今日も一期一会

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本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

門井慶喜 著 『銀河鉄道の父』

2018-02-09 | 本の紹介
第158回直木賞受賞作、門井慶喜 著 『銀河鉄道の父』読了しました。
今まで持っていた宮沢賢治のイメージが一変しました!

宮沢賢治の父・政次郎の視点で、賢治の生涯が描かれています。
賢治の生家は質屋で金貸しなど手広く商売をしてその土地の大金持ちで、
父・政次郎は勤勉で優秀、地元に高名な学者を呼んで地域の方々のために勉強会を催すなど、
信頼も厚く頼りになる偉大な人格者でした。
表向きは厳格な父でしたが、賢治のために一家の主が自ら病院へ行って泊まりで看病をし(2度も!)、
子どもの意を汲み選択を支持しお金も環境を惜しみなく与え、「父でありすぎる」きらいがある政次郎。
そこには長男である賢治に対する惜しみない愛情が溢れています。

そんな父に対して、賢治はどこまでも甘えてしまうのです。
家業の質屋を嫌って夢物語のような事業を起こそうとしたり、国柱会の布教活動に熱中したり、
自分は働かず、何の疑問も持たずにお金を親に催促し、
とにかく東京へ行かなければ、と当てもないのに家を出てしまう。
「あなたがお父さんから遠慮もなしにもらっているお金はあなたが嫌っている質屋の商売で得たお金なのですよ!!」
「これだからお坊ちゃんは…。」「親の脛をいつまで齧るの?」「お父さんの気持ちにもなって!」
と賢治に大声で言ってやりたい気持ちに何度もなりました。

でも、賢治は何事もなしえない自分に焦っていたのかもしれませんね。
成功した実業家であり家族思いの父。
偉大過ぎる親を持つ息子が、別の道で父を超えたい、ともがき苦しんでいたのかもしれません。
世間ずれせずにふわふわと社会の中で漂っていた賢治だからこそ、儚く美しい詩と童話を紡ぎ出せたのでしょう。
最後まで社会から評価されずに37歳という短い人生を終えてしまった賢治、作品に時代が追い付かなかったのです。
あと50年遅くこれらの作品出ていたら、ジブリとのコラボもあり得たに違いない!と思います。

昨日まで体調が悪く、珍しく学校もお休みさせていただいておりましたが、今日から出勤しています!
学校でも、生徒、教職員、ともにインフルエンザや発熱でのお休みがたくさんです。
少しでも体調が悪いと暗い気持ちになりますよね。
健康こそが本当に一番大切!!とあらためて痛感しました。