カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

美しく魅力的な母を持つと……   アルゲリッチ 私こそ、音楽!

2021-06-21 | 映画

アルゲリッチ 私こそ、音楽!/スティファニー・アルゲリッチ監督

 著名らしいピアニストの娘が、その母親を撮ったドキュメンタリー。若いころから天才ピアニストとして世界中で活躍している母親のマルタ・アルゲリッチ。演奏そのものは現在も衰えることなく素晴らしく、多くの人を魅了し続けている。しかしながらマルタ本人は気まぐれの天然女でつかみどころのないところがあり、そうして本番前にはナーバスになり多少奇行めいたこともする。そういう母親を心配しながらも子供のころからずっとツアーを共にしてきた娘が、客観的に母親を見つめ直すようにカメラを回す。
 母マルタは、ピアニストとして一流であるばかりか、美貌の人物でもある。当然男たちが放って置かない。過去には相当の浮名を流した跡があるようだ。自分の父親もいるが、三姉妹すべて父親が違う。現在は独身のようだが、彼氏は世界中に相当いる、もしくは居たという感じである。現在は年を取っているが、いまだに女性としてチャーミングなのである。
 過去には姉が誘拐されたことがあったり、父親と自分との関係で親子の認知をしてくれないなど、家族の葛藤なども描かれる。そういう波乱がありながら、本番になるとエレガントに悠然と名演奏を母はやってのける。まさに素晴らしい、の一言。こういう人こそ、本当の音楽の申し子なのだろう。
 映像でもあるが、アルゲリッチは日本にも何度も来ている。特に大分の別府では、アルゲリッチ音楽祭という後進の指導のためのフェスティバルも行われているらしい。国際的に数々の賞を受賞しているが、日本での褒章もそういう関係なのか、得ている。映像では自由奔放で権威的な雰囲気のない人だが、実際はとてもえらい音楽家のようである。僕は全然知らなかったのだが、がぜんファンになってしまった。いい人ではないかもしれないが、音楽にはそんなことを超えた力があるのである。
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