先日の芥川賞・直木賞発表、そして一昨日の本屋大賞候補作発表と、出版界がにぎやかです。
本屋大賞は一次投票が昨年11月1日から本年1月4日まで行われ、全国の493書店、書店員623人の投票、
その集計の結果、10作品が「2019年本屋大賞」ノミネート作品として決定しました!
対象は17年12月から18年11月に刊行された小説で、大賞作品は2次投票を経て4月9日に発表されます。
■2019年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)
『愛なき世界』 三浦しをん (中央公論新社)
『ある男』 平野啓一郎 (文藝春秋)
『
さざなみのよる』 木皿泉 (河出書房新社)
『
そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ (文藝春秋)
『熱帯』 森見登美彦 (文藝春秋)
『ひと』 小野寺史宜 (祥伝社)
『ひとつむぎの手』 知念実希人 (新潮社)
『火のないところに煙は』 芦沢央 (新潮社)
『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 (実業之日本社)
『ベルリンは晴れているか』 深緑野分 (筑摩書房)
私はこの10冊中7冊を読了しましたが、
今日紹介するのは『ベルリンは晴れているか』深緑野分(筑摩書房)、直木賞候補作でもありました。
同じ作者のヒット作『戦場のコックたち』(東京創元社)も直木賞・本屋大賞候補作となり、
私も楽しく読みましたが、この『ベルリンは晴れているか』は、より心に響く作品でした。
第二次大戦直後のドイツを舞台にした圧倒的スケールの歴史ミステリーです。
戦後、敗戦国日本はアメリカに占領され、長い間厳しい状況だったそうですが、
同じく敗戦国ドイツのベルリンは、米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれ想像以上に過酷な状態になります。
孤独な少女と陽気な泥棒少年が、ある目的のため荒廃した街を歩く2日間とそこに挟まれる少女の回想部分、
極限状態の時の人間の本性、命を懸けても守りたい正義、怒りと絶望の中で生きねばならない人々、
いろいろ考えながら時間をかけてじっくりと読んだ作品でした。
日本人である作者がこの作品を書くには、相当な取材と調査を要しただろうと思われます。
それぐらい描写がリアルで、読むのが辛くなるような部分もありました。
現在、日本の空は晴れているでしょうか?