カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

敵を一人にして立ち向かう   SINGLE TASK 一点集中術

2020-05-18 | 読書

SINGLE TASK 一点集中術/デボラ・ザック著(ダイヤモンド社)

 内容ははっきりと書名の通り。そもそも人は複数のことを同時にできないし、そうであるからには一つのことに集中しようというもの。そうして、一つのことに集中出来たら、結果的には効率的に、物事は捗るのだ、という事実を確認するものである。
 最近この手の本を続けて読んでいるのは、何を隠そう(隠しようが無いが)僕自身がマルチタスクの影響に苦しめられているからである。それがイケナイことであるとか、不合理であるということを重々承知をしておきながら、どうしてもすぐにマルチタスクの罠にはまり込んでしまう生活に戻ってしまう。その原因の最大のものがパソコンやスマホであるのは明白なのだが、これを手放すことは、ほぼ不可能に思える。思えるが何とかしたい、ともがいている訳である。
 さらに僕は日頃からふつうに本は読むが、これはシングルタスクでしかありえないはずなのに、同時進行で複数の本を読みつないでいる。多いときは十数冊は手を変え品を変えて読み進んでいく。当然こんなことをすると、一冊読み終わるまでに時間がかかる。もちろん実際に手に取ってパラパラ読む本などを考えると、ひと月に50冊くらいは飛ばし読みするのではないかと思われる。そんな読み方をしても分かる本もあるが、当然手ごわい本もある。そんなことで読書の醍醐味が減るわけではないが、頭にうまく入るかは心もとないことである。
 さらに仕事の面でも、いつの間にかマルチタスクになってしまっていることにも気づく。手を付けているものの間に電話が入り、面談が入り、そうして出かけていく。外に出るとそれなりにシングルにならざるを得ないが、残した仕事が減るわけではない。
 しかしながらいろいろな事情が重なって、マルチながら面談の多い局面が何日か続いた。対面で話をすることになると、目の前の人と集中せざるを得ない。連続するとかなり疲れもしたが、一人一人に集中して話をしていったことで、いろいろと気づかされることが多かった。シングルタスクにならざるを得なかったことで、実はものすごく多くの情報量が引き出されたことを実感した。自分自身も多くの発言をしたのであるが、驚くことに実に様々なことを深く瞬時に考えていることを自分でも確認できた。思考の跳躍のような感覚があって、ちょっと新鮮でもあった。僕はこんなことを考えていたんだな。
 何を言いたいかというと、強制的にシングルタスクの仕事は可能なのである。それなりに制限をかけることにはなるんだろうが、結局は順位をつけて一つ一つ集中することで、それなりの成果は上がるのではないか。この当たり前を妨害する環境があまりに強固すぎるのではあるが、その中でもがきながら自分のルールを守ることは可能なのである。
 ということで、これが習慣になるように、頑張っていきましょう!
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みんな貧乏が悪いんや   ラヴィ・ド・ポエーム

2020-05-18 | 映画

ラヴィ・ド・ポエーム/アキ・カウリスマキ監督

 売れない貧乏作家は、とうとう住んでいるアパートから追い出される。放浪していると、売れない画家と知り合い、自分のアパートに戻ってみるのだが、そこにはやはり売れないミュージシャンが新たな借り手として住み始めていた。画家は作家がそのまま家財道具を置いて出て言った部屋で暮らしていたので、作家は部屋は君のものでも、家具などは自分のものだと主張して、結局一緒に住むことになるのだった。そのうち貧乏な画家には彼女ができるが、画家は不法入国がバレて国外追放になってしまう。何とかフランスには戻ってくるが、貧乏生活に耐えかねて、恋人は去ってしまうのだった…。
 とにかくなんとなく不条理だけど、貧乏であっても芸術を捨てない人々の話といえるかもしれない。明るさは無いが、ものすごく悲観的なわけではない。一応出版にこぎつけることもあるし、絵が売れることもある。ギャンブルで勝つことだってあるのだ。なんとかかんとかやりながら金は工面して、自動車を買ったり、彼女を連れてピクニックに行ったりもする。金に困窮してはいるものの、時には楽しいこともあるということかもしれない。
 しかしながらこんな暮らしで、みんながみんなハッピーであり続けることはできない。特に一緒に暮らそうという女性にとっては。愛はあるが生活もあるということなのだろうか。最終的には愛を選ぶ代償を払うことになる。切なく悲しい物語なのである。ラストに流れる音楽が、日本語の「雪の降る街を」であり、なかなかのインパクトがある。もちろん僕らが日本人だからだろうけれど、北欧の人(この映画はフランス語だが)にとっても、印象が深まるという計算があったのだろう。カウリスマキ作品らしい映画を堪能できることだろう。
 またこのDVDでは、「トータル・バラライカ・ショー」のコンサートも一緒に観られる。ふざけたようなコンサートだが、そういうセンスというのは、なんとなく分かって面白いかもしれない。
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