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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

ビジネスモデル

2017-02-12 | 仕事について

ビジネスモデルという軽い言葉で言うのも違うと思うけれど、ル・ボナーの松本さん、カンダミサコさん、工房楔の永田さんたちはそれぞれ独特の方法論で、自分たちができること、したいと思ったことを仕事にしています。

そういう生き方と仕事の仕方をミックスして確立したこと自体が創造力の賜物だと思うし、人と違うことをする気持ちの強さだと思う。

それぞれの人がやりたいと思ったやり方で選んだ方法論なので、きっとそのやり方を丸写ししても上手く行かない。

でも、身近で見ることができながら、最もお手本になる彼らの仕事のやり方を参考にして、自分の型に当てはめてアレンジするということは今までしてきましたし、彼らのすることは賛同できることが多い。

それぞれの仕事振りを見ていて、皆相当に力のある人たちだと感心します。それぞれに得意分野があって、それを最大限生かした仕事をする。嫌なことはしない。

仕事において私たちは(私は)まずビジョンを持ちます。

ビジョンというとかっこいいけれど、それはこうしたいという願望であって、直感的にこれは好きだけど、これは嫌だという感情です。

こうしたいという感情があって、その感情の通りできるような、自分たちがとっていいと思える方法論を選択してやってきたような気がします。

嫌だと思うことや、やりたくないこと、人の受け売りは上手く行かなかった。

世の中を見て、こういうふうになる、こういう動きがあると感じたことに対して、自分ならどうできるか、やりたいと思える方法があればそれをする。なければしない。

好きなことだけ、やりたいと思ったことだけをするのは甘いと言われるかもしれないけれど、私は嫌なことを上手くする自信はないし、自営業なのでそれが許されると思っている。

感情があって、それを実現する方法を選ぶ場面はこれからも何度も訪れるだろう。その時に、失敗しても後悔しないように、自分のやりたいと思った選択をしていきたいと思っている。

 

明日(2月13日)は私は出張のため、終日不在です。ペン先調整などは承ることができませんので、お気を付け下さい。

 


オリジナルを数少なく

2017-01-22 | 仕事について

履きだして3か月ほどたったゴルフ。この靴ばかり5足は欲しいと思っている。


これは私の性分だけど、気に入ったものばかりなら持っているものは、数や種類は少ないほどいいと思います。

シャツは毎日同じものが着られるようにしたい。いろんな種類は必要なくて、毎日同じ服を着ていると思われたい。

靴も中2日のローテーションで履けるくらいの数で良くて、本当に気に入っているものが4足あれば充分なのかもしれません。でもソールの貼り替えなどを考えると5足くらいは欲しいし、季節感を考えるとさらに倍になるのかもしれない。

 

それらのものにたどりつくためには、投資する期間が必要で、いろんなものを試してみる必要はあるのかもしれません。

私も無駄にお金を使ったし、服や靴など自分に合ったものを探して、雑誌などもたくさん見ました。

そういう勉強の期間にある法則を身に付けたり、センスを磨いたりするのかもしれないけれど、でも結局何かの縁で出会ったものを時間を掛けて組み合わせた自分のオリジナルの服装が着ていて一番楽しく、何かを参考にしても仕方ないことが分かってきました。

種類や数は少なくてもいいと思うところは店の品揃えにも表れている。

どこよりも多くの万年筆を揃えたいと思ったことはなく、何千本の品揃えと聞いても全く心が動かない。

他所のお店にあって当店にないものがあると少しは気になるけれど、ウチにはウチの扱うべきものがあると思う。

たくさんのものは要らない。何か理由があって自分が気に入ったものだけを揃えたいといつも思います。

1本、1本それを説明するつもりはないけれど、何か条件を示していただけたら当店のコレクションの中からそれに合うものを提案できる準備はしています。

 

モノと同じにしてはいけないけれど、仕事仲間も数少なくても、信頼できる人が居てくれたらいい、たくさんの職人さんのものを扱いたいとは思わない。

私の性格的に相手の領域に踏み込まず、一定の距離を保っているけれど、今付き合ってくれている職人さんや会社さんを信頼している。

たくさんの人と今のコミュニケーションを保つことは私には難しい。

店はそのモノを揃えたら簡単に真似されて、自分の領域を侵される危ういもので、そのことにいつも危機感を持ってきました。でもこの店を真似しようと思う人なんていないので、それは余計な心配なのかもしれないけれど。

それが真似であるかそうでないかは、お客様は一目で見抜き、離れていく。そして、真似ではやっている本人が楽しくないと思います。

私たちはもちろん生きていくために、お金を稼ぐために仕事をしているけれど、それだけではなく、自分の世界観を表現するために店をやっている。

どんな世界観を表現したいのか自分でも漠然としていて、その辺りは頼りないけれど、その表現したい漠然としたものをハッキリさせるために店をしていると言い換えることができるのかもしれません。

数は少なくてもいい、でもオリジナルでありたいという想いは10年間変わらずに持ち続けている。

 

 


工房楔イベント開催しています

2016-09-25 | 仕事について

 

本日18時まで、工房楔のイベントを開催しています。

イベントに出品しているもののほんの一部をご紹介いたします。

今回のイベントの目玉とも言える、コンプロット1たくさん製作しておりますので、まだまだ在庫ございます。

 

ローズウッドこぶ杢はさすがに迫力があります。

ミニブロッターは今回も人気があります。実用性が高くおすすめです。

 

今回の目玉素材、白バラこぶ杢。大変美しいものだと思っています。

コンプロットも4ロング、4ミニ、10などあります。アウトレットもまだ残っています。

 

昨日はたくさんのお客様にご来店いただきましたが、日曜日は毎回ゆっくり。どうぞご来店下さい。


商売の勝敗

2016-09-13 | 仕事について

10年も同じ仕事の仕方が通用するとは思っていない。仕事の賞味期限は私たちが若い頃よりも短くなっています。
それに気付いたことは良かったけれど、ある意味不幸なのかもしれません。

長く続いてくることができたからといって、軌道に乗ったとか、安泰だと思えることは絶対にないからです。

キャリアが長くなればなるほど、自分の古い考えや思い込みと、時流との距離ができてきます。

長く続けられる人というのは今まで自分がやってきたことを全て捨て去ることができる人、完璧に容赦ない自己否定ができる人ではないか、そして冷静に世の中を見て時流を読める人ではないかと思います。

だからと言って、世の中の状況、多くの人の好む方向にその都度流れたり、自分のやりたくないことをするのは面白くない。

やりたいと思っていることを時流に合わせてコーディネートしていくことが、小さな商店の経営者に求められることなのかもしれない。

私たちはどうしても齢をとります。

20代、30代で吸収したものを40代でテクニックを駆使して、姿形を変えてアウトプットするけれど、それが時代と合わなくなってくる。

だから世代交代したり、第一線を退いて管理職になったりするしかない。
管理職の人は自分が時代遅れだと自覚しないと、いつまでも古い考えや思い込みを部下に言ってしまい混乱させたりするということになります。

個人経営のお店などは、店主が年老いていくのと一緒に朽ち果てていくのかもしれません。

それを乗り越えることができるのは、新しい考えに入れ替えることができる人だったり、若い人の考えを取り入れることができる人なのだと思います。

当店ももうすぐ9周年を迎えようとしています。9年も経ってまだ同じところでウロウロしていることに少し恥ずかしい気はするけれど、まだ立っている。

商売の勝敗は一瞬の業績や評価などではなく、最後まで立っていた方が勝ちだと思っていたけれど、そこに自分らしくという言葉を付け加え得ることを最近忘れていました。

自分らしくありながら、考えは新しくしていかないといけないのは大変だけど、自分らしく立ち続けるためにも、たまには考えを新しく更新していかないといけないのだと思っています。

 

 


世界の動き、身の回りの動き

2016-06-28 | 仕事について

イギリスの国民投票の結果に、世界経済はこれからどうなっていくのだろうと世界中が危惧しているのというニュースを見ると、それが自分の生活にどういう影響を与えるのか分からないけれど、漠然とした不安を抱きます。

景気は悪いよりも良い方がいいに決まっていて、そういう時代は憂鬱な雰囲気が流れている。

80年代を思い返すと世の中が気楽で、明るい雰囲気で、それは中学生、高校生でも感じることができました。

景気が良くても実際的な恩恵はないけれど、雰囲気は皆感じている。

しかし、私たちのような小さな店の場合、株価や為替などの動きと業績が連動することはなくて、ほとんどが自店の問題だということを繰り返し思います。

もしかしたら天気さえも関係ないのかもしれません。

自店の問題というのは、雨が降っていて、行くのが面倒な日でもその店に行く価値があると思ってもらえるかどうかということで、行く価値というのはその店でないとだめだと思ってもらえることだと解釈しています。

店を始めて9年近く経ちます。

今まで世界経済の状態は良かったり、悪かったりで、最悪と言われたリーマンショックも東日本大震災もあったけれど、売上を左右したのはやはり当店にネタがあったかどうかだし、商売に勝ち負けがあるとすれば他所のお店よりも売上が良いか悪いかではなく、赤字か黒字か、そして永続していけるかどうかということが勝敗だと思っている。

でも実直に仕事を黙々とこなしているだけではダメで、何か行ってみたいと思える小さな感動がないと、少しずつ客足は遠のき、やがて誰も来てくれなくなるだろうと思いますし、店主の健康状態、精神状態が店の業績を左右するのだと思います。

なるべく穏やかな気持ちで、元気でいたいと思っているけれど、小さな感動がいつも用意できているとは思えない。でも毎日、人とモノ、人と人との何か美しいシーンがこの店で見られ、それを演出する場であり続けたい。

それが実体経済で、金融の世界とは価値観が少し違うような気がする。

世界経済と自分の仕事は連動しているとは思わないけれど、自分が今生きている時代に世界で何が起こっているのかということを知りたいとは強く思っています。


仕事の経験

2016-06-14 | 仕事について

( Iさんからお借りしたエルパスイーターレンズで撮影しています


販売という仕事において、経験はあまり大きな意味を持たないものだと思っています。

私は25年くらいの仕事の経験があって、変に売れ筋を知っているので自分が持っている知識や経験に固執してしまいそうになります。

それはマイナスにしかならなくて、このまま続けると何も変わらない、古臭い店になってしまうという危機感はいつも抱いていて、自分の頭を柔らかくして、新しい考え方や、若者の意見をいつでも取り入れることができる心づもりでなるべくいたいと思っている。

販売において経験が役に立つのは、お客様とのやり取りや自分のモチベーションの保ち方など精神的な部分に限っていて、その他の部分においては時代は変わっていくので、経験はあまり意味を持ちません。

仕事を始めてすぐの子が情熱があれば活躍することができるのが、販売の仕事の特長だと思います。

過去の成功体験に固執してしまうのが販売の仕事において一番やってはいけないことだと分かっているので、なるべくそうならないようにしたいと思うけれど、大した成功体験もないので、その心配はないのかもしれない。

ペン先調整は逆に経験を積めば積むほど上手くなっていく。

真剣にやればいつも新しい発見があるし、昨日できなかったことが今日できたりする。

今の私のペン先調整のやり方、考え方は、先生につかず、自分で切り拓いてきた道なので、余計に時間がかかっているのかもしれないけれど、自分が数年かけて得たことをスタッフMには短期間で伝えることができると思っていて、きっと彼はすぐに一人前になるだろう。

ペン先調整の技術は、正しい考え方を持って経験を積めばやればやるほど上手くなる。

でも勘違いしたまま職歴を伸ばすと人に迷惑をかけるものだと思っているので、彼にも正しい考え方を伝えたいと思っています。

モノを書くことにおいては経験よりも、センスに拠るところが大きいと思っている。

経験を積めば慣れてきて、スピードは速くなるけれど。

だから私はなかなか上手くならないけれど、自分のレベルでは上手さよりも心だと、読む人に甘えている。

誰もが仕事良くしたいと思っている。経験を積めば自動的に良くなっていってくれればいいけれど、結局のところ良くなる考え方があるような気がします。

それがどんな考え方なのかは謙虚な心と情熱としか今の自分には言うことができず、明確なものを示すことができない。


人との出会い

2016-06-12 | 仕事について

人と人との出会いは、出会おうと思ってもなかなか出会えるものではなく、ある日突然、でも何らかの必然や過程があってあるのだと、今までの経験で思います。

ある日突然その人が私の前に現れて力を貸してくれたり、相談に乗ってくれたりする。

社会人になってから今まで本当にたくさんの人の世話になってきたと思っています。

その人たちを誰一人忘れてはいないと思うし、今でもことあるごとに思い出して感謝しているけれど、多くの人とは疎遠になってしまった。

ライフサイクルが変わったとか、いろんな理由があるけれど、自分の至らなさが自分を見込んでくれた彼らを遠ざけてしまったのではないかと思っています

何となく面白そうなヤツだと思ったけれど、大したことなかったと思われて、皆離れてしまったのかもしれないと思うと自分の力不足を申し訳なく思うし、期待に応えられる人間になりたいと思う。

しかし、はじめに私が上手いこと言ったわけではなく、相手が勝手に買いかぶっただけだとも思っている。

関係が長く続いている人とは無理することなく自然に関係が続いている。

人との出会いにおいてあの人と組めば金儲けできそうだとか、安泰だとか頼るような気持ちや、お金が絡むと長続きしないような気がするし、上手くいかないような気がします。やはりお互いの人柄から一緒にいたいと思って、お互い様の関係でないと長く続かない。

何か交流会のようなものに出掛けて行ってビジネスチャンスをつかむということを貪欲にすればいいのかもしれないけれど、知らないところに行って、自分の話を聞きたいかどうか分からない知らない人に自分のことをいろいろ話すような不躾なことはしたくないと思ってしまう。

だから店は成長もせず、ずっと変わらないのかもしれないけれど、店を良くしたいという気持ちはいつも持っているので、自分なりのやり方でやっていきたい。

今自分と交流を持ってくれている人たちに、伝わりにくいけれどいつも感謝している。


オリジナルインク

2016-05-31 | 仕事について

オリジナルインクは、一昨年末に急に売れ始めて、昨年春頃にはそれまで1か月あればできていたものが、3か月以上かかるようになりました。

情報交換しているうちに世の中で何が起こっているのか、少しずつわかってきましたが、得体がしれないと思うことがいくつかあったし、供給できる個数が足りないのでオリジナルインクのネット販売は止めました。

得体が知れないと思った要因は、多くの人に買っていただきたいと思い、個数制限を設けてネット販売していましたが、違う名義で同じ人がいくつも買っていることがクレジットカードの番号から分かりました。

いくつも要る人は転売したりするのだと予想できるし、そういった場合中国の方が多かったので、転売される方は中国の方が多いのだと思っていました。

しかし、私は誤解していたのかもしれない。

確かにオリジナルインクを買い集めているのは中国の方ですが、その元締めのような人物が何人かいて、その一部は日本人なのではないかと思い始めています。

そのモノが売れそうだと機転が利く日本人が中国の方を使ってモノを集めていると思っています。

オリジナルインクに限らず、他のものでもそういうことが起こっているのかもしれない。

私たち店の人間は、実際に買い集めているのが中国の人なので中国の人が来ると警戒してしまう。

転売人の代理で来ているか、自分で使ったり、コレクションする目的でわざわざ来られているのか見分けがつかないので、疑い深くなってしまって、良い応対ができなくなる。

その応対を受けた中国の方は、日本人に悪い印象を持ってしまうことになります。

ただ自分で買った商品を転売するだけなのに大げさだと思われるかもしれないけれど、私にはそれはあまりにも大きな影響のある悪いことに思えるし、手先になっている人にも祖国の人が誤解されるようなアルバイトをするなと言いたい。

私たち店の人間は転売人の代理人か、当店のインクが欲しくてわざわざ買いに来てくれた人の区別をつけられるようにしておかないといけない。

今まで、そんなことは今に始まったことではなく昔からあったし、同じお金を出して買ってくれたものをその後どうするかまで詮索するのは、潔くないと思っていたけれど、遠くから来てくれて、インクを買えたことを素直に喜んでくれる人たちを見ていると、やはり転売されると分かっていたら阻止しないといけないと思っています。

 

 

 

 


仕事の質を上げる

2016-05-24 | 仕事について

前に進んだかと思えば、何か押しとどめたり、後ろに引き戻すことが起こったりして、この8年半の間の店の歩みは3歩進んで2歩下がってきたというのが実感です。

はじめ少しいらだつことももありましたが、そういうものだと思えば気にならなくなる。
何か後ろ向きの力が働いた時、そういうものだと思って今は淡々やっています。

商売は結局売り上げがいくら多くても、1円でもマイナスなら赤字で、売上が100円でも利益が出ていれば黒字で、赤字だと続けられなくなる。売上を大きくするよりも黒字にすることを常に考えたいと思っています。

 

よく全国何百店舗到達とか、年商何億円達成などと言って、感謝セールなどをしているチェーン店を見かけます。

すごいことだとは思うけれど、店が多くなれば多くなるほどありふれてくるし、不採算の店舗も出てくるのではないかと、大きなお世話だけど思っている。

規模を拡大して、売上を伸ばすことは男のロマン(男女はないかもしれないけれど)で、店舗数が増えると仕入れ額が増えて、安く仕入れることができ、お客様に還元できるということなのかもしれないけれど。

でも世の中にすでにたくさんある業種のお店が、日本一の店舗数を目指して増やすということを世の中のことを考えていないのではないかと、私は思う。

世間はそれで足りているのに、すでにあるお店を潰すために近くに新店舗を建てたりするのは、自社のことしか考えていない行為だと思います。

そういうことはいろんなところ、いろんな分野でされているけれど、規模が大きくなればなるほど、世の中のことを考えないといけないのではないか、それがリーダーなのではないかと思う。

チェーン店などは店数が多くなればなるほど特別感のようなものがなくなってしまうと思うけれど、こだわりのものを売っているお店、ブランドなどはどう思っているのだろう。

会社の規模を拡大するよりも、自店の質を高めたいと私は思う。

お店というのはいつも何かお客様に我慢させていて、その我慢がその店で買う喜びを超えると買ってもらえなくなってしまうものだと思っている。我慢がゼロならそれは素晴らしいことだけどあり得ない。

質を高めるというのは、我慢を少なくし、喜びを大きくすることだと思う。

小売業の業績を左右するのは、世の中の景気ではなくその店自身の問題が大きいと思っています。

質を高めるということは、今すぐの売上には貢献しないかもしれないけれど、長く続いていくための役に立つことです。

スタッフMの加入は、当店の質を高めるために必要なことだと思っている。

 

 


ペン先調整

2016-05-22 | 仕事について

ペン先調整はペンポイントを削ることであり、そのペンの寿命を縮めてしまうものだという意見を聞きました。
もちろんその誤解を解こうとその場でご説明しましたが、多くの人がそのように思っておられるのかもしれないと恐ろしくなりました。

確かに正しい知識のない人がペン先に取り組んだ場合、ペンポイントを削り過ぎて、万年筆の寿命を縮めてしまうことにつながると思います。

しかし、正しい知識と理性を持ってそのペンと使い手の相違、ペン自体の問題を見極めて施す調整は万年筆を良い状態にします。

ペン先調整には、標準調整とオーダー調整の2つの種類があると思っています。

標準調整はその万年筆をこれから使い込んで馴らしていくための調整で、より最適な状態にして使い込んでいくスタートラインに立たせるイメージです。

ペンポイントのズレをなくし、ペン先とペン芯の合わせを完璧にして、軽い筆圧で書いてもインクが出るように、書き出しもちゃんと出るようにします。

1,2年も使うとある日突然そのペンが劇的に書きやすくなるのを実感できます。細字のペンならもう少し早い段階で書き味の変化は訪れます。

オーダー調整は使う人の好みに合わせるというもので、インク出量の好み、筆記角度など使われる方の理想になるべく近づけるようにします。

当店でお買い上げいただいた万年筆全てにペン先調整はさせていただいておりますが、求められない限り、標準調整にとどめていますので、使い込んで馴らしていきたいという方もご安心下さい。

私も自分の万年筆はペン先のズレがなく、ペン先とペン芯の合わせが合っていれば、そのまま使うようにしていて、使い込んで馴らすようにしています。

その万年筆に対してどうすれば最小限の調整でとどめられるか見極めるのも、ペン先調整人の腕だと思っています。