リメンバー・ミー/リー・アンクリッチ監督
ピクサーのアニメ映画。舞台はメキシコらしい。何故か音楽を禁止されている少年はギターの名手で、将来は音楽家になろうと思っている。ある古い写真を見たことがきっかけで、ひい爺ちゃんが伝説のギタリストなのではないかと考える。お墓に忍び込んで一緒に埋葬してあるギターを手にすると、死者の世界に迷い込んでしまったのだった。
死者の世界は、太っている人も痩せている人もその輪郭のわかる骸骨姿の人ばかりになっている。メキシコも火葬するんだろうか。まあ、ある意味では分かりやすいが、実際に骸骨だと個体識別はむつかしくなるような気もする。アニメだから何とかなってしまうけど、筋肉が無くてどうやって骨格を動かせるんだろう。
そういった設定以外は、基本的に死者の世界も生きている世界も、そんなに違う世の中ではなさそうだった。いわゆるファミリーヒストリーが、現実社会に及ぼしたものが謎解きになっていて面白い。それなりに意外だったし。アニメの躍動感と音楽の融合もよくできていて、なるほどメキシコも楽しいのだな、と思ったりした。まあ、日本とは違う偏見も多い国のようだけど、作ったのはアメリカだしな。そういうあたりはもう少し勉強しなければ分かりえないものがあるのかもしれない。
またアニメと直接関係のない話なのだが、このような死者の国という設定であると、人間誰しも死ぬわけだから、例えば殺人事件で殺した人と殺された人がまた出会うというようなことが起こりうるわけで、何かとむつかしい問題もいろいろと蒸し返される危険というのが大きくなるのではなかろうか。死後は何らかのチャラになるようなものが無ければ、大変な混乱を招きそうである。
というわけで、図らずもいろいろ考えてしまう設定である。映画の中で死者の日というのがあるが、あれは日本のお盆のようなものかもしれない。文化の違いこそあれ、人間似たような生死観を持っているものなのだろうな、と思いました。