08-09 | お店からのお知らせ

当店はお盆休み期間中も定休日の水曜日以外は営業しています。
8月28日(日)~9月1日(木)を夏季休業とする予定です。

 

お盆ということだからか、妹がタイから帰ってきています。

せっかく帰国したと思うからか、京都や大阪など毎日どこかに出掛けて忙しそうだけど、せっかく帰ってきたのだから、家でゆっくりしたらいいのにと思います。

でも私が同じ立場だとしたら、おそらく半日もじっとしていられないとも思います。

父は普段もったいないからとクーラーをつけずにいるけれど、妹が帰ってきている内はつけているようで、室外機の音に夜仕事から帰った時に気付きます。

お盆ということを都会にいるとあまり意識しないかもしれないけれど、ご先祖様が帰ってくると田舎で子供の頃聞いて、とてもロマンのある話だと思い、今も信じている。

ウチに帰ってくるのはきっと母だけだと思うけれど、何かそういうのを日本的な情緒で、好きな考え方だと思っている。

そういうことも関係があるのかどうか、夏は日本的なものに惹かれる季節です。

漆塗りの万年筆、黒インク、原稿用紙。

B4サイズの原稿用紙をバラして10枚ずつアソートにしてお試しセットを作ってみました。

原稿用紙を使ってみたいけれど、どれを使っていいか分からない人は、ぜひお試し下さい。

 


原稿用紙で書く

2016-07-24 | お店からのお知らせ

(これはお手本ではありません。私の書いたものです。ご安心下さい。)

 

原稿用紙でできる遊びについて考えている。

万年筆を使う人なら誰もが使ってみたいと思って、原稿用紙に憧れるのは文豪のイメージがあるからだと思います。

私は、狂言師の安東伸元先生からいただくお手紙がいつも原稿用紙に、升目を無視したようにとばして書かれていて、かっこいいと思っていました。

それは憧れであり、原稿用紙のイメージになっている。自分も安東先生のように升目をとばしてカッコよく原稿用紙を書きたいと思うけれど、なかなかサマにならない。

でも夏の夜は蚊取り線香の匂いを嗅ぎながら、太字の万年筆で升目を埋めたいと毎年思います。

当店で扱っている原稿用紙は老舗の満寿屋(ますや)のもので、その紙は数種類の万年筆のインクでチェックしている万年筆のために作られた紙を使用しています。

紙の種類が2種類あり、クリーム色の紙はにじみがほとんどなく、白色の紙はインクの伸びがいい。

どちらも書き味は良いけれど、2つの紙の違いは使うインクの違いだと私は思っています。

もちろんそれぞれの紙の色に合ったインクの色もあると思いますが、インクの性質と紙質の相性で言うなら国産のパイロット、セーラーなどのインクを使うならクリーム紙、ペリカン、モンブランなどドイツ系のインクを使うなら白色のデラックス紙のものを使うと快適に使うことができると思いました。

原稿用紙での遊びに話を戻すと、私も使おうと思ってブログの下書きなどを原稿用紙に書いてみたけれど、自分の言葉はメモ帳に下書きする方がやりやすく、パソコンに入力できたら捨ててしまうというのが自分のやり方だと思ってすぐに諦めました。

先日城崎に行ってきましたので、「城の崎にて」を書き写ししてみました。

ただ写すだけだと思っていましたが、なかなか奥の深い、楽しみながら万年筆を使うことができるおのでした。これも原稿用紙と万年筆を使った遊びで、皆さまにもお勧めしたいと思いました。

もうひとつは写経でした。

毎月第1金曜日に当店で開催しておりますペン習字教室で堀谷先生がお手本として書いて下さった般若心経を書き写してみました。

文字の練習にもなるので、なるべく堀谷先生のお手本に似せるように書く。

漢字ばかりなので、何かサマになるような気がしました。そして心が落ち着く時間。

夏の間、当店では原稿用紙を皆様にもお使いいただきたい、原稿用紙と万年筆で遊んでいただきたいと思い、満寿屋の原稿用紙などで通常扱っていないものも揃えてみました。

9月23日(金)までの期間中に、当店で原稿用紙お買い上げのお客様に堀谷龍玄先生の書かれた般若心経のお手本を差し上げておりますので、ぜひ原稿用紙で書くことにお役立ていただきたいと思っています。