カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

酒中日記:7月某日

2024-08-19 | 日記

 僕が主催したわけでは無いが、かかわりのある話し合いで、まずは少し話をしてから乾杯にしようか、と言われるのである。しかし僕は既に店の呼び鈴(というかボタン)を、押してしまっていた。店員さんが来て、それじゃあ料理だけでも先に頼んでおこうか、ということになったのであるが、ある一人がそんな話を無視して「生ビール」というので、なし崩し的に飲みながらやろうということになった。あとで振り返ってみると、どちらが先でも、そう変わらなかったのではなかろうか。早く飲めたことについては、感謝はしているが。
 最近はビールの後には、何故かハイボールを飲む人が多い。僕には特にこだわりは無いので、誰かがそう言うのであれば、僕だってハイボールと言ってみたくなる。サワーだってなんだっていいが、あんまり甘くないから、いいと言えばいい。学生の頃にハイボールというと、なんか古くさいね、と言われたものだが、三十何年も過ぎてみると、またなんだか新しいもののように扱われている。もう定着しているので、ブームというのでもあるまい。なんとなくジョッキのような大きなもので飲めるので、その分時間を稼いでいる感じもある。焼酎の水割りだと、何度も店員を呼ばなければならないので気の毒で、では四合瓶でも頼んで水割りをつくってもいいが、僕が一番年下でない場合は、やはり後輩にあたる人に対して、気の毒にも感じられたりする。もう少し酔うと、そのあたりの加減はどうだってよくなるはずなのだが、要するに二杯目なので、そんな気を遣うことになり、ハイボールになる訳だ。
 キャベツとか焼き鳥とか、山芋の乗った半熟卵をつぶして食べるサラダなんかを食べる。後なんだっけ、豆腐にオクラのようなものがのったものや、卵焼きなどをつまみながら杯が進んだ。そんなころ一人の年配の人が、日本酒を飲もうかな、という。若い店員に日本酒の濃いめの奴を頼むというと、いつまでたっても酒がやって来ない。もういちどボタンを押して確認すると、別の店員さんが来て「うちは冷酒か普通の奴しかありません」という。注文は通っていたわけだ。持ってきてもらった冷の醸造酒は、あんがいいけて、追加で4本ばかりちびちび飲んだ。あとで若い店員もきたが、持ってきた料理をもらう際ありがとうというと、無言で出て行ってしまった。
 考えてみると二十ばかり上の先輩が三人ほどいて、僕らは基本的に聞き役になっている。皆主張の強い連中ばかりなのだが、やはり酔いが進むと年齢の方が勝るようだ。まあ、そうだよなという話もあるが、あんまり同意できる話は少ない。考え方が違うのである。基本的には分からないでは無いが、その年の興味というのは今の僕の年ごろのものとは違う、ということかもしれない。年金や税金に怒っていたりするが、他に収入のある人たちばかりなのである。贅沢とは言わないまでも、本質はそんなものではないのではないか。
 しかしながら居酒屋談義なので、こんなことで事が荒立ってはならない。これからの付き合いもあるわけで、若い人が折れてちょうどいい(実際は若くは無いが)。腹の中まで見せる必要はみじんもない。何故か、以前は飲んで暴れる人がいて、それには困らせられたという話も聞いた。まあ、そのような苦労があるのなら仕方ないだろう。
 ということで二次会になって、共通項のあるスナックに行くと、やたらに人があって、でも一つの小さなテーブルには座れる。水割りを飲んで、がらりと話題が変わるが、やはり全部が同意できるものではない延長が続く。もう酔っているので、そんなにつらい訳ではない。ここにきて日本酒がボディブローになっている可能性がある。目が回る訳では無いが、トイレに行きたくなる。行って帰って来て数杯飲むと、また行きたくなる。僕の膀胱の容量が、小さくなっているのであろうか。
 でもまあ、なんだか僕よりつらいことのある人が、それなりにいるのは分かるのである。それは年頃とは関係が無い。僕にもつらいことはあるはずだが、そんな感じにはつらくはない。あとでママさんがちょっとだけ来たが、もうお開きにしようということになり、一人だけはまだ残るというので置いてきて、その日は帰ることができた。外に出ると、少しふらついていた。
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