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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

国谷裕子 著 『キャスターという仕事』

2018-02-20 | 本の紹介
国谷裕子 著 『キャスターという仕事』(岩波新書) 読了しました。

1993年4月から2016年3月までの23年間、硬派な情報番組として多くの視聴者に愛されてきたNHKの〈クローズアップ現代〉、
その番組の顔として活躍してきた著者が、キャリアの一区切りという意識で書き上げた新書で、
40代の女性を中心読者とした話題の本となっています。

夜7時のニュースの後の30分間、夕ご飯を食べながら私も毎日見ていた番組でした。
キャスターの国谷さんが真摯にゲストに問いかける姿勢がとても好ましく、
一つの社会現象を多角的な視線から掘り下げて視聴者に投げかける、とても良い番組と思っていました。
それが、番組の「出家詐欺」報道の捏造VTRが問題となり、恐らくその責任を取る形で、
国谷さんがキャスターを降板してしまったことがとても残念でした。
ご自分から辞めるといったのではなく、NHKから「来年は雇用を更新しない。」と告げられたというのです。
国谷さんはNHKのアナウンサーだと思っていたのですが、外部委託されていたのだとも初めて知りました。
番組は時間と趣を変えて今も続いているようですが、私は見てはいません。

この本には、国谷さんがどのような経緯でキャスターになられたのか、
「クローズアップ現代」はどのようなスタンスで作られ何を目指していたのかが書かれています。
ゲストの方へのインタビューに備えての準備、話しながら気を付けていたこと、
思いがけない本音や真実を引き出すための苦労等、番組の裏側がいろいろ書かれています。
この番組は週に4日の生放送で、終わりが収まりきれるのか私もハラハラしながら見たこともありました。
ニュースでアナウンサーは事実のみを伝えますが、報道のキャスターという仕事についても見方が変わりました。

本の中でも書かれていましたが、私は、今、密かに日本に浸透している「同調圧力」が怖いと思っています。
TVや新聞、ネット上で「みんなこう思っているよね。」「こういう考え方が一般的なのですよ。」
と一つにまとめられた考え方が流され、「そうじゃなければいけない。」ように仕向けられている、
同じ考えでない人は「空気が読めない」「変わっている」「それは日本人じゃない」などと言われてしまう、
東京オリンピックに向けてますますその傾向が強くなっていると思います。

多角的な考え方や見方を身に付けるために、多くの本や新聞を読み、現実を見る必要があると思っています。
自分の頭で考えよう、多様な考えを知ろう、報道の裏側も考えよう、何よりも想像力を働かそう、
そこにこそ本当の自由があると思っています。