カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

思いが強ければ、会うことが出来るはずだ   ある日どこかで

2021-06-17 | 映画

ある日どこかで/ヤノット・シュワルツ(ジュノー・シュウォーク)監督

 若き脚本家が賞をとったらしく祝賀会をやっているところに、品のいいお婆さんがやってきて、懐中時計を渡して「(私のもとに)帰って来て」という。訳が分からないままだったが、どうもそのあとお婆さんは死んだらしく、月日は8年流れる。若き脚本家はスランプに陥り、気分転換に車を走らせて旅に出る。そこでなんとも無しに古きリゾートホテルを見つけて泊まることにする。食事の時間までの時間つぶしに立ち寄ったホテルの歴史博物館の中で美しい女性の肖像写真を見て、その女性に激しく心を奪われてしまう。そのままホテルに滞在し続け、謎の写真の女性のことを調べ、どうもそのころに自分と同じ名前の人物がこのホテルに滞在していたことが分かる。過去の時代に飛ぶことが可能かどうか、タイムトラベルの専門家の先生に聞きに行き、その方法通りに過去への旅を試みて、みごと肖像画の女性の時代へとさかのぼっていくことができるのだったが……。
 SFだか何だかよくわからない話ではあるが、恋愛としては、なかなかに美しい話である。この映画の脚本は、リチャード・マシスンで、カルト的に人気のある作家という事もあってか、古いけれどファンの多い作品である。主人公の脚本家の男を演じるクリストファー・リーヴは、スーパーマン役で著名だが、のちに事故で半身不随になってしまうことからも、この主演作は貴重である。そういう背景はありながら、人気の衰えない作品という事なのかもしれない。そうして、実際なかなか不思議な味のある物語なのである。
 タイムスリップする理屈は、実際のところよくわからないんだけど、それでもなんとなく納得できてしまうところもある。そうして現代に戻ってしまう仕掛けも含めて、そういうものかもな、と思わせられる。ラストシーンには捉え方にいろいろありそうだが、悲しいながら少しくらいはハッピーな要素があると、僕は信じてやりたい。多くのファンにとっても、おそらく思いは同じなのではないだろうか。

 ※なお監督さんはフランス人らしく、日本では主にカッコ書きの表記がされていたのだが、ネット時代になって、よりフランス語に近い発音で、近年は表記が変わったようである。
 こういうのってよくある話だが、でも昔の表記が定着してしまったゲーテのような人は、もう今更発音は変わらない。ドイツ人が聞いたら、どう思うのだろうか? (もっとも、一般の個人にそんな機会はほとんどないだろうけど)
コメント
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