カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

馬鹿でも正面からせめて吉   クローバー

2019-04-19 | 映画

クローバー/古澤健監督

 たぶん原作は少女漫画。ホテル勤務のヒロインは、ちょっとドジなところがありいつも怒られてばかりいる。そういういつも怒っている鬼のような上司は、一方でたいへんに二枚目で周りから憧れられているようないい人である(ここ、少女漫画的に重要!)。そうして、なんとこの上司から交際を申し込まれてしまう。冷酷そうで高飛車でちょっと怖い相手だが、二枚目で将来性があるということでなんとなく交際していたが、初恋の相手が現れたり、会社の取締役の娘というライバルが現れたり、前途多難なんである。
 まあ、はっきりって無茶苦茶である。しかしまあこれが成り立つのが少女漫画的なんであるから、はっきり言ってたいへんに楽しい。いくら周りの女性から憧れられるような状況だとは言え、見栄だけで頑張って恋を成就させようという魂胆はけしからんのではないか。おそらく実際にもアイドル的にかっこいい人が上司を演じているようで、そういうあたりは男の僕には良さが今ひとつわからないが、実は性格も割合良いような設定になっており、クールなだけではなく彼女のために自己犠牲は払っているということらしい。自己本位ではあるものの、かわいい、ということかもしれない。
 それなりに狭い社会での物語だが、アメリカがチラついたり、会社の若い偉い人が横柄でも許されるような、某韓国の財閥系企業のような設定も笑わせられる。こんな会社今時あるんだろうか?
 しかしまあ初恋の相手は今はどうも手癖の悪い男に成り下がっているが、ヒロインだけは別で、かわいい女優さんが演じているので当然かわいいのは良いにしても、ドジでそんなに才能など取り柄がなさそうだけれど、上司の男は彼女を離さない(表現は下手だけど)わけで、彼女にとっては極楽である。本当に素晴らしい。まあ、それなりに危機があって最終的には大どんでん返しがあるわけで、そういうところが何より素晴らしいのだが。
 皆さんもお気づきのことと思うが、多少気取った映画であれば難癖ばかりつけているくせに、このような一種のバカ映画だと僕の点数は甘い。何故かというと娯楽映画としては、こちらの方が何倍も優れていると思うからだ。いくらばかげていようと真正面からそういう楽しさを追及して映像化するというのは、本当に映画的に素晴らしいところだと思う。皆さんもこういう映画精神を見習って、楽しいことに素直なまじめな人生を送りましょう。その方が絶対しあわせになれますよ。
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