今日も一期一会

「本が好き♪図書館ブログ」のタイトル変更
本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

津村記久子 著 『水車小屋のネネ』 

2024-03-05 | 本の紹介
今日は二十四節季の啓蟄、冬ごもりをしていた虫たちが土の中から出てくる頃、
ですが、曇りがちで肌寒かったです。
今週は晴天の日が少ない予報で、真冬の寒さが続き今夜と金曜日には雪だるまマークも!
本校中学校ではインフルエンザが流行って学級閉鎖が相次ぎ要注意です。

2月の読書は以下の5冊、長編が多かったので時間がかかりました。

『なれのはて』 加藤シゲアキ 講談社  
『水車小屋のネネ』 津村記久子  毎日新聞出版 
『椿ノ恋文』 小川糸  幻冬舎
『風に立つ』 柚月裕子 中央公論新社
『君が手にするはずだった黄金について』 小川哲 新潮社

今日紹介するのは津村記久子 著 『水車小屋のネネ』(毎日新聞出版)
毎日新聞夕刊で話題となった連載小説で、第59回「谷崎潤一郎賞」受賞、
本の雑誌が選ぶ「2023年上半期ベスト1」第1位、紀伊國屋書店の「キノベス!2024」第3位、
などの受賞が相次ぎ、本屋大賞にもノミネートされています。
明るくポップな表紙絵とタイトルから、楽しい内容なのかと思っていましたが、
全く違いました。
シングルマザーに育てられていた18歳と8歳の姉妹、
身勝手な母親に出来た新しい恋人から虐待まがいの冷たい仕打ちを受け、
家族からの愛情を知らないまま姉妹二人だけで家を出るところから物語は始まります。

行った先で出会ったのは「ネネ」、人ではなくてしゃべる鳥のヨウムで、
ヨウムの存在は二人にとって初めてできた家族のようになっていきます。
人間の3~5歳児くらいの知能だそうで、話す言葉も本当にユニーク♪
私も飼ってみたいと思うほどでしたが、平均寿命50年だそうなので諦めます。

実の親よりも、初めて会った人々の方が温かく接してくれるなんて…
心優しい方々に囲まれ、支えられ、二人は何とか身も心も成長していきます。
心に響く登場人物の言葉がたくさんありました。
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ。」
「良心の集合こそが自分」
最近「良心」という言葉を聞かなくなっている、と思いました。
心に沁みる素敵な作品でした。