カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

現代の海賊は悲惨なものだ   キャプテン・フィリップス

2021-06-29 | 映画

キャプテン・フィリップス/ポール・グリーングラス監督

 武器を持たない大型貨物船が、地元漁師やヤクザたちが組織する海賊に襲われる。彼らは貧弱な船でありながら、機関銃で武装している。貨物船は水を噴射して海賊船が近寄れないようにすることくらいしか防御のしようがない。必死で逃げながら、海上を警備している軍などに援助を要請するが、まともに取り合ってくれない。ついには乗船を許してしまい、乗組員は巨大な船の中で隠れておりながら、船長は人質に取られ、金も奪われてしまう。そうしてソマリアに海賊と船長は別の船で移動することになるのだったが……。
 これも実話らしい。ソマリアの貧しい漁村には、海賊組織が入り込んでいて、ソマリア沖を航行する大型船などを時折襲って金品を巻き上げて生活しているということかもしれない。この海賊団の船長も若いチンピラなのだが、英語を話すことができ、いくらか知性が高い存在なのかもしれない。船の相手は丸腰だし、乗船してしまえば言いなりになって、簡単に稼げる商売だと踏んでいるところがある。海賊といっても経験が浅く、銃を撃つことはできるにしても、皆おっかなびっくりといったところか。
 そうして迎え撃つ貨物船にしても、海賊対策の訓練はしていないわけではないが、武器は持たないし、この仕事自体が命がけのものではない。いい迷惑だが、実際には運が悪ければ海賊に狙われてしまうということだろう。たまったものではないのだが、相手の機関銃は容赦がない。言われるままに金を渡すが、もともと貨物船だから、ものすごく大金を持っているわけではない。海賊は不満で、人質作戦に出て、結局米国海軍に追われることになり、どんどん窮地に陥っていくという物語である。ある意味結末は悲惨なことにならざるを得ない予感はしているが(何しろ力の差が大きすぎる)、問題は船長の命である。どうやってこの一人の米国人の命を守ることができるのか。そのためにどのような駆け引きがなされるのか、というサスペンスが後半のほとんどを占める。まあ、それだけの映画でもあるかもしれない。
 トム・ハンクスは、今となっては超演技派の大役者だが、そういう訳者が珍しくこのようなB級ともいえるアクション映画に何で出ているんだろう、という興味もあって見たのかもしれない。結果的に緊迫感のある演出にはなったと思うが、そんなにひねりのある映画なのかはかえって疑問に思った。大変な事件であるけれど、軍としてもこのような惨事は予想できたことではないか。もうちょっと電話(無線)の対応をちゃんとしろよな、というのが正直な感想である。結局出ているみんな、かわいそうなのであった。
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