カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

複雑な恋愛劇だが単純にしあわせだ   誘惑のアフロディーテ

2024-07-02 | 映画

誘惑のアフロディーテ/ウディ・アレン監督

 子供なんていらないと言っていた夫婦だったが、ひょんなことで養子の男の子を育てることになる。この子が頭もいいし素直だし見た目も申し分ない素晴らしい子に成長していく。父のレニーはどうしても実の親のことが気になって、規則を破り産みの母親を探す。そうして探し当てた女性は娼婦だった。客として会ってみると、情けないくらいに馬鹿だが、しかし素直なところのある魅力的な女性なのである。そこで息子の母親としてしあわせになってもらいたくて、以前ちょっとやっていたという美容師として生活を立て直し、幸せな結婚が出来るように画策することになるのだったが……。
 今作品で娼婦役のミラ・ソルヴィノはブレイクし、その当時は様々な作品で観るようになった。演じているのは馬鹿な娼婦役なのだが、実際の彼女は大変な才媛で、ハーバード大を優秀な成績で卒業し、中国語やフランス語も操るという。しかしすらっと背が高くセクシーな体形で、そのギャップも含め魅力的なのである。
 主演のアレンも相変わらずよくしゃべるが、さすがに恋愛を演じるには年かもな、という感じもする。舞台演劇が作中に混ざったりした妙な演出なのだが、そうした古典神話になぞらえた着想があるのだろうと思う。ラブコメとして二転三転と物語は転がっていき、それなりに意外な結末を迎えるが、皆がハッピーという幸福な物語になっている。
 妻は画廊として独立する野望を持っており、そのためのパトロンとの関係を大切にしている。夫はスポーツ記者として、割合自由に取材をして弁が立つという事のようだ。しかしながら見ている方は、そういう底の浅いウソも苦しいところはよく分かっている。むしろそれで何とか難しい局面を乗り切ろうとするところが、可笑しいという事なのである。実際それで、物語はコロコロ転がっていくわけで、なるほどこういうコメディもあるんだな、という感じである。その楽しさとともに、これで本当に良かったのかもよく分からないが、しかしハッピーなんだから不思議である。人間、自由な偏見のない方が、しあわせだという事なのだろう。
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