カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

壮大で美しく、そうして尺が長い   アラビアのロレンス

2021-06-27 | 映画

アラビアのロレンス/デビット・リーン監督

 中東に派兵されている英国軍の地図作成課の少尉であるロレンスは、アラブの部族の王子と接見してその考え方を探るように任命される。案内役のベドウィン(遊牧民)の青年と広大な砂漠を旅し、ある井戸で水を飲んでいると、地平線のかなたから井戸守の別の部族の男があっさりとベドウィンを射殺してしまう。後にこの男とは一緒に戦うことにはなるのだが、その時は案内を拒否し、一人で王子のいる集落までコンパスを使って移動する。王子のいる集団を見つけると、英国軍と合流してともにトルコ軍と対峙して戦うことを提案する英国の考え方を翻して個人的な意見として、アラブの遊牧民的なゲリラ戦で戦うべきだと王子に進言して気に入られる。そうして王子の軍から約50人を引き連れて、砂漠を縦断して内陸からトルコ軍に攻め入る作戦に入るのだったが、何しろ内陸は何もない過酷な灼熱の砂漠の旅である。まさに移動だけでも命を懸けてゆく強行軍なのであった。
 壮大な砂漠の映像が美しく、まさに名場面の連続であるスケールの大きな作品。その分尺が長くなって3時間45分なのである。その当時の映画らしくインターミッション(休憩)がある。それより尺を短くして上映してほしいものだが、まあ、仕方なかったのであろう。
 このアラビアのロレンスという男には実在のモデルがいて、実際にこのような活躍をした英国軍の男がいたのである。だから伝記映画なのだが、映画的に着色してあるらしいことは、観ていてわかるはずだ。中東で大活躍するわけだが、その分アラブ社会のことを知り尽くしており、しかし独自の考え方を理解してもらうために、その尊敬を集める行動をとれる。そういうエピソードが砂漠での過酷な環境での彼の行動であり、それはぜひ、映画で確認してもらいたい。それ自体が名場面であり、長い時間をかけてみるべき映像なのである。
 しかしまあ主人公のロレンスは、なんだかなよなよした信用のおけないやさ男で、美男子であるが、力強さのかけらもない。英国人だから物珍しさでアラブの仲間入りで来たものの、英国との間でどっちつかずのところがあり、結局はこの戦いから去らざるを得なくなったのではなかろうか。オープニングでいきなり事故で死ぬわけだが、これが本当に事故だったのかというのは、なんとなく疑いたくなることだ。どちらとも折り合いはつかないし、しかし功績は大きい。実は暗殺だったということはないのだろうか。映画にそういうことを言っても仕方ないが、そのような人物と時代だったのではなかろうか。
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